なぜ、ファーリーには10代から20代の男性が多く、完全異性愛者が少ないのだろうか。
はじめに:本稿をお読みになる方へ
なぜ、ファーリーには10代から20代の男性が多く、完全異性愛者が少ないのだろうか。
<問題提起>
ファーリーとは、特に本邦においては「ケモノ」と称される、擬人化した動物にまつわるサブカルチャーにおいて、動物的要素を持つキャラクター自体やサブカルチャーを愛好する人を指して用いられる言葉である*3。
本稿タイトルにおいてのファーリーとは、このサブカルチャーを愛好する人を指す。
また、ファーリー・キャラクターを愛好する人たちによる文化集団はファーリー・ファンダムと呼称される。筆者もファーリー・ファンダムに属するファーリーの一人であると自認しており、2019年現在(執筆時)で本邦最大のファーリー・コンベンション*4の運営委員会に属し、同運営委員会における活動においても、またその他の趣味的活動においても、日本人に限らないファーリーと接する機会は多い。
ファーリーの友人らと語らう中で、ファーリーには10代から20代の生物学上の若年男性が多く*5、またファーリー・ファンダムにおいては、異性愛よりも同性愛が主流だという印象を受けている。
また近年、ケモノというサブカルチャーの認知拡散に伴い、ファーリー・ファンダムの人口は増加の一途を辿っており、全世界におけるファーリー・コンベンションの参加者数は実際に右肩上がりを続けている。ファーリー・ファンダム自体の人口増に並行して、ファーリー・ファンダムにおける生物学上の女性や完全異性愛者の人口も増えているように筆者は感じている。
これは裏を返せば、これまでの全世界と本邦におけるファーリー・ファンダムが、男性かつ非完全異性愛者に偏ったサブカルチャーであったということを意味するとも考えられる。
そこで本稿では、ファーリーに対して筆者が持っている上述の印象の正否およびその理由を、稚拙ながら思案していきたい。
なお本稿においては、一義的には本邦におけるファーリーを思案の対象とするが、筆者としては、同様の仮説が全世界のファーリーに適用され得ると思料するものである。
* * *
<あらすじと目次>
本稿では、以下の順序で論を展開する。
まず、少なくとも米国におけるファーリーには、10代から20代の男性が多く、完全異性愛者が少ないという事実を、米国における調査を通して確認する。その後、それぞれの事実とその原因や、関係しそうな事柄に対して、筆者の考えを記述していく。
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