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J3 第5節 レビュー【Y.S.C.C.横浜 vs 鹿児島ユナイテッドFC】掻い潜れなかった網

2021.4.11 J3 第5節
Y.S.C.C.横浜 vs 鹿児島ユナイテッドFC

こんにちは。
今回もご覧いただきありがとうございます。
今週は第4節のお休みウィークを挟んだ、敵地でのYS横浜戦振り返りです。

1週空くと、福島戦が遠い昔のように思えます。
大西も週1以上では試合をしたいとのことでしたが、僕も週1レビューを書かないとリズムが狂いそうです。

この1週間、僕は何もありませんでした。いや本当に。あ、シンエヴァの2回目を見に行きました、IMAXで。最初のIMAX紹介ムービー?みたいなのが1番綺麗だった説を推したいです。次は4Dも見てみたい。

この話は本当に関係ありません。
試合に話を戻します。

YS横浜は先週、沼津と対戦。
0-1で敗れ、今季0勝1分3敗と波に乗り切れずにいます。但し、ボール保持を志向する熊本にはスコアレスドローで終えており、簡単な相手でもありません。

そんなYS横浜戦でしたが、結果的にはクリーンシートで終われたと同時に、熊本と同様に一点が遠かった試合でした。

今回も僕の感じたところを抽出しながら、振り返っていこうと思います。ご笑覧ください。

0.スターティングメンバ―

と、その前にスタメン振り返りを。

まずは鹿児島。
前節福島戦からメンバー変更は無し。萱沼と牛之濱は、明確にポジション(役割)チェンジを行なっていました。ここに関しては、後ほどの項にて。

続いてYS横浜。
前節サスペンションでお休みだった3番宗近が復帰。反対に、前節レッドカードを貰った右SBの5番池ヶ谷に代わり、13番長澤が入りました。

また、左SBは23番船橋、トップ下に30番菊谷が入っていました。予想外だったのは菊谷の存在で、守備の献身性とトランジションの速さ、パンチ力のあるシュートと、ショートカウンターで威力を発揮していました。

そんなスタメンで始まった試合。
鹿児島は、YS横浜の守備構築に苦戦します。

1.YS横浜の守備

上図は、鹿児島のビルドアップに対するYS横浜の守備セットです。

前半は殆ど中原・酒本がCB間に落ちるパターンで、最終ライン3枚に。YS横浜の2トップはこの3人まで追わず、ゾーン2に留まります。そのため、最終ライン3人には広大なスペースが得られていました。

また、YS横浜の中盤が菱形のため、中盤に残ったDH vs 30番菊谷、牛之濱 vs 4番土館、鹿児島SB vs 横浜SHと、責任所在が明確になります。

そのため、中央に落ちた酒本からCBに展開→2トップが中央を規制するため、CBはそのままSBへ→SBは出しどころが無く、無理に中央へ蹴ったところでロスト、というパターンが多くなっていました。

またYS横浜は、ハイプレスを掛けない分、守備ブロックがコンパクトに維持出来ており、特に萱沼はボールを受けることが出来てもすぐDFの網に引っかかってしまうという場面も多々。特にゾーン1では8~9人が引きこもってバスを止める徹底ぶりでした。(そのためポジトラでは重心が低く、陣地回復が11番ンドカ頼みになりがちというデメリットもありましたが。)

さらに、一旦後ろに下げてやり直そうとすれば、CBに渡った瞬間にプレスのスイッチが入り、FWと中盤の菱形がボール周辺に密集して奪取→ショートカウンター移行という場面も見られました。

そんな流れで、特にビルドアップを制限されていた序盤。もう少しクオリティを要求したいと感じたのが、CBです。

2.運べないCB

前述したように、広大なスペースを享受したCB+DH1枚。ここに入った選手が自ら運ばずにそのままパス、の場面が多かったように思います。

特にCBは、YS横浜FWに誘導された方(SBの方向)にそのままパスを送るのでは、前述のようなYS横浜の網に引っかかりに行くようなものでした。

そこでCBとしては、FWと正対し、FWがプレスを掛けてきたのと入れ替わるように交わすことで、後方で待ち構える30番菊谷や、SHの選手に選択を迫りたいところです。

恐らくそれはパパス監督も念頭に置いているはずです。左利きの田辺を左CBに置くのも、運ぶにあたって内切りするFWのプレスから遠い足で持てる、内外へのパスを通しやすいなどのメリットがあるためだと思います。もちろん、田辺もウェズレイも意識はしていると思いますが、技術的に難しかったということでしょう。

あくまで繋いで前進を完成させるのであれば、「カムバック岡本將成!」か「カモン岡本の次!」が簡単な(?)解決案ではありますが、現状のメンバーでやっていくしか無い中、CBには1stラインを自ら突破出来るクオリティを期待したいです。

