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J3 第30節 レビュー【カターレ富山 vs 鹿児島ユナイテッドFC】来季に向けて
2021.12.5 J3 第30節
カターレ富山 vs 鹿児島ユナイテッドFC
こんにちは。
今回もご覧いただきありがとうございます。
いよいよリーグ戦も最終節。
今シーズンは本当に激動の1年になりました。
皆さまいかが振り返りますでしょうか。
最終節のお相手は富山。
前節までに13勝6分8敗の勝ち点45で4位。
前節、岩手に負けて昇格への道が閉ざされました。
秋口には「これ富山は昇格やろ!」と思っていましたが、終盤になかなか勝ち点を積み上げられませんでしたね。後半戦、宮崎が思ったより強くなっていたのと、岩手が突っ走りきったのが個人的に予想外でした。
そんな富山ですが、ピッチ上では流石なところもありました。振り返っていこうと思います。
それでは、ご笑覧ください。
スターティングメンバー
鹿児島から行きましょう。
サスペンション明けの萱沼が復帰。トップ下には中村→酒本。右サイドには三宅→五領となりました。
各ポジションの起用意図はよく分かっていないです。いや、スタートから酒本出すんかい!が率直な感想でした。
でも、結果的にあれだけお別れ会を開いてくれる監督が三宅を外すってことは、どこかからお声が掛かったとも取れますね。というか、そうであって欲しいものです。
話は戻りますが、今節はボール保持でのSB萱沼が良かったと思います。基本的にビルドアップではインナーに入っていましたが、特に前半は内外の使い分けが上手く、貢献出来ていました。失点シーンには絡んでしまいましたが、それらを勘案して来年どうなるでしょうね。
富山に話を移しましょう。
フォーメーションは3-3-2-2。前節からの変更は、16番末木→17番姫野となりました。富山は3-4-2-1も併用していますが、フォーメーション変更に伴って一部選手を入れ替える程度で、基本的にスタメンは固定傾向にあると思います。
その熟成度合いもあり、開始早々に失点してしまった試合になりました。
雑感
WB問題
富山のビルドアップは、基本的に3-3-2-2を維持します。IHが降りてきたり、アンカーが最終ラインに降りることも時折見られますが、数は少ないです。今節も上手く行かない時にアンカー・IHのヘルプは見られましたが、すぐに止めてました。
また、細かく繋ぐことに固執せず、最終ラインから前線にロングボールを入れて前進するパターンが主になっています。
そんな富山に対して鹿児島は、3CB+アンカー vs 3トップ+トップ下の構図を作ってプレスを仕掛けます。数的同数で嵌め込もう!ってので悪くは無いと思うのですが、そこは富山の熟練。WBのポジションニングが悩みの種になりました。
富山WBは鹿児島SH裏(SH-SBの中間ポジション)にポジショニングします。SHからしたら「プレスバック間に合わないよ!」SBからしたら「これ前出るか微妙だよ!」くらいのポジションですね。
失点シーンでは、最終ラインからWBへロングボールを放られ、上記の判断を強いられたフォゲッチが前に出てWB潰しを決断します。しかし、相手に先に触られ、自ら開けた後方のスペースにボールを送られてしまいました。
そのスペースに8番高橋が走り込み、マークの責任所在である藤原がサイドに出て対応。DFライン全体が鹿児島右サイドに寄りました。そこですかさずサイドチェンジし、20番音泉へ。萱沼がなんとか対応に向かいますが、処理しきれず、失点となりました。
富山としてはロングボールを放るにしても、こうして悩みの種を作って、誰を引き出して、どこを使うかが意識統一されていた得点だったと思います。鹿児島としては、対応がはっきりしない内に最悪のケースに陥ってしまった悔やまれる立ち上がりでした。
前に引き出す
でも、今節の鹿児島はビルドアップは悪くありませんでした。
ということもあり、今節は落ち着いて見られました。個人的には。
キーワードは「バイタル使いたい!」。
