最適なインターバルの長さは?
〜筋肥大・筋力向上を最大化するには〜
*長いので,時間がない方はまとめだけ呼んでください>_<
筋肥大に重要なことは,メカニカルストレスと代謝ストレスを筋肉に与えることです.メカニカルストレスとは,筋にかかる物理的なストレスで代謝ストレスとは,筋にかかる化学的なストレスのことです.
一方で,筋力向上に必要なことは,筋サイズと神経系の機能です.トレーニングではこれらを効率的に刺激することで,目的にあったトレーニングが可能になります.
メカニカルストレスや代謝ストレスの度合いを変化させたり,神経系の発達を促すために,強度,回数,頻度,テンポ,レスト,TUT,ボリューム,種目選択などの変数を変化させ目的に合ったトレーニングを効率的に行う必要があります,例えば,メカニカルストレスを引き起こそうとした場合,強度を上げ,それに伴って回数は減らすのではないでしょうか?反対に代謝ストレスを引き起こしたいい場合,回数を上げ,強度は下げるのではないですか?
よく見かける,一般的に行われているトレーニングは,筋肥大を目的とした場合,10回3セットを1分間のレストで,筋力向上が目的の場合は,5回5セット3分レストというのがあります. 同じプログラムをずっと続けている人は,少ないと思いますが,果たしてこのトレーニングプログラムは本当に効果的なのでしょうか? レストインターバルと筋肥大・筋力向上の関係を検討した研究を参考に,本当に効果的なレストの取りかたを考えていきましょう.
筋肥大
Grgic et al(2017)は,80秒以上の長いインターバルト60秒以内の短いインターバルが筋肥大に及ぼす影響をレビューしました.
レビューの結果,
長いインターバル
高いトレーニングボリュームを可能にし,筋肥大に重要な,メカニカルストレスや筋ダメージを促進することがわかりました.さらに,1RM強度やそれに近い高強度のトレーニングもしくは,スクワットやデッドリフトなどのコンパウンド種目では,強い疲労をもたらすため,より長い回復時間が必要になり,長いインターバルが効果的としています,レビューした研究の中には,75%1RMを限界数4セットのレッグプレスとレッグエクステンションを5分のインターバルもしくは1分のインターバルで行なった結果,5分のインターバルのグループは1分のインターバルのグループのおおよそ2倍の,きんタンパク合成を報告しています,
短いインターバル
一過性のテストステロンを向上させることを報告しています.しかしながら,テストステロンを向上させるのにも関わらず,筋タンパク合成は低値を示しています.したがって,運動後に起こるアナボリックホルモンの向上による筋肥大には,短いインターバルである必要はないということです.長い間,筋肥大には短いインターバルが効果的と考えられてきたが,必ずしも短いインターバルである必要はないのかもしれません.さらに,女性は,回復に必要な時間が男性よりも短いため,男性よりも短いインターバルの方が効果的な可能性があります.最後に,短いインターバルの最大のメリットは時間効率がいいことです.多くの研究が,長いインターバルの方が筋肥大には効果的と報告していますが,トレーニングの筋肥大効果を最大化する必要がない人は,短いインターバルでも十分筋肥大するので時間対効果がいいです.
多くの研究が非熟練者を対象としており,熟練者を対象にした研究が少ないため,トレーニング経験によってインターバルの影響に差があるかは今の所不明です.しかしながら,トレーニング熟練者はより大きなトレーニングボリュームが必要と言われているため,トレーニングボリュームを稼げる長いインターバルの方が効果的かもしれません.
さらに,インターバルの時間を決めてトレーニングするのと適当にインターバルを取る場合を検討した研究もありますが,結論は,時間を計って行ったほうが効果的です.なぜなら,個人差や,上半身と下半身でトレーニングの反応にばらつきがあるため,時間は計った方が効果的です,しかし,熟練者の場合,時間を計らずにインターバルを取っていたとしても,レップ数などのパフォーマンスに影響が少ないため,計らずにインターバルを取っても大丈夫でしょう,しかしながら,特に時間を計らないメリットは特にありません.
筋肥大まとめ
インターバルの筋肥大への影響をまとめると,長いレストはメカニカルストレスを効率的に引き起こし,高強度トレーニングやコンパウンド種目において効果的であり,短いインターバルレストは,代謝ストレスを効果的に引き起こし,中強度以下の強度や,アイソレーション種目において効果的です.さらに,筋肥大を目的としたトレーニングプログラムは,トレーニングボリュームに焦点を当て,様々な刺激が得られるようにインターバルの長さを変え,トレーニングに多様性を持たせるようにするべきです.
