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J3 第19節 レビュー【藤枝MYFC vs 鹿児島ユナイテッドFC】それが出来るチームだとも思います。

2022.7.30 J3 第19節 
藤枝MYFC vs 鹿児島ユナイテッドFC

こんにちは。
今回もご覧いただき、ありがとうございます。

八戸戦の勝利後、中断前最後の一戦。
藤枝戦でした、見ていきましょう。

スターティングメンバー

雑感

前プレと保持構造

藤枝の守備からです。
藤枝は3-4-2-1の陣形そのままに前から嵌め込んできます。

シャドー2人がCB2人にプレス、CFの38番渡邉は背中で木村へのパスコースを消しつつ、時によりGKまでのプレスも敢行してきました。

また構造上悩みの種になるのが、WBが鹿児島SBを見るか?WGを見るか?ですが、鹿児島SBが自由にボールを持てる場面では積極的に出てきましたね。

もう一点、藤枝にとっては数的不利な中盤ですが、フリーになりやすいロメロには左右CBが前に出て迎撃していました。3番鈴木翔はかなりアグレッシブに出てきていましたし、なんと言っても6番小笠原が厄介だったと思います。ロメロがライン間で受けられた場面でも、絶妙な予防的ポジションで堰き止められていました。

次にボール保持です。

ビルドアップは基本的に3バックが右片上がりで2番川島と3番鈴木翔が底を担当し、それ+18番水野の2-1で行います。

そこから6番鈴木惇やシャドーが降りてきて、鹿児島の選手を釣り出し。釣り出せたら、最前線で張っている38番渡邉や24番久保までロングボールを送って、擬似カウンターが大枠の流れでした。

丁寧に一枚ずつ剥がしていこうとする場面もありましたが、あまり上手くいっているようには見えず。強度を活かしたDHやWBの追随による押し込みや、人数を掛けた押し込みを活かした即時奪回からのチャンスクリエイトがメインで、脅威でもありました。

これらを踏まえて、まぁ、なんというか上位に来るチームはやっぱり強度マシマシで、こういうチームを避けて上には立てないなと改めて実感させられるチームです。

ハイプレスはどこまで?

それに対して、鹿児島。
守備から見ていきましょう。

鹿児島はいつもと変わらず、前から嵌め込んでいくスタイルを実践していきます。が、しかし前述の通り、強度マシマシの半ばキックアンドラッシュで攻め立ててくる藤枝を前に前に出にくくなります。

藤枝WBは質が高い選手がいる+シャドーやDH、HVと協同しながら攻めてくるので、鹿児島WGがなかなか前後動出来ません。

(大嶽監督・試合後コメント)
ーー藤枝のサッカーへの対策について

脇のスペースに人数をかけてくるところを、うまくスペースを埋めたかったのですが、それが後重心になって、受け身になってしまいました。
最初ボールを取れる回数はあったので、それをつなぐかつながないかが紙一重で、自分たちが行こうとしたところでショートカウンターになったので、やるべきことを見失わずチャレンジしていきたいです。
2022明治安田生命J3リーグ第19節監督・選手コメント-鹿児島ユナイテッドFCオフィシャルサイト

ただ今節に限っては、リトリートで良かったと思っています。藤枝にロングボールを送られ、人数を掛けられる時に間延びしてスペースを明け渡すのが1番怖いので。

というのが、起きてしまったのが2失点目。落ちる藤枝の選手に対してDHまで付いて行った結果、ライン間にスペースが空き、最前線にボールが送られた時に藤枝の選手は3〜4人いる状態でした。

砂森の技術的なエラーだったり、その状況を認知出来てなかったりといった要因はありますが、ちょっと飛んで火に入る夏の虫状態だったと思います。

前から嵌め込むスタイルは結構なのですが、相手のやり方によってはリトリートすることや、勇気を持ってブロック全体を押し上げてコンパクトネスを保つなどの対応は必要です。

特に今年は裏に広大なスペースを空けても、管理できる選手達が揃っていると思います。体力的な事情もあるとは思いますが、一つ勇気を持って全体で押し上げて欲しいと思います。

保持の改善傾向

1失点目も2失点目も自陣でのロストから始まりました。2失点目は前述の通りですが、1失点目にしても藤枝のやり方・強度が嵌ってしまった結果だとは思います。が、それを差っ引いても何とかなったのではないか、という失点ではありました。

とはいえ、保持のチャレンジは良い傾向だと思います。
大嶽監督のコメントの随所に、保持へ真摯に取り組む旨が言及されていましたね。

失点の場面について

自分たちの失い方が悪かったのと、それを抑えながら取ったボールをつなげなかったという意味でレベルアップしないといけません。
上に行けば行くほどそういうところで剥がせるか、クサビを入れるか、攻撃のスイッチになるかが大事な部分です。
自分たちにとってまたいい勉強になりましたし、これくらいのことで下を向く選手ではありません。
これから上に行くためにどうしていくかが必須条件ですし、そこはクリアしていかないとこの混戦を抜け出すのは難しいです。
そこに対してもいい勉強になりました。
2022明治安田生命J3リーグ第19節監督・選手コメント-鹿児島ユナイテッドFCオフィシャルサイト

実際、良い場面もいくつかありました。
60:30のロメロが抜け出した場面は唸らされました。

3番鈴木翔がアグレッシブに前に出てきて迎撃していたのが伏線になったシーンです。1トップ2シャドーvs鹿児島CBと木村、牛之濱がWBをピン留め、DHもしっかり中央にピン留めしていたことで3番鈴木翔が出ざるを得ませんでした。

この時点で中央最前線はロメロ・有田vs2番川島・6番小笠原の数的同数状態です。さらに、ロメロが3番鈴木翔が空けた裏のスペースを使って、抜け出し。

ロメロのクロスはカットされてしまいますが、有田がゴール前で待ち構える理想の展開でした。

これらはそれぞれの選手が適切な配置で、適切な役割を果たした結果出来たプレーでした。「空いたスペースに!シンプルに!」を実行するには、それ相応のロジックが必要で、それ相応の質も必要です。

その意味で、裏にスペースがある!→単純に米澤へロングボールや!とかは、あまり共感出来ていません。

1番スピードと強度を持って攻め込める米澤が最前線でダッシュして誰が追いつけんねん!とか、残り40mを1人で全部やらせるんけ!とか、ロングボールの対空時間的に相手に追いつかれるやろ!と、なるので。

カウンター局面での米澤の活用は、40分のシーンが良い例でした。スクランブル気味ではありますが、ロメロがリンクすることで相手を引けつつ、米澤に送れたシーンですね。

また、個人戦術も光っていました。
星に言及し始めたら止まらなくなりそうですし、最近は白坂のディストリビューションが冴え渡っています。

今節もCFやシャドーのプレッシャーを受けながらでも繋げており、白坂が計算出来るようになったから保持の改善に着手してるんじゃないかくらいに思います。

あとがき

とはいえ、1-2敗戦です。
数字上はなんとかなりますが、「ツキ」を持ってくる可能性をどこまで、いつまでに上げられるかが肝になりそうです。

ただ戦術面だけで補完するのは無理がありますし、結果を「ごまかせる」選手を増やす努力は必要だと思います。

保持について改善が見られた・続けていこう!と述べたところでアレですが、恐らく中断明けの松本戦や相模原戦では、「ごまかし」が無いことには越せない相手です。

チャレンジと現実的な結果の塩梅は難しいですが、打ち勝ちたいところですし、それが出来るチームだとも思います。始まった後半戦も期待したいです。

というわけで、今日はこの辺で終わりにします。
ありがとうございました。

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