スタートアップのバックオフィス:AI入門
AIが便利だと気づいていながら、「自分の業務にどう活かせばよいかわからない」と悩んでいるスタートアップのバックオフィス担当者の方は多いのではないでしょうか?
そんな思いから、このnoteを書き始めました。
SNSのタイムラインでは、ChatGPT、Claude、Perplexity、Geminiといった主要な生成AIツールから、初めて耳にするようなAIツールまで幅広く紹介されています。しかし、情報が多すぎて「便利そうだけど、自分の業務にどう使えばいいのか?」という疑問が湧いてくる方も多いはずです。
ただ、悩んでいるだけでは前に進めません。
そこで、私自身1ヶ月間、生成AIを日々の業務に取り入れることを試し、初心者なりに活用方法を模索してきました。
本記事では、スタートアップ企業のバックオフィス業務に特化した生成AIツールの活用方法を具体的に紹介します。
どんな人におすすめか?
スタートアップ企業でバックオフィス業務に従事している方
AI導入に興味があるが、具体的な方法がわからない方
業務効率化、コスト削減を目指している方
最新のAIツールについて知りたい方
ユースケースの提案
① スプレッドシートでの効率的な関数やデータ整理
スプレッドシートで複雑な計算やデータ整理を行う際、「どの関数を使うのが良いか」と迷ったり、既に組まれている関数が「どの数字を引っ張っているのか」が分からず、業務が滞る経験をされた方も多いのではないでしょうか。特に、エクセルで利用可能な「トレース機能」がないスプレッドシートを使っている場合、データの参照元を確認する作業に手間取ることがあります。
最近では、事業計画や売上予測をスプレッドシートで作成するスタートアップも増えています。その中で、こうした課題に直面し、効率の低下を感じているのは私だけではないはずです。
使い方の提案例
①-1 関数や計算式の提案
スプレッドシートには多くの便利な関数がありますが、どれを使うべきか判断が難しいことがあります。生成AIを活用することで、「こういう結果を得たい」と自然言語で入力するだけで、適切な関数や計算式が提案される。
例:
・「売上データの集計で、各月ごとの平均値を計算したい」
→ AVERAGEIF関数やその具体的な使い方を提案。
・「重複したデータを排除してユニークな値だけを抽出したい」
→ UNIQUE関数や応用例を説明。
①-2 既存の関数や参照元の解読
既に複雑な計算式が組まれたスプレッドシートを引き継いだ場合、どのセルを参照しているのかを一つひとつ確認するのは非常に手間がかかります。生成AIに「この関数は何をしているのか」「どのセルを参照しているのか」を質問することで、関数の意味や参照先を即座に把握できる。
例:
・既存の=SUM(IF(A1:A10>100, B1:B10, 0))のような式をコピーして「何を計算しているのか教えて」と尋ねる。
→ 「A1からA10までの値が100を超える場合に対応するB列の値を合計している」といった解説を得られる。
・「このスプレッドシートの計算式で最終的な売上予測がどのセルに基づいているのか教えて」と指示。
→ AIが計算式を解析して、参照元のセルやその関連性を教えてくれる。
①-3 データのトレース作業を補完する
Googleスプレッドシートでは、エクセルの「トレース機能」が使えないため、複数のシートやセルにまたがるデータの追跡が面倒です。この点でも生成AIが役立ちます。参照元や関連データをAIに入力すると、関係性を整理し、「どのセルがどのセルに依存しているか」を可視化するサポートが可能です。
例:
・「このセル(C15)のデータがどのシートやセルを参照しているか教えて」と指示。
→ AIが計算式を解析し、参照先を一覧で表示。
・さらに、「このスプレッドシートの全体の計算フローを教えて」と依頼。
→ AIが主要な参照関係をまとめた説明を生成。
② Google Apps Scriptをやりたいことから調べる
手作業で行っている業務を自動化するためにGoogle Apps Scriptを活用したいけれど、「コードが難しい…」と感じる方もいるでしょう。
生成AIの活用により、コードの知識が少なくても直感的にスクリプトを作成できるため、バックオフィス業務の幅が広がります。
使い方の提案例
例:
・「複数のGoogleドキュメントをまとめてPDFにするスクリプトを作成してください」と指示。
→ AIがスクリプトコードを作成。もし意図していない動作になった場合には何度でも修正してもらうことが可能。
・「スプレッドシートの特定の列に入力された期日の1日前に、Slackでリマインダー通知を送るスクリプトを作ってください」と指示。
→ AIがスクリプトを生成し、Slack APIの設定方法も解説。
③ 会計処理や業法の初期的調査
会計や法務関連の業務では、初めて直面する問題に対して、正確性と迅速性のバランスが求められます。正確性の担保という意味で、弁護士・公認会計士・税理士といった専門家を活用すると思いますが、事前に生成AIで大枠を掴んでおくことで、コミュケーションや回答への理解度も深まります。そういう点から、調査の初期段階では役立つ場面が多いと思います。
使い方の提案例
例:
「仮想通貨取引所の会計処理について教えて下さい」といった大まかな質問にも、簡潔な回答を得られる。
④ 自動化したいことのアイデア壁打ち
「どの業務をどのように自動化すればいいのか?」が明確でない場合でも、生成AIはアイデア出しの相棒として活用できます。業務内容を簡単に入力するだけで、改善案や自動化のヒントを提供してくれます。
使い方の提案例
例:
「毎月の経費精算フローを効率化したい」と入力するだけで、ツールや手順の選択肢を提案してくれる。
⑤ Slack、メールの読みやすさ向上日々のコミュニケーション業務も、生成AIを活用することで効率化できます。メールやSlackメッセージの内容を整理し、読みやすい文章に書き換えることも簡単です。
使い方の提案例
例:
「この内容をもっと簡潔に」「もう少し丁寧な表現に」といった指示をするだけで、即座に改善されたテキストを生成してくれる。
おすすめの生成AIツール 2選
バックオフィス業務を効率化するうえで、適切なツール選びは重要。
ここでは、具体的な特徴や活用例を交えながら、おすすめの生成AIツールを3つご紹介いたします。
1. Poe
Poeは、OpenAIのChatGPTやAnthropicのClaude、GoogleのGeminiなど、複数のAIモデルを一つのプラットフォーム上で利用できるツールです。簡単な登録だけで、さまざまなAIを切り替えながら活用できる点が特徴です。特に、特化型AIを試しながら自分に合ったモデルを見つけたい方に最適。
複数の生成AIがあって困るのが、どの生成AIの回答が自分の求めている回答でベストかの判断。
Poeであれば、1つの質問に対して複数の生成AIの回答を取得できる点が強み。
2. Felo
Feloは、特に日本語に特化した多言語対応のAI検索エンジンであり、情報の視覚化やSNSからの情報収集に強みを持っています。これにより、ビジネスや学術研究、日常の情報収集において非常に便利なツールとなっている。
WEB上から関連ソースや関連画像、関連動画をまとめて収集可能で、その収集したデータを要約してくれるところに強みがある。
まとめ:生成AIでバックオフィス業務を楽しよう
生成AIを活用しないまま、人材市場で生きていくのは正直難しいでしょう。
メルカリでは「やらないと死ぬ」とまで危機感を持って、全社員が活用に本腰を入れているようです。
バックオフィス業務は、「手作業でやるべき」「自分で本を読んで調べるべき」など、謎の不文律に縛れている面があると感じます。
ただ、スタートアップという動きやすい環境であれば、そのような不文律は無視して、新しい技術である生成AIを活用して楽していこうというマインドが広まれば良いと思ってます。
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