開演前のヤジ対応
どうも、おはようございます。落語芸術協会所属の春風亭昇市です。落語やってます。(近頃は本当に落語やっています)月曜から温泉地で夜な夜な50分落語やっています。50分あれば2席落語できる(落語一回やるのを1席っていったりします)
今、とある観光地に滞在していますが、以前のように賑わってはいません。インバウンドのお客さんがいないのが大きいみたいです。(インバウンドという言葉は自粛中に憶えました。後、サブスクも憶えたゾ)←憶えた言葉はすぐ使いたくなるダサイ性質があります。
ただ県内の方、とくに若者が多くなっているように思います。いま出てる落語会も年齢層が若い方も多くて、日々客席の雰囲気が違って鈍ったライヴ感を取り戻すのに必死です。←楽しんでます!
しかし、昨日は開演前からおかしい雰囲気でした。楽屋で着替えていたら、客席から「いつまで待たせんだー!落語ぐらいさっさとやれよー!」というわかりやすいヤジが飛んでいました。ちなみにお客さんにご案内通りの時間で遅れていません。
様子を見たら、70代ぐらいのおっちゃんが酔っ払ってヤジを飛ばしている。うーん。これは厄介だ。お客さんの入りもいい状況。様子を見るが、止まらない。開演してからヤジを飛ばされても困る。開演まで残り15分。どうする?
①放置、開演しても無視
②スタッフに話して、対応してもらう
③私が出ていって対応する。
①は無い!他のお客さんに迷惑だし、私もそんな中やりたくない。②とりあえずコレだ!…でも待てよ。スタッフは落語会専門の方じゃない。そもそもこの状況を放置した場合の雰囲気の最悪さとか色々イメージできていないかもしれない。それにモメたくないよね。
えー!?ってことは、③自分で対応!ヤダー(めっちゃ面倒くさい)
ただ面倒くさいことはやっておいた方がいいって言ってた。(誰が?)
昇市「あの、すみません。後15分で開演するのでもう少しお待ちください。それと静かにして頂いていいですか?」
おっちゃん「何だお前は!いいんだよこーやって言った方がいいんだよ!」←いいわけない
昇市「いやよくないですね。開演中に声を出されても困るので、静かにして頂いていいですか」
おっちゃん「お前関係ないだろう!」←大アリだ!
昇市「いや関係あるんです。私がいまから落語やるんですよ。だから、ヤジを飛ばされたくないんです。静かにして頂けますか」
おっちゃん「お前がやるのか!?よし、じゃ俺が鍛えてやる!」←どーゆうこと!?
昇市「いや、遠慮しときます。」
おっちゃん「生意気いうな!俺が鍛えてやるよ!」
昇市「あなたに鍛えてもらいたくはない!」
さすがに感情的になり、もう心からの声が出ちゃいましたー。その時、他のお客さん(若者たち)が「ヨォォ!!」っと謎の合いの手。からの拍手!プチ盛り上がりを見せる開演前。
なにこの状況!?
おっちゃん「お前浅草出たことあるのか!?」
ちなみに浅草というのは、都内にある浅草演芸ホールをさします。知っている人は、略して浅草と言います。ってことはおっちゃん、落語見たことあるのかよ!
昇市「ありますよ。」
おっちゃん「出たことあるのか!?そうか、じゃ真剣に見てやるよ!黙ってみてやるよ!」←いやいや噺家やってれば、ふつうに浅草出るし、どーゆう理屈!?
でも、静かに見てくれる約束をしました。で、開演。マジで静かに見てくれました。そして、他のお客さんのノリがめちゃくちゃいい。もう一連の出来事がいい一体感を生みました!
終演して、おっちゃんに「どうでした?」って聞いてみました。(こーゆー時はせめます)
おっちゃん「まーまーだな!」
まーまー!?
ということで、昨日の私はまーまーだったようです!
何が正しい判断かは難しいです。だけど、演るのは自分。責任も自分。お金を払っているお客さんを楽しませる。後、二日間がんばります。現場からは以上ですー
それでは失礼しますー
#落語 #まーまーな高座