不協和音
色が無い
私から流れる真っ赤な液体
それだけで充分なのだ
私は真っ赤になった手で、
自分の顔をぐちゃぐちゃにする
貴重な色が腕から滴り落ちて行く
自分を見失わない様
身体中を真っ赤に染める
大きな蓄音機にもたれかかり
全身で美しい音を感じる
このレコードも赤く染めてしまいたい
蓄音機の側から
真下のベッドに飛び降りる
誰も居ない埃だらけの狭い部屋
ピアノの鍵盤が独りでに動いて、
その1音1音が私の身体に響き、
不快感を助長させる
眠ってしまいたいのに、
目だけを持つ人々が私の周りを囲み
痛みを与えてくる
やめてくれ
私はおかしな人間じゃない
身動きが取れなくなった今も
不快なピアノの音は鳴り止まない
その1音1音がゆっくりと、
私の全てをバラバラにする