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J3 第15節 プレビュー【福島ユナイテッドFC vs 鹿児島ユナイテッドFC】負けられないユナイテッド対決
2020.9.13 J3 第15節 プレビュー
福島ユナイテッドFC vs 鹿児島ユナイテッドFC
次節の福島戦に向け、ざっくりですが福島の特徴と鹿児島との掛け合わせを考えていきたいと思います。
なお、福島の情報は鹿児島と同じ4-4-2を採用している相模原との試合を参考にしています。
目次
⑴福島ユナイテッドFC 近況
⑵非保持の局面
⑶ボール保持の局面
⑷ポジティブ/ネガティブトランジション
⑸鹿児島との噛み合わせ
⑹Key Player
⑺あとがき
⑴福島ユナイテッドFC 近況
福島の直近5試合は、1勝4敗。6得点12失点とコンスタントに得点出来ている一方、毎試合のように複数失点を喫しています。
鹿児島との通算成績は、鹿児島の4勝1分1敗。しかし、福島のホームゲームでは1勝1分1敗と五分五分の成績です。
続けて、相模原戦のスタメンはこちら。
Key Playerであろう7番田村がベンチスタートとなりました。前の試合を見ていないので理由は分かりませんが、連戦の影響でしょうか。
また前節の岐阜戦では、1番ファンティーニ燦、18番橋本(陸)がスタメンに名を連ねており、試合によって選手を入れ替えながらやりくりしているようです。
⑵非保持の局面
基本形は4-1-4-1からスタートしますが、非保持の局面では20番トカチ、10番橋本(拓)がそれぞれ1列上がり4-4-2の形で守備をします。
FW1枚で相手ビルドアップ時に規制を掛けるのが難しく、9番イスマイラも守備が上手な印象は受けなかったので4-4-2への変形は必然かと思います。
しかしここで、「それならなんでわざわざ4-1-4-1からスタートするの?」という疑問が湧きます。ここは個人的な解釈を後述します。
4-4-2ブロックは中央締めの意識は強いように思います。
特にゾーン1での守備ではSB-CB間に位置した相模原FWに対して、CBは中央レーンで構え、10番橋本が1枚降りて対応し、5-3-2のような形で守る場面もありました。
すると、バイタルエリアには残されたCH1枚となり楽にシュートを放たれる、というシーンも散見されます。
さらに、人への意識が非常に強く、4-4ブロックの内側にスペースが出来たり、裏のスペースが空くことが多いです。
⑶ボール保持の局面
続いて、ボール保持です。ここはハーフタイムに行った選手交代から一変し、2つの顔を見せていましたので前後半に分けて言及しようと思います。
〜前半〜
スタートのフォーメーションで記した通り、4-1-4-1が基本形です。主な前進の手段は一方のCBがボールを持つとそのサイドに密集し、逆サイドでアイソレーションしているSBに展開する、という流れです。CBによるサイドチェンジのパス精度は精密で、簡単にSBがビルドアップの出口となれてしまいます。
また、相手が大外に張ったSBをケアし陣形が広がると、9番イスマイラに直接ロングキックを送ることも出来ます。
9番にイスマイラがその能力を活かしてボールを収めてくれるので、DFとしてはサイドか?FWか?選択を迫ることができます。
なお、その後のゾーン2〜3では選手のアイデアや能力に任せているのか、パターンと言えるほど決まった形は見えてきませんでした。
さて、大まかなボール保持を見たところで、前述の「なんでわざわざ4-1-4-1からスタートするの?」についての回答です。
結論から言うと2点あり、
① ビルドアップ時に、より安全な形でオーバーロード(サイドの密集)を作れる
②CBのビルドアップ能力不足
が要因だと解釈しました。
まず①ですが、442でサイドに密集しようとすると、どうしてもDHが縦関係になることが多くなります。
そこで相手DFの網に掛かってしまうと、逆サイドを相手に利用される可能性や、逆サイドを利用されてしまった後の守備対応が間に合わない可能性が高くなります。
