【20年で市場規模3倍】ドラッグストア急成長の立役者は食品だった。
ドラッグストア市場が急成長しています。過去20年間で市場規模は3倍になり、2016年には百貨店を超えました。今回はその急成長の原動力を探っていきます。
ドラッグストアの市場規模は2016年に百貨店超え
ドラッグストアの市場規模は、2016年に百貨店を上回りました。
過去20年間のドラッグストアの市場規模の推移を見ると、一貫して増加トレンドにあったことが分かります。2000年当時は2.7兆円の市場規模だったものが、2019年には7.6兆円に達しています。
一方、同じく市場規模を拡大し続けてきたコンビニは、近年成長にやや陰りが見えます。成長曲線が緩やかになりつつあることがグラフから見てとれます。
実際に、2019年には統計開始以来初めてコンビニの店舗数が減少するというニュースがありました。
20年間で市場規模は3倍に
次に、各業態の市場規模の推移を指数化してみます。
そうすると、ドラッグストアの成長がより鮮明になりました。過去20年間で、市場規模は約3倍になっています。百貨店の市場規模が4割近く縮小しているのと非常に対照的です。
では、この成長の最大の要因は何なのでしょうか。
ドラッグストア急成長のカギは食品にあり
上のグラフは、ドラッグストアの商品別売上の推移を示しています。売上シェア上位の4カテゴリの売上を、2014年を100として指数化したものです。
こうしてみると、食品の伸び率の高さがはっきりと分かります。5年前に比べ、約60%売上が拡大している計算です。
では、各カテゴリの売上構成比はどうなっているのでしょうか。
いまやドラッグストアの売上の3割が食品
上記は、ドラッグストアの商品別売上構成比と、食品の売上シェアの推移を示したものです。
現在では、ドラッグストアの売上の約3割が食品によってもたらされています。構成比も年々上昇しており、過去5年間で4.0ポイント増加しました。
ドラックストア各企業において、食品売上の存在感は年々大きくなっています。実際に、業界トップのツルハHDの有価証券報告書の記載にも変化が見られます。
これまで「その他」に含まれていた食品カテゴリが、2019年度から独立項目として表示されるようになりました。それだけ、ツルハHDにとっても食品売上の重要性が増しているという証拠です。
フード&ドラッグ業態の躍進
最後に、ドラッグストア各社の食品売上構成比をチェックします。
「フード&ドラッグ」を標榜するコスモス薬品とGenky Drugstoresでは、食品の売上高構成比がなんと5割を超えています。
元々ドラッグストアにとっては、あくまで医薬品や化粧品がメイン商材で、食品や雑貨は「副部門」という位置づけでした。それを逆転させる企業が出てきたというわけです。
食品をメインに据えると、どうしても売上総利益率(粗利率)は低くなります。そのままだと利益が出しにくい状態です。
ですから、こうした「フード&ドラッグ」業態の企業は、短期特売の廃止やポイントカードの廃止といった取り組みにより販管費を低くコントロールしています。詳しくは下記noteも参考にしてみてください。
今回は以上です。