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QUELL 「BILEVER」感想


はじめに

 こんにちは。3回目の投稿です。今回はデビューアルバムの感想です。語りたい曲はほかにもたくさんありますが順を追った方がいいだろうと思いましたので。(そんなこと言いつつ順番吹っ飛ばす自信があります。)
 ドラマパートを含むアルバムですが今回は楽曲の感想のみでいきます。前のより短くなると思います。

感想

 まず正直にいいましょう。このアルバムの3曲は全然聞いていませんでした。理由はよくわからないから。電子音が多くて耳慣れず、どんなメッセージを読み取ればいいのかわからなかったから。こんな風に書くとディスってるみたいですね。ノンデリですみません。なんでわざわざきいていなかったことを上げたかというと、ただかっこいい歌というだけではなく今ならいろんな想像が膨らんで何度も聞きたくなるからです。

 今回は歌詞の解体ではなく、この曲が生まれる背景に思いを馳せてみましょう。
 まず、作詞、作曲は和泉柊羽。柊羽はまだ曲を誰かにおろしたことがなく、このアルバムで初めて誰かの歌をつくりました。
 3人は出会ってまもなく、まだ互いのことをよく知らない。どこまでなら踏み込んでいいのか探りながら距離を縮めようとしているところです。
 双子は当初16歳で中学卒業後は施設を出て工場で働いていました。未来なんて想像もつかなくて明日のことを考えるのが精一杯です。(このあたりの描写はスケステep.8 スクレボ/あの頃の僕らは。で語られていて山中兄弟の演技が素晴らしいです。もし見てくださり山中さんにはまった方はep.3ロミオネス青を見てください。こちらはサブスクでも見られます。)
 英知以外は口数が少なかったり警戒心強めで一般的な人生を送ってないので距離を詰めるのに時間がかかる。
 柊羽以外は新人タレント。英知はマネージャー兼任。こと曲作りに関しては柊羽しか知識がないので必然的に方向性を決めるのは柊羽になるので3人のカラーは入りにくい。
 手探り感とこれが和泉柊羽の曲!ってインパクトがあります。
 初見殺しな設定、志季との過去があることを踏まえてみます。ドラマCDではそこまで確執を感じない(実際ないのだがけんか別れのような感じのことはあったしそれが原因で志季に開けてもらった両耳のピアス穴に加えて自分で左耳に空けた。このことは公式ssでも語られる。『小さな耳の』あえてリンクは貼らないでおきます)のだがssや舞台で明かされていく。CDだけでは足りないのでオールコンテンツを追うことになっていきます。
 志季も柊羽も社長から自分のユニットを作ってみないかと提案されます。先に志季がSolidSを作りデビューします。その後に続くことになるQUELL、柊羽は背中を追いかける形になります。
 『君に捧げる、ひとしずく。それは祈りと願いの唄。』社長が考えた(はず、スケステep.9で言ってた気がする)それを柊羽はどう受け取ったのだろうか。それがQUELLをあらわす言葉なら、柊羽はどんな祈りと願いを込めたのだろう。『君』に誰を重ねたのだろう。簡単に考えるなら君はファンのことだろう。だがしかしデビュー前である。ファンに向けて書こうとしてもその気持ちは曲を書き上げるほどの熱量持ちうるでしょうか。
 ここで3曲のタイトルを見てみよう。
1.BILIEVER-祈り‐
 2. 時を越えて
 3. HIKARI

 信奉者の祈り。ハモリのきれいさや不思議なメロディで薄まっているが歌詞はだいぶ暗いと思う。あえて何の信奉者であるかは決めないが信奉者=柊羽としよう。
 この歌は柊羽の捧げる祈りである。歌詞の中で~て(要求)や、~たい(願望)の形で書かれているのは
「何が起きても淡々と生きてゆきたい」
「脆い翼なら落として」
「遠い幻から照らして」
この3つが主たる祈りだとしよう。
 柊羽はまだQUELLの3人のことをよくは知らない。柊羽の中でもっとも明確な感情の源は篁志季である。表面的な日常的な場面ではわだかまりはなくても、自分の心の奥深くではまったく解決していないのだ。納得のいく自分の答えはまだ探している最中。
 和泉柊羽の世界観を宇宙や銀河だとしよう。
「隠れた光は彼方を射す」
 柊羽から離れた志季=隠れた光 は 彼方=柊羽以外、SolidSを照らす
 もしくは今思いついたんですが、月は太陽の光の反射で光って見えるじゃないですか。地球の夜側に居る時太陽は反対側に隠れていて太陽の光が月を射す。彼方を「かなた」じゃなく「あなた」と読むなら、すんごく曲解して
『私(柊羽)は夜に月(志季)を見上げる。私とは違ってすでに太陽に照らされているあなたを見ている。太陽(SolidS)が志季を照らし出すから柊羽は志季を見ることができる。』この解釈の場合、柊羽は絶対に翼やSolidSの立場にはなりえないのしんどい…。

