いわき、昇格遠のく敗戦
明治安田J2リーグ 第35節
サッカーのいわきFCは20日、アウェイのシティライトスタジアムでファジアーノ岡山と対戦し、1対2で敗れた。いわきは14分と21分にセットプレーのこぼれ球を岩渕に決められ、前半は終始劣勢。後半は選手交代を機に盛り返し、56分には山下のFKを大森が頭で合わせて、1点差に迫った。しかし、その後は岡山DF陣を崩しきれず、痛い敗戦。いわきの通算成績は14勝9分12敗の勝ち点51で、6位のベガルタ仙台と残り3試合で勝ち点差が7に広がり、J1昇格プレーオフ圏内が遠のいた。いわきは次節、26日にホームのハワイアンズスタジアムいわきで水戸ホーリーホックと対戦する。
岩渕に2失点、岡山に力負け
前半は岡山が完全に主導権を握った。岡山は前線からのプレッシングが厳しく、ボールを奪った後のパス回しも速くて正確だった。いわきの出来が悪かったというより、岡山のパフォーマンスが単純にいわきよりも優れていたと表現した方がいいだろう。岩渕が決めた2得点も、その前に藤田や田部井が強烈なシュートを枠内に撃てる技術があったからこそ。開幕から昇格プレーオフ圏内をずっと維持しているだけあって、フィジカルとテクニックが融合した好チームであることをこの試合でも証明した。
いわきは後半に入って山下を中央に配置すると、右の加瀬と左の五十嵐からクロスが入るようになり、岡山ゴールに迫るシーンが増える。大森のバックヘッドで得点を挙げた瞬間は、今季初の逆転勝利へ向けて希望も膨らんだ。しかし、岡山は選手交代でいわきの流れをせき止める。特にFWに入ったルカオは、巨体を活かしたボールキープで着実にいわきの攻撃時間を奪った。終了間際に入った柳も、体を張って谷村のシュートをブロック。交代枠を1枚余らせたままタイムアップを迎えたいわきは、岡山に多くの面で届いていなかった。
クラブにとってもサポーターにとっても痛恨の黒星とはなったが、一方で岩渕の得点により、クラブが目標に掲げる「日本のフィジカルスタンダードを変える」点においては、また一歩成功に近づいたとも言える。来月2日には、国立競技場で行われるルヴァンカップの決勝戦にアルビレックス新潟が初進出。その新潟で背番号8を堂々と背負い、主力として活躍しているのは、昨季までいわきに在籍した宮本だ。いわきで心身を鍛えた選手たちが日本中に散らばり、やがては世界へと広がっていく。敗戦の悔しさを噛みしめながらも、日本スポーツ界の底上げに貢献すると同時に、浜通りを大きくしていくというこの壮大なプロジェクトに参加できる幸せを、残り3試合も余すところなく享受したい。