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eスポーツは「遊び」じゃない:日本と海外のeスポーツ教育事情

先日、大阪市内で開催された「体育・スポーツ・健康系の領域におけるDXを考える」シンポジウムに興味を持ちました。
このシンポジウムでは、スポーツ分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の最新事例や未来展望についての議論が交わされ、非常に示唆に富む内容でした。
下記のリンク先の大阪体育大学の記事からいくつか印象に残ったポイントを振り返りつつ、私自身の考察も交えてまとめます。


シンポジウムで印象に残ったポイント

シンポジウムでは、パネルディスカッションにおいて、大阪体育大学スポーツ科学部の沼田薫樹講師が「スポーツDXの事例から未来を展望する」というテーマで講演を行いました。
2025年春から同大学で開講予定の「スポーツデジタル論」の内容や、バレーボール部男子でのデジタル技術の活用事例について紹介しました。
また、フィジカルeスポーツの授業では、学生がバーチャルサイクリングアプリ「Zwift」を活用し、「没入体験と身体活動を通してデジタル×スポーツを理解する」ことを目指しているとのことです。

さらに、大阪体育大学の原田宗彦学長は、スポーツDXの重要性についてこう述べています。

「eスポーツの授業には慎重な声もあるが、あえてカリキュラムに組み込んだ。今日の議論は新しいことを考えていく、いいきっかけになったと思う。」

こうした取り組みから、日本の体育系教育機関がDXやeスポーツを積極的に取り入れようとしている姿勢が見受けられました。


私自身、短大で非常勤講師として「ソーシャル・eスポーツ」を担当しており、教育や福祉分野など社会課題解決におけるeスポーツの可能性について学生たちと考察しています。
日本では、フィジカルスポーツとeスポーツを融合する取り組みが増えています。

海外のeスポーツ事情

一方で、eスポーツの歴史を振り返ると、アメリカを中心にITやAI研究の派生として誕生し、エンターテインメント分野に波及してきました。その結果、欧米の大学ではeスポーツを通じたキャリア形成に主眼を置いたカリキュラムが発展しています。
例えば、ゲーム開発やデータ分析、マーケティングなど、eスポーツに関連する幅広い専門知識を学ぶプログラムが整備されています。

日本の背景には「eスポーツ=ゲーム=遊び」というイメージがまだ根強いうえに、教育現場におけるIT技術やDXの活用が遅れている部分もあるように思います。
GIGAスクール構想が掲げられているものの、実際の教育現場ではIT教育やDXが十分に進んでいないケースも多く見られます。
そのため、スポーツ分野を切り口にデジタル技術を取り入れるという、日本独自の流れが生まれている。


eスポーツの可能性を広げるために

スポーツへのDXや、福祉分野などにeスポーツやゲームを活用して社会的課題解決を図る取り組みは、今後もさらに進めていきたいと思います。
しかし一方で、日本でもeスポーツを通じたキャリア形成や情報技術の活用をさらに推進すべきだと考えています。
そのためには、eスポーツが単なる「遊び」ではなく、技術革新や社会課題解決の手段として活用できることを広く理解してもらう必要があります。

これからも、教育現場や地域コミュニティでeスポーツの可能性を伝えながら、その魅力や意義を広めていきたいと思います。

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