そこで、4-1-4-1で中盤に3枚置き、ピッチを横断されるリスクを最小化するという解釈です。
続いて②に関しては、CBの運ぶドリブルがほとんど見られず、ボールを受けた場所からのパスに終始しています。
それでは相手の守備は崩れないので、ボールを散らせる10番橋本をビルドアップに参加できる位置からスタートさせているという解釈です。
1試合見ただけなので、他の要因もあるとは思いますが、ボール保持で大きなキックに頼っているのを見ても、前進に問題を抱えているが故であるという視点は強ち間違いでもないかなと思います。
〜後半〜
2つ目の顔です。
福島はハーフタイムに29番吉永→17番諸岡、25番前田→7番田村と交代します。
ここからDFを1枚削り、以下のような3-4-2-1に変更しました。
3-4-2-1になると4-4-2の難所に選手が配置されているので、ブロックの外側を使えたり、4-4ブロックの内側を使えるようになりました。
中でもやはり、逆サイドのWBへの中距離パスからWBがクロスを上げるパターンはやや単調ではありましたが、クロスを待ち受ける前線の選手の能力が高く、1発で決められてしまう怖さを感じます。
また、HVがオーバーラップしWBの外を追い抜いていくこともありました。ただこれは、この試合の後半は3点のリードを追いかける展開でバランスを崩してでも攻めに出るという采配だったかもしれないので、普段から行っているかは不明です。
⑷ポジティブ/ネガティブトランジション
ここはさらっと抑えたいと思います。
〜ポジティブトランジション〜
ポジトラでは前述のビルドアップの形に持ち込むため、テンポダウンすることも厭いません。
〜ネガティブトランジション〜
ネガトラではリトリートが基本で、ゾーン2で構えてからは人に激しくチェックするという流れが多いです。また、帰陣意識は低めで肝要なスペースを消し切れていないシーンもあるかと思います。
⑸鹿児島との噛み合わせ
ここまで、福島の特徴を挙げてきました。
それを踏まえてどうするか?を述べようと思います。
①ファストブレイクの徹底
福島のウィークポイントとして挙げられる「人に食いつきやすい守備」、「ネガトラの帰陣意識の低さ」を突きたいとなると、形になっているファストブレイクの徹底が最も効果的だと考えます。
2トップが降りてCBを引き出し、その裏のスペースをSHが使うというシーンは想像できるかと思います。
特に鹿児島はペナ幅内でシュートまで完結させたい意図が見えており、同じような形が作れればゴールは近づくのではないでしょうか。
②CBの対人の強さ
福島9番イスマイラや20番トカチなど、能力の高い選手が構えており、対人の強い選手が求められる試合になると思われます。補強や起用している選手を見ても、配球の能力より守備者としての能力を重視しているように思いますが、青山の復帰もこの辺りであっても良いのではないかと思います。
⑹Key Player
福島ユナイテッドFCの選手で個人的に気になる選手を何人か挙げてみます。
① 9番 イスマイラ
説明不要ですね。ロングボールを収めても良し、裏に走らせても良し、頭で合わせても良し、そして決定力の高さも良し。この選手をどう抑えるかは大きな問題の1つです。
②7番 田村亮介
左サイドのドリブラーです。サイドチェンジを主とする福島で、この選手に良い状態でボールが渡ると1人で前進を許してしまいます。また、右利きでカットインもあり、非常に危険な選手です。
③29番 吉永大志
相模原戦ではCHでプレーしていました。スペースに入り込むタイミング、スピードが適切で好みの選手ですが、なかなかパスが出てこずもどかしい思いで見ていました。対戦時も少し注目して見てみようと思います。
⑺あとがき
少ない情報量ですが、福島戦の展望をまとめました。
鹿児島の長所が活きる場面も必ず来ると思いますので、チャンスをモノにして3連勝を掴み取りたい試合です。
アウェイでの闘いですが、観戦時に念を送るついでに今回述べたポイントが役に立てば幸いです。