「誰もが銀河の欠片だから」
柊羽だけが特別じゃなく、誰もが星のように輝きを放っている。しかし銀河という大きいくくりで見れば柊羽含めどれもかけらでしかない。

「絆は神のみぞ知る姿」
つまり人間である柊羽には見えない。志季との間にあると思っていた絆はなかったのだろうか。いや、神様にしか見えないだけできっとあったはずだ。そうであってほしい。この絆は単に縁がつながってるとかじゃなくて心の深いところで理解しあえる繋がり…表現が難しいな、とにかく重い意味を持つんじゃないでしょうか。

「知らない星で眠るなら」
 柊羽ソロ曲『Pale Moonlight』の「異国の暗い部屋にも届く青白い光」と似た距離感を覚えました。知らない星、地球以外としましょうか。月は見えませんね。知り合いもいないでしょうからそこでは孤独でしょう。

「時の風に氷雨を描いた」
誰にも等しく時は流れる。風のように。柊羽は志季のいない孤独な過去を冷たい雨が降っているようだと考えている。

 「探した至極な幸福は虚無の世界だった」
 孤独な過去を持つ幼い柊羽が探し求めていた幸せな居場所は存在しなかった。元ユニで見つけたと思った永遠の居場所は志季が脱退したことであっけなく崩れた。

「希望と絶望はひとつにはなれない」
自分の力だけで音楽を作りたいと希望を胸に出ていった志季とすてr置き去りにされ絶望した柊羽はひとつにはなれないってこと?

「エリクシア 脆い翼なら落として」
柊羽の祈りその1。
エリクシアが双子の比喩な気がするんですよね。歌いだしに「Ephemeral elixir…」(刹那的な万能薬)とあります。万能なのに刹那しか効かないんですよね。 QUELLとして4人でSolidSを追いかけている間は柊羽は志季との過去でついた心の傷を癒すことができる。
 前の考察でも書いたと思うのですが、志季=空、月、柊羽=地上、泉の構図があると思います。空を飛ぶ志季を追いけようと飛んだとしても脆い翼では途中で墜落してしまうでしょう。「いつしか涙は土に還る」そう最後には土に還ってくる。
 安易に背中を追いかけようと無茶な選択をしないように。
 たとえ遠く地道でも脆い翼は使わない。地上を歩いて行こう。
 QUELLという存在が戒めであり決意でもあるのかなと。

「寄せては返す波の様子 何が起きても淡々と生きてゆきたい」
柊羽の祈りその2。
柊羽の心の泉の水面をゆらす様々な出来事。波の様子を冷静に観察して音楽にする。淡々とという言葉は完璧主義の柊羽の美学ではないでしょうか。何が起きても動じない揺るがない姿が理想でありそうなりたい。

「朝に見る太陽は窓から日々を告げていた 遠い幻から照らして」
柊羽の祈りその3。
 柊羽が今まで夜に居たとして。夜に見る太陽が月に射した太陽の光なら。
 朝に見る太陽は日々つまり現在の時を進める。ここで、夜→朝、遠い幻/過去→日々/現在、動き出した日常へと視点と時間の動きが起こる。
 柊羽は志季のいなくなった過去の時間に氷雨を描いた。これからは柊羽の太陽QUELLと共に生きていく。いつかは過去に描いた氷雨も照らして晴れる時がきますように。

おわりに

 さて、いかがだったでしょうか。今回はちょっと短めになりましたね。結局柊羽の祈りを一言で表すと何になるのでしょうか。救済、安寧、克服、どれもそうではありそうだけどそれだけではないと思います。そういう言葉にならない感情こそが祈りであり形にできるのが音楽なのかもしれません。
 柊羽が何の信奉者であるか冒頭、私は決めませんでした。志季の背中を追いかけ続ける姿は志季の信奉者のようでもあった。
 しかし私は柊羽は音楽の信奉者だと思うのです。
 音楽だけがいまだに志季と自分をつなぐ絆であり、柊羽を救いうるエリクシアである。音楽の中に神はいて祈りを届ける手段もまた音楽である。
 ……。なんだかたいそうな話になってしまいましたね。
 余談、あとの2曲はどうなっとんじゃいって思ったんですけどおなかいっぱいで書けそうにありません。あえて言うなら、HIKARIはあの時点での柊羽にとってのQUELLの姿を唄にしたんじゃないでしょうか。暗闇、夜の中にいた柊羽に射しこんだ光がQUELL。

 今回もお読みいただきありがとうございました。それではまた。



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