1期から4期の採用学び(SimpleForm採用の歴史)
初めての方向けにご紹介をしておくと、SimpleForm社は、政府・金融出身者で5年前に創業したスタートアップであり、メガバンクや国際カードブランド、公的機関向けに法人調査プロダクトを開発・提供しています。
組織規模はもうすぐ100人に近づきます。面倒を愛する価値観、すでに強烈な10人の新卒がいること・そのカルチャー、顧客に入り込むその深さ、そこからくる少数精鋭なチームアップが特徴的だと思います(自ら言うのは憚られますが、本当に優秀なメンバーが集っていると思います。また、事業特性上も現在は大規模採用を必要としません)。
退職者はほぼおらず、長期で活躍いただくことを前提に設計をしていることも特徴の一つです。もちろん選ばれる続ける会社であるための努力をしなければなりません。
正直、偉そうに記事を書けるほど戦略的にやってこれたわけではありません。
なんとか事業拡大を止めない採用をし続けないと、ともがきながら進めてきて、これまでのところはまあ成功と言えるか、という感じです。
結果的ですが、成功は今のメンバーによって証明されます(採用チームとして反省は多々あります)。
会社設立時から記憶を辿りながら、学びを掘り起こしていきたいと思います。
今、ぼくが採用を考える時の基礎になっているはずであり、今後出会える同志の方の理解の助けになれば幸いです。
学びまとめ
まず最初に学びをまとめておきます。こう書くと当たり前のことばかりで、記事のできが心配になります。
エージェントさんとは狭く深く
リファラルは結果指標と割り切る
会社文化に合った採用戦術を早く見つけられるか
初期は「数字・歩留まり」より「質・効果」
兎に角メリハリつける(メリハリつけるのはどんどん難しくなる)
採用チームは極力小さく(採用チームのスケールタイミングを間違えない)
また、現社員の流入経路や出身をまとめておきます。内定者含まない1月末時点の数字です。
リファラル:30名(44.8% )
スカウト:22名(32.8%)
エージェント:11名(16.4%)
媒体・自社応募:4名(6.0%)
この先読み進めていただける方は、冒頭触れた弊社の特徴も改めてご覧ください。その前提での学びになります。
なお、今回は新卒採用の観点は捨象しています。
創業期(1-2期)
会社設立は2020年10月。シードラウンドからシリーズAまでこの期間で3度の資金調達を実施しました。初期プロダクトが完成し、初めてお客様に提供開始しました。現在の主要顧客である大手金融機関さんに入り始めたのもこの期間です。とはいってもほんの一部ですが。組織は1期目4人、2期目16人です。
CTOで2人目となる小間含め、その後11人目まではいずれもリファラルです。
3-4人目がエンジニアでそれぞれ田代小間の知り合い。5-6人目がビジネスとコーポレートで田代の知り合い。7人目はまさかの新卒で中野の知り合い、8人目はその新卒の先輩でつまりはリファラル(2人とも調査業務を担当)。9人目は投資家さんからの紹介でHR/採用担当。10人目がぼくで、11人目はぼくの知り合いでバックオフィス/営業サポートの方。12人目に初めてエージェントさんからご紹介いただいたセールスの方とご縁があり、13人目・15人目はエンジニアで同じくエージェント経由。14人目はビジネスサイドでビズリーチで結果が出てスカウトから初(ちなみにこの時に採用業務をご一緒したリファラルのインターン生が後に入社)。16人目は田代のリファラルでデザイナーです。
以後、ここまで詳細に書きませんが、こうして見ると創業期は8割方がリファラルであり、エージェント採用・スカウト採用が漸く一つ実績が出た、という状況だとわかります。
初期はリファラルが多くなるのだと思いますが、それでもそれが長続きした方かもしれません。
新卒が既にいるのも特徴的ですし、エンジニア採用も比較的うまくいっていたと思います。ビジネス採用の方が最初は苦労した記憶があります。
この期間の学び・成功事例を書きます。
業務委託で始め、正社員に切り替える、パターンが数多く発生(13・15人目のエンジニアはいずれもこれで、きっかけとなったエージェントさんで事例として記事化されるくらいでした)
初期はほぼリファラルだったのでその後もリファラルの文化が醸成しやすく、組織拡大後もコアとなるその頃のメンバーに染み付いてるのが結果的に大きかった
スカウトはよちよち歩きで始めて、初めて自分たちで考え1to1のメッセージを送り出したのが最初のスカウト経由での採用に繋がった(頻繁に広報したり認知が多いわけでもない僕らは特にその必要があると思った)
デザイナーは15人目までにいればよい。もちろんもっと早くてもいいが、事業の特性もあり遅くはなかった。hipsterとして最初の6人?でも数えられるが、本当にここは、きちんと明文化していないにせよ、ブランド・カルチャーの根っこの思想が合う方を慎重に選ぶが吉(めちゃくちゃ幅を広げていただいている)
結果的だが、リファラル中心とはいえ、色んなチャネル開拓と実績が初期に出たのは大きかったかもしれない(自分たちの特徴・良さの解像度がその後の戦略・計画策定に活き、採用拡大期の暗中模索感・右往左往感が減った)
拡大初期(3期)
拡大初期とは書いたものの、大量採用して一気にスケールだ!というよりも、まだまだど真ん中のお客さんに深く入り込みにいく、それを実現するための人的投資を加速させたくらいの様相です。
繰り返しですがマーケティングもしていませんし、エンジニアを含めると基本的には人件費が投資対象となります。
複数の大手金融機関への導入が進んだ1年でもあり、みずほ銀行さんなどに初期的な導入をいただけたのもこの期です。
開発面では、最初の基幹プロダクトSimpleCheckの拡張として個人事業主機能、2つ目の基幹プロダクトSimpleMonitorのリリースという、大きな進捗がありました。
