田舎の良さと都市が持っていないもの
都市に憧れる人は多い。僕も地方都市である金沢に住んでいた高校の時は大都市に憧れていた記憶がある。でも、東京や名古屋に実際住んでみて、都市の持っているもの持っていないもの、田舎の持っているものと持っていないものがよくわかり、変な憧れはなくなった。金沢、東京、名古屋、豊田、と地方都市、工業都市、大都市を住んできた僕から見て、田舎の良さを分解できたらと思う。
ここで、間違いの内容に以下二つの前提で話を進めたい。
①決して都市が悪い、田舎がいい、都市がいい、田舎が悪い、という二元的な議論でなく、あくまでも僕の主観で、田舎の良さを伝えるということ。
②日本でいうと、田舎を限界集落などを多数抱える市町村、地方都市を金沢や広島・福岡などの地方のハブとなる都市、大都市を東京・大阪・名古屋と定義する。
1.田舎の生活費が圧倒的に安い
まずは、何と言っても、田舎での生活費が圧倒的に安い。例えば、奥能登の友人は一軒家を10,000円とか30,000円で借りて生活している。一か月の家賃がそれである。しかも、普通の一軒家ではない、8LDKや11LDK 納屋付き、など、信じられないくらいの大きな家である。東京でその価格で住もうと思ったらいったいどんな物件が待っているのだろうか、、、恐ろしくなる。生活の基盤である”住”の値段が安いと必然的にすべての価格が下がってくるし、生活に対する負担が減る。物価も下がるし、出ていくお金も少ない。また、畑なんてどこでもできるので、その気になれば食料の調達の半部くらいを自分で行うことだってできる。
2.生産と消費が近い
先に書いたことにも近いが、生産と消費が近い状態のままなのも田舎の特徴である。食べ物は誰が生産したものかがわかるし、自分が取りに行ったりもする。畑もあれば、漁業している友人もいる、役所に勤めながら漁業権を持っている友人もいる。週末自分たちが食べる分だけ取ったりする。タコや海苔、魚やサザエ。スーパーに行っても、魚が一匹まるごと売っている。都市では切り身になっているところがほとんどだが、魚の屑は釣りの餌になったり肥料になったり、出汁になったり、使い道がたくさんあるのである。大都市で生活していると、食料はスーパーで売っているもの、しかも何処の誰がどのような思いでどのように作っているかなんてまったくわからない。やることは、ただお金を払って、購入する、消費するだけである。生産と消費が近ければ近いほど、僕は「豊かだな」と思うことが多くなった。金沢もまだ生産と消費が近い数少ない地方都市だとおもう。これは食に限らず、日常的に使う食器や服も顔の見える関係で循環しているか、自分で作っているか、によって幸福度が全く変わってくると思う。大都市にはない、田舎ならではの魅力である。
3.人の顔が見える関係
生産と消費が近い、というのにも関係するが、人間関係がいい意味で密であり、すぐ知り合いに行きつく。市長にも繋がろうと思えば繋がれる。東京で区長や知事に会おうと思ったらとんでもないハードルが高い。ビジネスも地域で会社を経営していると多くの人が顔見知りになる。なので、悪いことをすると一瞬で広まる。だから逆に言うと、悪いことをされたり、騙されたりすることが大都会よりも圧倒的に少ない。もちろんそういうことをする人もいるが、地方で信頼できる人からの紹介ではよっぽど大丈夫だと思う。そういう点で、僕にとって金沢や奥能登はとてもビジネスがし易い場所である。
4.毎日が絶景
田舎には絶景がたくさんある。今日夕日綺麗だなーと思ったら、車を5分走らせて夕日がきれいに沈むスポットに行ける。今日星綺麗だなーと思ったら、天の川が見えるスポットに行ける。珠洲に通うようになって初めて知ったが、天の川って年中見れるんだってね!考えれば当たり前なことなんだが、天の川がない生活になれてしまっているので、びっくりした!海も山も川も畑も田んぼも、雨の日も晴れの日も朝も夜も、ちょっとした日常の一瞬がとても美しく、豊かだな、と思う瞬間が多い。これは大都会でコンクリートの建物ばかりだと絶対にできないことだと思う。金沢も車で30分で山に行け、海にも行ける。金沢に帰ってきて一番最初によかったなーと思ったことは、夕日綺麗だから海まで夕日見にいこっか、と、フラッと絶景をみにいったとき。これはその時の写真。
最後に
田舎の生活は”生活を営んでいる”なと思う。大都市に行けば行くほど”生活を消費している”。良い悪いでなく、僕にとっては、基本的生活費が低く、生産と消費が近く、顔の見える関係の中で仕事をし、絶景が広がっていたら、豊かに生活できるな、と、思う。もちろん都市の良さはある、圧倒的に最新の情報は都市に集中しているし、優秀な人材も多いし、修行するにはもってこいだと思う。僕も定期的に東京に入ってるし、情報を取りに行っている。だから、両方のいいところをとって、気に入った拠点を行ったり来たりして2拠点~3拠点生活するのがいいな、と、思っている。