筋力向上
一方で,筋力向上に関しては,Grgic et al(2018)が,レストインターバルの長さが筋力向上にどう影響を及ぼすかをレビューしています.
https://link.springer.com/article/10.1007/s40279-017-0788-x
熟練者
長いインターバルレストは筋力向上を最大化することが報告されました.しかしながら,短いインターバルでも,十分な筋力向上を促すと報告しています,トレーニング経験のある高齢者においては,短いインターバルの方が効果的と報告しています.さらに,インターバルの長さを徐々に短くしていった場合,長いインターバルの変化させずに維持した場合と類似した筋力向上を示しています.さらに,徐々にインターバルの長さを短くすることによって過度な疲労の蓄積なく短いインターバルに適応できると報告しています,
熟練者において,長いインターバルが効果的な理由として,トレーニングボリュームを稼げるからとしています.トレーニングボリュームが同じ場合,インターバルの長さはあまり重要ではないようです,
非熟練者
一方で,非熟練者においては,熟練者のように120秒以上の長いインターバルは必要なく,120秒以下の短いインターバルで筋力向上には十分であると報告しています.さらに,80秒のインターバルは20秒のインターバルよりも3RMの向上に効果的だと報告していますが,20秒のインターバルのトレーニングにおいても筋力向上を示しており,さらに,20秒のインターバルのトレーニングは,たった週に72分のトレーニングであり,ジムで時間をあまり費やしたくない人,費やせない人にはとても朗報ではないでしょうか.
男女差においては,女性の方が,疲労性の違いなどを理由に,おおよそ,男性の半分のインターバルで十分だと報告しています,しかし,非熟練者においても,高負荷でのトレーニングや,スクワットやデッドリフト,ベンチプレスなどのコンパウンド種目には長いインターバルの方が効果的だと報告しています.
筋力向上まとめ
インターバルの筋力向上への影響をまとめると,熟練者においては,2分以上の長いインターバルが,筋力向上を最大化するが,5分以上のインターバルでより効果的かどうかは,不明です,また,熟練者では,インターバルレストを決めずに,その時のフィーリングで次のセットを始めるのも選択肢にはありでしょう,
一方で,非熟練者においては,120秒以下の短いインターバルレストで筋力向上に十分です,長いインターバルは筋力向上を最大化するが,トレーニング時間が掛かかってしまうため,時間がかかっても効果を最大化したいか,時間効率のよりトレーニングをしたいかによって,トレーニングのインターバルの長さを決定するのが良いでしょう,
総括
全てをまとめると,トレーニングを決める変数の中で,インターバルの長さは,そこまで重要でないので,気にしすぎない方が良いでしょう.トレーニングボリュームや強度の方が重要な変数なので,そちらをより気にかけた方が,効果的でしょう.そのあとで,インターバルの長さを気にかけ,よりよりトレーニングプログラムにするのが効率的だと思います,
しかし,
インターバルの長さの特徴は,筋肥大においては,長いインターバルは,メカニカルストレスを効率的に誘発し,短いインターバルは,代謝ストレスを効果的に誘発します,筋力向上のおいては,熟練者では,2分以上取ることをお勧めし,非熟練者では,2分以内の短いインターバルを取り入れることをお勧めします,
最後に,非熟練者は,適当にインターバルをセットかんに,取るのではなく,時間を図りインターバルを取るほうが良いでしょう,さらに,先ほど言ったように,トレーニングボリュームの方が重要な要素なので,トレーニングボリュームを気にし,様々な長さのインターバルを取ることをお勧めします,また,インターバルが長い方が効果は最大化するが,トレーニング時間が長くなってしまうので,トレーニングするスケジュールや,時間効率もしくは効果の最大化どちらが優先されるべきかを考え,インターバルの長さを決めるのが良いでしょう,
参考文献
Jozo Grgic, Bruno Lazinica, Pavle Mikulic, James W. Krieger & Brad Jon Schoenfeld(2017)The effects of short versus long inter-set rest intervals in resistance training on measures of muscle hypertrophy: A systematic review,European Journal of Sport Science,17, 8
Jozo Grgic, Brad J. Schoenfeld, Mislav Skrepnik, Timothy B. Davies, Pavle Mikulic(2018)Effects of Rest Interval Duration in Resistance Training on Measures of Muscular Strength: A Systematic Review,Sports Medicine volume 48, pages137–151
Instagram; https://www.instagram.com/ex_edu_lab/
HP; https://shunexedulab.wixsite.com/heal...