面白い推理だね探偵さん、あなたは作家になったほうがいいよ 1
今日から、かぐやSF3の作者当てゲームをします。
何を隠そうぼくは以前ミステリを書いていたので自信がないわけではない。
自信がないわけでもないはずなんだけど、前回は大幅に外していました。なぜだ。
ですので、ぼくの推理は鵜呑みにしないようご注意ください。
さて(みなさんは「名探偵、皆を集めて、さてといい」って知ってます?)。
さて(二回目)、作者当てゲームをする場合、まずは簡単なところから作者の名前をあげ、残りに対処するのが、おそらくはベストの方法でしょう。
容易な問題から解いていくわけですね。
ぼくが作品を読んで、最初にこれは……と思ったのは「叫び」です。
作者は暴力と破滅の運び手さんだと考えています。
なぜか。
以下に理由を説明します。
まずは文体。
暴力と破滅の運び手さんは、文章がめっちゃ端正です。で、その文章のニュアンスというか、香りというか、それがJUNEって感じがするんですよね。
今はボーイズラブとかBLとか呼ばれるジャンルは、ぼくが二十歳のころはJUNEとも呼ばれていたんです。
この方面はめちゃめちゃ詳しいかたも多いので、ちょっと及び腰で続けますが、今のBLとJUNEは微妙に違うところもあって、BLは恋愛を描いていると思うんですが、JUNEは栗本薫のいう「変形された情熱」を描くものだった、ように思うのです。
BLでは同級生というパターンも多いかと思うのですが、JUNEでは圧倒的に年齢差があり、「支配と被支配」とか「人形と製作者」とか、それこそ神と人間とか、そういうカップリングが多かった。もちろん師匠と弟子とかもそう。支配という形で手に入れようとするものと、それに抗うものの相克というか、支配しているつもりだったものが、ゆるやかに逆転され、逆に支配されてしまうとか、そういうものを好んでテーマとしていた。栗本薫の『真夜中の天使』や、栗本がJUNEの精神を説明する時に好んで取り上げたオスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』のような作品群。暴力と破滅の運び手さんの文章からは、そういった仄暗い高貴な精神のようなものを感じるんです、読むとね。
ある種の文体は、ある種のテーマを選ぶ。
暴力と破滅の運び手さんの文体もまた、JUNE的としか言いようのない題材をテーマとして選んでいると思います。
最終候補作の中で、「支配と被支配」や「人形と製作者」「支配という形で手に入れようとするものと、それに抗うものの相克」というテーマに当てはまるものは、人間の手で作られたサラブレットがおそろしい声を上げ始める「叫び」しかありません。
あ、論証が終わってしまった。
ということです。まずは、とか書いておいて、これくらいしか考えてなかったのですね。
「叫び」は暴力と破滅の運び手さんの作品のはず。