バイタルエリアを使いやすくするためには勿論、富山の中盤を前に引き出して、富山中盤3枚-最終ライン5枚の距離を伸ばしたいわけです。そのために、CB2枚+SBで数的有利を作る、あるいは鹿児島DHが横並び、列落としも厭わずやっていましたね。
またDHの列落としに伴い、トップ下も落ちてきて、ボール循環の中で富山の中盤を引き出し、バイタルエリアで中盤の誰かが顔を出すことを意識していいたと思います。これにより、富山のプレスを避けるように外回りで繋いでいっても、SBやSHのところでバイタルエリアに打ち込めました。
また、SBがインナーに入ることで中盤の枚数に加担。4vs3で数的優位を得たところでクリーンに空いた選手にボールを入れられることもありました。
しかし一番良かったのは、運んで引き付けてフリーな選手を生み出し、安全に前進出来るシーンが増えた部分じゃないでしょうか。37:30の藤原、39:30のフォゲッチ、46:50の萱沼など第2Qはこの辺に注目して見返すと、面白いかもしれません。
その一方で、バイタルに運んだ後はなかなか崩しきれません。
米澤の質辺りで蹂躙出来れば楽でしたが、流石に無理がありましたね。
この辺は、ビルドアップでの人数過多が問題だったと思います。上手くは行っていましたが、リソースを使い過ぎていました。
その辺は後半、富山の変化と共に改善もされていきます。
リトリート富山
後半に入り、富山はリトリート傾向で構えます。
前半ほど人数を掛けてプレスすることは少なくなったと思います。3Qは5-3-2、4Qになるとマテウスレイリアが降りて5-4-1気味になりました。
これに対して鹿児島は、DHが降りてSBが最前線まで上がり、3-3-4の様な陣形でボール保持を始めます。これにより、富山の5-3-2に対して、最終ラインでは数的有利で始め、最前線でも崩し・フィニッシュの数が足りない課題を解決しました。SBも絡んだ崩しで追いつくことも出来ました。
(上野監督・試合後コメント)
ーーー前半から後半に向けて修正したこと
前半からいいところまで行っていました。
バイタルエリアをとって、そこから先が前半上手くいきませんでした。
後半は意思統一ができて、タイミングも合い、サイドバックがそこを突いたり、ワイドの選手が突いたりして、選手たちは戦術的によくやってくれました。
一方で、富山が5-4-1になったら、なかなか崩し切ることは難しくなりました。現状、仕方ないと言えば仕方無しです。
同点弾はSBも含めた前線のコンビネーションで取れましたし、それも良いのですが、ラストサードの崩しを再現性持たせて出来るかの課題は来季に持ち越しですね。
またトランジションでは分があり、前掛かりになる富山WBの裏を狙ってシュートまで持ち込める場面もいくつかありました。が、人数的には足りていない場面ばかりだったので、本当に速く攻め切るやり方が良かったかは検討が必要です。
そして結局、追加点を挙げることはできず。
ドローで最終戦を終えました。
あとがき
というわけで、鹿児島は11勝7分10敗の勝ち点40、7位でJ3リーグを終了しました。
思い返すと、やっぱり予期せぬ事態が多かったなという印象のシーズンでした。
上野監督体制では、15戦で6勝4分5敗の勝ち点22。
得点19(ave.1.27)、失点20(ave.1.34)となりました。
ここで、各体制の結果を並べてみましょう。
【勝敗(勝ち点)】
パパス体制: 7戦 2勝2分3敗、勝ち点8 (ave.1.14)
大島体制: 6戦 3勝1分3敗、勝ち点10(ave.1.67)
上野体制: 15戦 6勝4分5敗、勝ち点22(ave.1.47)
【得失点】
パパス体制: 得点8(ave.1.14)、失点10(ave.1.43)
大島体制: 得点7(ave.1.17)、失点5 (ave.0.83)
上野体制: 得点19(ave.1.27)、失点20(ave.1.34)
この数値の意味を考えるのは次回の記事にしますが、結果的に数字はこうなりました。どう捉えるかは一旦皆さんにお任せします。
とにもかくにも、チームもサポーターの皆さんも激動のシーズンお疲れ様でした。来季はもっと良いシーズンになると良いですね。
それでは、ひとまず今回はここで終えます。
また次回、よろしくお願いします。