
《手売り》すればいいってもんじゃない
「絶対に面白いから観に来て!」
SNSなどでそんな宣伝文句を謳う若手お笑い芸人を「それってどうなんだ?」と思っている俺。
そして、自分で「面白い!」と謳う舞台は大概つまらない。
”本当に面白い舞台”というのは、ファンが殺到する以外に一般層へも情報が浸透していつの間にかチケットは完売している。
舞台の魅力で完売させる実力が無いから、自分で「面白い!」と謳うしかないんだよね。
で、その「面白い」という感覚は最大公約数の面白さじゃなく最小公倍数的な面白さ。
分かる人には分かるというセンス。
それを他人に押し付ける人が苦手である。
”そういう現象”はお笑いライブだけで起きているわけではない。
「演劇」などもそうだ。
最近、商店街で演劇のチケットを手売りしている人を見かけるようになった。
詳しくは分からないが、遠目に見た感じだと
「面白いです!」
「楽しい演劇!」
「@@さんが脚本・演出」←人名知らない
「@@賞を取った」←脚本家が?
みたいな説明の文言が聞こえてきた。
チケットの値段がいくらかは分からないが、おそらくは「相当つまらない舞台」だと推察される。
なんてんだろ…。
大学生が内輪ノリで作った作品を、仲間内でキャッキャしている感じ?
プレゼンが下手なのもあり、面白さが全然伝わってこない。
キングコングの西野さんが「若手の頃に舞台のチケットを手売りしていたことがある」とラジオなどで語っている。
「ネタをやるので面白かったらチケット買って下さい!」と言って売りさばいていたらしい。
このやり方なら「あ、なんか面白そう!」って分かる。
(短いながら)ネタを見せてくれるので、自分が面白いかどうかの判断がつけられるからだ。
なので手売りを全面的に否定するわけではない。
一方で演劇は舞台の作品を“そこ”でやるわけにはいかない。
なので「絶対に面白い!」としか説明しようがないのだ。
だったらせめて、そこで2人で寸劇(エチュードって言うんだっけ?)みたいなのを見せればいいのに。
それが自分が求めている演劇なら、チケットはもっとさばける気がする。
ただ突っ立って「お願いしま〜す!」と声かけしたところで、売れるものも売れない。
“令和”の今に“昭和”の「飛び込み営業」的な精神論を持ち込んだところで共感を得るのは難しい気がするんだけどね。
これ、俺ならどうするだろう…。
まずはiPadなどのタブレットに、過去の公演作品のダイジェスト映像を入れて「サンプル」を作るかなぁ。
紙ペラのフライヤーじゃなく映像で「こんな舞台なんです!」というのを分かってもらおうとすると思う。
さらにその映像をYouTubeにアップし、そのQRコードを印刷して置いておいて後でゆっくりチェックできるようにもするかな?
どうせ外で立ちんぼするならそれぐらいの【準備】はしておきたいところだ。
この前観たオムニバス映画じゃないけど…。
やっぱり、人には感性が合う・合わないがある。
この5つのオムニバス作品のそれぞれのチームは「これが面白い!」と思う【ゴール】へ突き進んでいる。
その【ゴール】が「感動」なのか「コメディ」なのか「ホラー」なのか「ドキュメント」なのか…。
どうしても「個人の好み」というのがあるわけで。
せっかく時間と労力を使って宣伝するんだから、最大限の効果が発揮できるように下準備しようぜ…という話。
根性(精神論)だけじゃ人の心は動きにくいぞ。