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ID・端末管理とウィルス対策はできているけど、次に何をすれば良いのか

こんにちは、DeepApex株式会社(ディープエイペックス)代表取締役の市川 駿です。

企業において、IDと端末管理、ウィスル対策ソフトの導入は完了していて、最低限のセキュリティは確保できていると思うが、より高度なセキュリティ対策のために次に何を行うのが良いのかを悩んでいる方も多いと思います。この記事では、次の施策として何が有効であるのかについて書いていきたいと思います。


次に行うべきセキュリティ対策

ID・端末管理、ウィルス対策ソフトの導入は、企業のセキュリティ対策における第一歩と言えるでしょう。しかし、サイバー攻撃は日々巧妙化しており、これらの対策だけでは十分ではありません。より高度なセキュリティ対策を検討する上で、多要素認証(MFA)の導入やエンドポイント検出と対応(EDR)の導入などが次の有効な施策になります。

多要素認証(MFA)の導入

最初に検討すべきは「多要素認証(MFA)」の導入です。IDとパスワードによる認証だけでは不十分なことが多く、特にフィッシング攻撃やパスワード漏洩に対する脆弱性が残ります。MFAは、ログイン時に複数の要素(例:パスワードに加えてSMSによる確認コードや認証アプリ)を要求することで、不正アクセスのリスクを大幅に低減します。たとえIDとパスワードが漏洩したとしても、追加の認証要素が要求されるため、攻撃者がアクセスするのは難しくなります。

特に、リモートワークやモバイル端末の普及が進んでいる現在、どこからでもアクセス可能なクラウドサービスのセキュリティ強化にはMFAの導入が欠かせません。導入には少し手間がかかるかもしれませんが、システム全体の安全性を大幅に向上させることができます。

エンドポイント検出と対応(EDR)の導入

次に考慮すべきは、エンドポイント検出と対応(EDR:Endpoint Detection and Response)の導入です。従来のウィルス対策ソフトは、既知のマルウェアを検出して駆除することに主眼を置いていましたが、サイバー攻撃は日々高度化しています。ゼロデイ攻撃や標的型攻撃といった、新たな脅威に対応するためには、リアルタイムで異常な動作を検出し、適切に対応するEDRが有効です。

EDRは、PCやスマートフォン、タブレットなど、あらゆるエンドポイントでの異常な挙動を検知し、迅速に対応できるようにします。例えば、通常とは異なるネットワークトラフィックや不正なファイルの実行などをリアルタイムで監視し、問題が発生した場合には即座にアラートを出します。また、発生した問題の詳細なログを収集し、分析することで、将来的な攻撃を防ぐための有益な情報を提供します。

ゼロトラストセキュリティモデルの採用

従来のセキュリティモデルでは、社内ネットワークを「信頼できるもの」とし、外部のアクセスを制限する形が一般的でした。しかし、クラウドサービスの利用拡大やリモートワークの普及により、社内ネットワーク自体が信頼できるとは限らない状況が増えています。このような背景を踏まえ、ゼロトラスト(Zero Trust)セキュリティモデルの採用が注目されています。

ゼロトラストモデルでは、「信頼するものはない」という前提のもと、すべてのアクセス要求に対して継続的に検証を行います。具体的には、ユーザーの身元確認だけでなく、アクセスしようとしているデバイスの状態やネットワークの安全性も確認します。また、最小権限の原則に基づき、ユーザーが必要最低限のリソースにのみアクセスできるように制御します。

ゼロトラストモデルを導入することで、従来の境界型セキュリティモデルが持つ弱点を補い、より柔軟かつ強力なセキュリティ対策を実現できます。

データの暗号化

企業内のデータ、特に機密性の高い情報は、暗号化して保護することが重要です。万が一、デバイスやサーバーが侵害された場合でも、データが暗号化されていれば、攻撃者は容易にその内容を読み取ることができません。

暗号化の適用範囲は多岐にわたります。ファイルの保存時(静止データの暗号化)、データの送信中(転送データの暗号化)、さらにはデータベースやバックアップシステムに保存されている情報まで、包括的に暗号化を施すことで、セキュリティを強化します。特に、規制やコンプライアンス要件を満たすためには、暗号化は欠かせない施策です。

セキュリティ教育と啓蒙活動

技術的な対策を施しても、最終的には「人」がセキュリティの最大の脆弱性となり得ます。従業員が適切なセキュリティ意識を持っていなければ、どんなに高度なシステムを導入しても、不注意なミスやソーシャルエンジニアリング攻撃により脅威にさらされる可能性があります。

そのため、定期的なセキュリティ教育を行い、従業員に最新のサイバー脅威やその対策方法を周知することが不可欠です。具体的には、フィッシングメールの見分け方、パスワード管理の重要性、そしてリモートワーク時のセキュリティ対策など、現実的なシナリオを基にしたトレーニングを実施しましょう。また、セキュリティ教育だけでなく、セキュリティに関する定期的な啓蒙活動や、インシデントが発生した際の対応方法についても従業員に周知しておくことが重要です。

ログ管理と監視体制の強化

ログ管理は、セキュリティ対策の一環として見落とされがちですが、万が一のセキュリティインシデント発生時に非常に重要な役割を果たします。アクセスログや操作ログ、システムエラーのログなどを適切に管理・分析することで、攻撃の兆候を早期に検知したり、攻撃後の調査に役立てることができます。

さらに、ログを集約し、リアルタイムで監視する体制を整えることで、迅速な対応が可能となります。SIEM(セキュリティ情報イベント管理)システムを導入することで、複数のログを一元管理し、異常な挙動が発生した際にアラートを上げる仕組みを構築できます。これにより、潜在的な脅威を事前に察知し、被害を最小限に抑えることが可能になります。

インシデントレスポンス計画の策定と演習

セキュリティ対策をどれだけ強化しても、サイバー攻撃を完全に防ぐことは困難です。そのため、万が一のインシデントが発生した際に迅速かつ適切に対応するための「インシデントレスポンス計画」を策定しておくことが不可欠です。

この計画には、インシデントが発生した際にどのような手順で対応するか、どの部署が責任を持って対応するか、外部のセキュリティ専門家や法執行機関との連携方法などが含まれます。さらに、この計画を定期的にシミュレーションし、実践的な演習を行うことで、いざという時にスムーズに対応できる体制を整えましょう。

まとめ

ID・端末管理とウィルス対策ソフト導入後の次のステップとして、まずは多要素認証(MFA)の導入やエンドポイント検出と対応(EDR)の活用が重要です。ゼロトラストモデルを採用し、ネットワークの境界を超えたセキュリティを確立することも効果的です。さらに、データの暗号化や従業員へのセキュリティ教育、ログ管理の強化も欠かせません。最後に、インシデントレスポンス計画の策定と演習を行い、迅速な対応体制を整えることが、より強固なセキュリティ対策に繋がります。

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