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錦帯橋人材を目指す、スタートアップバックオフィスキャリア考察
はじめに
スタートアップの現場では、バックオフィスの方々が果たす役割が大変重要です。
多くの事業課題や日々の会社課題に関わりながら、事業の成長を支える屋台骨な存在となっています。
しかし、幅広い業務を担当する一方で、特定分野の専門性を深めるのが難しいのも実情です。
そんな中、スタートアップバックオフィスの方々からよく聞かれるのが、「自分のキャリアについての不安」です。
具体的には以下のような相談をいただくことが多いです。
・自分がキャリア的にこのまま行き詰まらないかが心配。
・広く浅い経験ばかりで、専門性がない。
・将来的に市場価値のあるキャリアを築けるか不安。
毎日毎日たくさんのタスクに忙殺される中で、自分はここ半年成長しているのか?と感じる。
一方、日常的にやり取りを行う弁護士・税理士・司法書士など、士業を持つ外部専門家は非常に知識・経験共に豊富で、タスクに忙殺されている自分との差を常に感じざるを得ない毎日。
そんな悩みを抱えていらっしゃるスタートアップバックオフィスの方々にとって、今後のキャリアをどのように考えればよいかについて、少しでもヒントになればと思い、noteを書きました。
これから年末に向けて、皆様のキャリアについて考える良いきっかけになれば幸いです。
スペシャリストかジェネラリストか
個人的な答えは、スタートアップのバックオフィスは「ジェネラリスト」を目指すべき。
というよりも、「スペシャリスト」になるのはほぼ無理と考えているので消極的な回答となっている。
「スペシャリスト」を目指すのがほぼ無理と考えている理由は、①時間的成約、②業務的成約のためである。
①時間的成約
スタートアップのバックオフィスは、少人数のメンバーで日々の細かいタスクから突発的なコーポレートイベントまで対応するため、業務時間が長くなりがちである。
税理士資格の取得までは約4,000時間、社労士資格の取得までは約1,000時間と時間が非常にかかるのは否めず、全力で業務に取り組みながら、資格取得にチャレンジするのは現実的ではないと感じている。(例外的な能力を持つ人材を除けば)
②業務的成約
スタートアップのバックオフィスは、少人数のメンバーで対応する以上、一人が一つの領域だけを完璧にこなせばOKという機会は珍しい。自分が過去〜現在までに対応したことのない業務まで担当しないといけないので、広さを得られる反面、深さは損なわれるのは否めない。
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求められる架け橋の役割
ジェネラリストでキャリア形成をしていく中で、何を意識していくのかよいか。
それは、今回のサムネイルにもある錦帯橋のような「架け橋」としての役割である。
スタートアップのバックオフィスはとにかく部署間で連携しないと解決できない魔王(事象)がとにかく頻発する。
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複数部門で立ち向かう場合もあり、
事象の大きさは千差万別
錦帯橋人材
1つの事象が発生したときに、自部門のみの対応・検討にとどまらず、隣の部署・隣の隣の部署まで、各部署でどのような影響があるかを理解し、専門家と伴走し、事象解決まで導ける人を指す。
部署(石垣)毎を、繋ぎ合わせ(橋)して、一つの形にしていくようなイメージで捉えてほしい。
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その石垣を横断的に繋ぎ合わせていける人材を指す
俯瞰しないといけない場面で、各担当者が自部署のことだけを考えて動くと事象を解決することに時間がかかるだけではなく、最悪の場合は解決が出来ない可能性すらある。
その時に求められるのが錦帯橋的な役割の人材である。
錦帯橋人材のケーススタディ
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Case1 ) 経理税務 × 法務
事象:契約書レビュー
契約書レビューはよくあるスタートアップのバックオフィス業務だが、契約書段階から経済条件を踏まえて、その契約を締結すべきかを事業部に伝達できることで、自社のリスクヘッジ担保を可能としたり、締結不要というケースを見つけられる。
Case2 ) 経理税務 × 法務 × 管理会計
事象:新商流検討
新しい商流を検討する際、①利益計算や資金繰り、税務の観点から影響を分析しつつ、②新たな取引形態が法的リスクを伴わないかを確認する。この2つの視点から得られた示唆を管理会計的に考えて、経営陣が求められるアウトプットを決められる。
Case3 ) 管理会計 × 採用 × IT
事象:採用活動の費用対効果の可視化
①採用活動単体ではなく、②採用活動〜採用した人の入社後のパフォーマンスも鑑みた費用対効果をウォッチして、管理会計に活かしていく必要がある。スプレッドシートで追っていくことは限界であり、採用〜タレントマネジメントシステムを導入し、どのように活用していくかを決められる。
他にも、法務 × 労務 × 総務での労働法関連、経理税務 × 管理会計 × ITでの会計システムの導入などケースはあり、錦帯橋人材の活躍の場は少なくないと言える。
また、バックオフィスチームの中に錦帯橋人材が複数いれば、少ない人数でバックオフィス運営が可能になり、高い生産性と迅速性をキープできる。
一個人としては、幅広い業務に携われることでモチベーションも保ちやすくなるメリットもある。
まとめ
錦帯橋は山口県岩国市にある有名観光地で、以前旅行関連の資格取得をしてた時に、「この橋の形ってスタートアップのバックオフィスの目指すべきキャリアな形してるなぁ」と思ったので、今回のnoteのテーマとした。
(訪れたことはないが、近いうちに行ってみたい)
スタートアップのバックオフィスはどうしても孤独になりやすい。
そんな状況下で、SNSでは友人や知人の「CFO就任」「管理部長になりました」という投稿や、「生成AIの高度化でジェネラリストはいなくなる」というタイムラインを眺めると、このままのキャリアの歩み方で良いんだだっけ?!と思うことも少ないない。
そんな時に、「自分は石垣を積むことだけではなく、それぞれの石垣に対して橋を架けられる人材になろう」と、錦帯橋人材について思い出してもらえたらと。
結局、キャリアの正解は死ぬ時まで答え合わせ出来ないので、難しく考えずに新しいことにチャレンジして、将来的に自分の管掌範囲を広げつつ、部門間の連携を図れる人材となれると、バックオフィスライフも楽しくなるのかなと思います。
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![田中 俊輔](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/98315808/profile_f15dbc40c53f3b642a73210f54b6de0c.png?width=600&crop=1:1,smart)