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小さなあの娘

ボロボロになった校舎でも
四肢の飛び散った駅のホームでも
人々が散り散りになって逃げ回る広場でも

背中を丸め、顔を覆い泣いている

私はいつも彼女を慰めようと
そばで声を掛け、抱き締めるが、
彼女は肩を震わせ泣いている

私は彼女の顔を見た事が無い

膝を抱え、俯いている
その姿はあまりに小さくて悲しい

私はきっとこの子を知っている

私達姉妹の間に産まれるはずだった子

まだ性別も分からないうちに、
母の元を去ってしまった

私は初めて彼女を見た時
すぐに私の妹だと分かった

きっと女の子だったに違い無い
そう思った

彼女は私の前に現れる度泣いている

それは、
いつも私達を何処かから見ていて、
私が自分を傷付ける様子に
「間違ってる」と伝えたいからなのか

いや、あまりに自己中心過ぎる解釈だ

私の家族はあまり夢を見ない

私達があの子の話をしないから、
もう忘れられてしまったと思っているのか

だから私の元に来て、
「忘れないで」と願っているのか

決して忘れた事なんて無い

あの子も大切な姉妹、大切な家族、
私は2人の姉だといつも思っている

世界は苦しく辛い

お互い涙を流しても一緒にいたい

私はいつでもあなたに会いたい

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春泥
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