その意味では、CBとDHを両方こなすと噂のジェルソンがどういったプレーを見せるのか注目ですね。

また、こういう時の頼み綱である酒本の技量に頼りたいところでしたが、特に前半は判断面・技術面共に絶不調だったのも閉塞感に影響していた気がします。尤もチームとして難しい局面だったので、個人がどうこうでは無いですが。

3.後半の意識変容

そんなこんなで、前半はセットプレーやセットプレーの流れ以外では多くの決定機を作り出せなかった鹿児島。

後半はチームとして意図を持ってボールを循環させ始めたと思います。
まずは下図のようなパターン。

変化があった部分として、DHがCB脇、前半にはSBがサポートのため位置していたスペースへ明確に落ちるようになりました。

CB脇に落ちる場面は前半にもありましたが、明確に回数が増えたのが後半に入ってからかと思います。

このことにより、最終ラインで数的同数を受け入れることにはなりますが、SBがより高いポジションに位置し、相手最終ラインにも数的同数を迫ることが出来ています。

さらに、プレスの基準をズラされたYS横浜のSHは、落ちたDHへのプレス開始がやや遅れます。これにより水を得たDHのロングボール1発にて、裏を取れる場面が生まれていました。

HTにもパパス監督から目的を持ったボール循環を指示されたようですが、大外のスペースを使おうという意図は頻繁に見られました。

◆ハーフタイムの指示を具体的に教えてください。
ハーフタイムのところでは、まずは早く自分たちが動く、ボールを動かすということを意識して選手たちに伝えました。
前半に関しては、そこの目的、パスを出すところが少し統一していなかったので、もっと目的を持ってパスや動きを増やしていくという話をしました。その中のところで、自分たちはセットプレーなどでチャンスを作ることができていたと思います。自分たちとしては、チャンスは作れたと思います。後半、自分たちが支配する時間が増えていく中で、まだ自分たちとしては質の高いチャンスは作れたと感じています。

下図で、もう1例を。

このシーンでは、中原がCB間に入っています。そのため、1つ目の例のようにSBが前線で待つ構図にはならず、衛藤は8番吉田と同じ高さでボールを受けることになります。

ウェズレイ→衛藤に入った時、8番吉田はプレスを掛けられますが、衛藤はすかさず大外に走りこんだ野嶽惇へ。そのパスは23番船橋にカットされてしまいますが、シンプルに大外を使って縦に速いSHを活かそうという狙いが見えました。

このほかにも、押し上げられた大外のSBが、SHやCFへのパスを経由してクロス→CK獲得するなどチャンスに繋がっています。このように「脅威が作れるSHへ如何にしてボールを届けるか?」をチームで共有出来ていた後半でした。

しかし、現実的にはセットプレー以外では得点の匂いは遠かった試合。配置の変更やその場のアイデアだけでは、やはり上手くいかないなと痛感させられました。またこの試合に関しては、チームが熟成すれば解決出来る問題もあるとはいえ、相手に引かれたら厳しいよね!はどのレベルでも、どのリーグでも共通な気がします。

むしろ成熟していくにつれ、対策として割り切られることも多くなると思うので、CKやFKなどの飛び道具は常に持ち合わせておきたい、現実的な打開策です。

4.萱沼と牛之濱

最後に、萱沼と牛之濱の関係性、主に萱沼について。
前節のレビューでも那須アニキの動画を踏まえながら、萱沼と薗田の違いについて述べました。

要約すると、最前線・真ん中で我慢してみ萱沼?なのですが、今節もその萱沼がスタメンで出場。そして今節は、その萱沼の得意パターンを逆手に取り、牛之濱と頻繁に役割を入れ替えることで流動性を高めていました。

発想は悪くないのかもしれません。例えば4-4-2相手であれば、萱沼をフリーロールにすることでマークの手が届かないところでボールを受けられる・DHが落ちたところのフォローに入って数的優位を確保出来るなどのメリットが生まれることも考えられます。

しかし今節、4番土舘がトップ下のマークに専念できる状態で下がりすぎて受けてしまい、那須アニキの言う「プレッシャーかかってキープしずらい」・相手がプレスを嵌め込みやすい構図になっていたかと思います。

これからも何回でも言及しようと思うのですが、萱沼は我慢して待ってみればもっと点取れるようになる気がするので!少し変化を!

5.あとがき

全体的にはセットプレーが尽く入らなかった以上、スコアレスも致し方ないかなというゲームでした。

積み上げも必要ですが、こういうゲームもあるさ!の割り切りも重要になってくる気がしています。

また、YS横浜のボール保持とトランジションには触れませんでしたが、YS横浜はSBの押し上げと中盤菱形の変形に時間が掛かるので、狙いどころだと見ていました。

今節は、中盤の変形なくとも嵌め込めたことも降着を生みだした原因とも見れます。いずれにせよ、セットプレーを含めたプランB以降の幅も広げたいですね。

とにもかくにも次は、またも2週間後のH宮崎戦。
現段階の印象ですが、まぁ厄介な相手です。
2週間しっかり準備して勝利を。
次回もよろしくお願いします。

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