開発組織も多くなりDevOps、インフラ・セキュリティ面への投資も始動しました。
コーポレート的には、エクイティ調達だけでなく、デット調達も本格的に始め、特許含む守り面のアクションもしました。1人目広報が参画してくれて、対外発信活動も本格的に始めていきました。
3期末時点では、30人いましたので、14人採用したことになります。エンジニア7人、ビジネス4人、調査2人、広報1人です。ビジネス、開発含め、現在の各部門の中核を担うメンバーがこの3期目に入社しています。ジュニアメンバーは3-4人でした。
きちんと認識できてませんでしたが、1年で倍の組織拡大をしたことになります。
エンジニアはほとんどがスカウト・エージェント経由でビジネス含むその他も半分は同じ経路です。
こうしてみると、リファラルとそれ以外の数が逆転したのがこの期でした。
ご案内の通り、リファラルを志向している僕らですから、理想的な組織拡大をしようとすると、リファラル以外の手立てを頼らざるを得なくなったことを意味します(リファラルで行くならもっとこだわり、先行して投資できていたのかもしれません)。ただ、結果的には、それが奏功したと言えます。
繰り返しですが、今のメンバーの活躍を見れば、業務上も組織づくり上も、本当に中核を担っているからです。
あ、大事なことを忘れてました。この期間はぼくとHR/担当専属の諏訪間さんの2人しかいません。パートのスタッフの方1人と特定ポジションに特化してRPOは活用していました。
中野は実質他部門と兼任ですから、ほぼ1人手に回してくれていたということです。この場で恐縮ですが、本当にありがとうございます。
この3期の学び・成功事例を書きます。
採用メンバーが少ないこともありエージェントコミュニケーションも狭く深くする必要があったが、それが会社文化とも相性がよかったこともあり、結果として本質的な流入が担保でき、採用に繋げられた
リファラル以外の流入を中心とした倍の組織拡大であったが、むしろその分カルチャーフィットをものすごく重視したため、今の組織の中核になっていただけていると感じる(カルチャーを優先して採用を丁寧に進めたことが本当に良かったのか、その経営成績は数年後に出るが...絶対良かったと信じている)
そうはいっても引き続きリファラルが一定程度あったことで、結果的だが採用チームが最小単位で構成できたこと(リーンに運営できたこと)、リファラルモメンタムを維持できたこと、創業期のカルチャーをゆっくり発展させられた
数字は計測は始めたが、強まる数字圧力に屈せず、歩留まりなどに拘りすぎないことを意識したことで、候補者対応への集中や効率より効果を狙った施策に手をつけられた→現在の協力者の方やエージェントさんからの信頼に繋がっているように感じる
拡大期(4期)
デット調達含め40億円規模のシリーズBを実施し、更なる事業拡大を企図した1年でした。
同時に既存プロダクトの大きな進化(CKG機能のリリース)、銀行金犯というど真ん中・深層部への入り込み、が象徴的な期でもあります。
超大型顧客の導入が確定し、シリーズBのエクイティストーリーを決定。時間をかけて、同時により大きな投資をして、企業成長を目指していくことを覚悟した年末から、夏にかけてCEOリソースの多くを投じました。
ぼくは役割分担でシリーズBは多くをお任せしました(三宅さんにはとても感謝です)。傍目だからこそ言えますが、素晴らしい結果だったと思います。
大変ありがたいことにメガバンクさんなどの取引も大きくなり、本当に会社になってきたこと、信頼と責任が大いに増したこと、を強く感じた1年です。
4期末は55人なので、25人の新規採用ですね。
Biz10人、Engineer8人、調査2人、デザイナー1人、HR・コーポレート4名です。
Bizは金融向けの既存コア事業の拡大がほとんどですが、他産業向けなど長期・将来の売上に寄与するメンバーが複数入社したのが特徴的です。開発もQAやインフラに強いメンバーも仲間になりました。
HRは漸くここで採用担当が1名と、労務/組織が1名参画しました。
現在の5期は50名近い採用を予定していたので、その採用ケイパビリティ向上と、拡大する組織への断続的な強化施策を目的としたものでした。
4期末はほんの数ヶ月前ですので、足元の学びも交じりますが、4期の学び・成功事例です。
スカウトはやはり、たとえ短くても1to1へ拘る方が、僕らは結果的に良かった
外向けには会社の顔、中向けにコミュニケーションのハブとなるHRチームの採用は慎重を期したが、採用後のソフト面のオンボーディング含め丁寧に実施することがぼくらには本当に大事で、結果的に良かったと感じる
事業特性上恐らくこの先もずっと採用し続け、その優位性確立も必要なポジションと、奇跡だとしても良い方に一度出会えればそれで良いポジションが正直あるが、その切り分けを行いメリハリつけるのは大事(今もやり切れてなくて、その実行はとても結構難しい)
役員相当となる採用責任者を含む、ハイレイヤー採用は、(当たり前ながら、特に僕らの場合は)やはりトップコミット必須であり、対外発信含め外向けの活動量を増やさないと難しい(これは奇跡でも良い方に出会えれば良いが、その上でコミットしていかねばムリだという前提に立つべきだった)
最後に
本記事は、採用担当を務める村上さんに発案いただき、筆をとりました。
ですので、今最も注力している、採用課題を共に解決してくる同志の探索。
SimpleFormとしての採用2.0のブーストメンバー(上場まで今回のメンバーでつくる)、これを3月までの短期集中で集める。
ここに、ぼくらに、関心を頂けた方向けの記事です。
僕ら特有の観点をふんだんに盛り込んでおり、一般化していないので、ご留意ください。
暫定 採用責任者 / 暫定 人事所管役員
中野