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【ブルベ走行録】いよいよ初の600kmはまさかのサバイバルな展開に?!~BRM914博多600km_九州横断

初めての600kmブルベ!
先に結論をいうと・・・完走しましたー!

本当に2日間色々ありすぎて過酷なブルベだったけど、その分喜びもひとしお・・・!
そして、とーっても楽しかった。
そんな濃厚な2日間の軌跡を、書き記していこう。


プロローグ

2024年9月14日
ブルベを始めて1年半、私が走ってきたブルベは400kmが最高(回数も最多)。いつか600km走ってみたいな~と思いつつ、仕事の都合などもありなかなか参加できずにいた。
600kmともなると、スタート地点によっては前泊に加え後泊も必要になるので、ちょっとした連休が必要なのだ。

そこで、9月の三連休にAJ福岡主催で開催される600kmが、前日だけ休暇を取れば済みそうだったのでエントリーしてみた。

この600kmは「九州横断」というお題がある。
博多を発つと大分市まで西進。そこから阿蘇を突っ切り天草までに至る。さらにフェリーで島原半島に渡って博多に戻ってくるルートだ。

九州北部を時計回りに周回する

獲得標高は4000m台であり、600kmという距離に対しては少なめ。つまり易しめであり、主催者からもそのような趣旨が書かれてあった。

一点注意なのがフェリーがあること。フェリーでの移動は走行距離にカウントされないが、制限時間には含まれるという点だ。
乗船時間(と待ち時間)が一切移動出来ないので、それを見越して走行計画を立てる必要がある。

スタート時刻は9:00と遅めだが、長崎から福岡は意外と遠く、始発の新幹線ではかなりギリギリになってしまう。なので福岡空港近くに前泊にした。
ここで7時間近く睡眠が取れたのは大きかった。

前日の夕食。博多といえばとんこつラーメン
替え玉は2回

当日朝、集合場所まで10km自走。最初「美野島公園」に行ったが誰もおらず、よく調べると「美野島南公園」だった。幸いそちらも近かったので改めて向かうと、参加者が続々と集まってきた。
見知った顔と、初めましての顔があり、しばし談笑。
エントリーは42名、実際にスタートしたのは33名だった。私と同じく600km初めてという方も何名かいた。
車検とブリーフィングを済ませて、あっという間にスタート時間に。
さあ、初めての600km、どんな旅になるのか?無事に帰ってこられるのか?胸が高鳴りながらスタート!

ブリーフィング前の様子

スタート~中津(-91km)

スタート直後は福岡市の中心市街地。当然ながら信号が多く各駅停車状態たが、追い風もあり意外と走りづらくはない。
そこから郊外に抜けると飯塚を経由して行橋へ抜ける間に、八木山峠を筆頭にいくつか峠を超える。
気温が結構上がってきてそこそこ暑い。
ウォーターボトルは2本合わせて1.7Lあったが、50km地点で全てが無くなりコンビニで補給。スポドリ1本その場で飲み干し、2Lのペットボトルで水を補充。

大都会、福岡市
この先フィニッシュまで、この2Lの水を何度買ったことか。

そしてこの辺りからどんどん向かい風が強くなってくる。しかも風を受けても全く涼しくない。なので頑張って踏んだ分だけ体温がどんどん上がってくる。

大分市まではまだ遠い

91km地点、中津市のファミマが最初のPC。再び水2L補給。バナナやグミ、手巻き寿司も補給。今回のブルベでバナナも10本以上は食べたかな。手巻き寿司は元気がない時でも食べられる。酢飯だからかな?

風が強いのは休憩中涼しくて助かる。もぐもぐしながら休憩してると後続の参加者がやってきた。「暑いすね~」「風やばいすね~」と愚痴り合い、一足先に出発。

ずっと向かい風。いやになっちゃう

中津~豊後大野(-207km)

中津はから揚げが有名だけど、先を急ぐためぐっと我慢。国道10号に合流したところで国東半島の根元を突っ切る。
国東半島は以前から興味があったので、来られて嬉しい半面、今回はあくまでも通過点なので寂しさもあった。いつかゆっくり半島内をまわりたいな~

国東半島区間は立石峠と赤松峠の2つの峠超えがある。どちらも標高150メートル未満の易しい峠だが、今回の600kmではこの区間が1番辛かった。

相変わらずの向かい風に抗って踏み続けていたが、とうとう脚がつりそうになった。手遅れかもしれないが手持ちの芍薬甘草湯を服用し、バナナを食べる。
暑さはある程度慣れているはずたが、さすがにオーバーヒートしてしまったみたいだ。
ただ、確かに辛かったのだが、この区間をペース落とさず進めたことが後々大きく効いたので、やっぱり頑張ってよかったなーと思った。

フォトチェックでもある赤松峠
ここで2人の参加者と合流した
別府湾岸へ向けて下ってゆく。
見ずらいが対岸は別府市内だ。
別府タワー


赤松峠で参加者2人と合流し、別府から大分までずっと引いていただいた(感謝!)。夕刻の別府市街地はひどい渋滞だったが、郊外で30km/hのスピードで引いていただいたおかげで貯金を作ることができた。

大分市は人口47万人の大都会だ

大分市内で通過チェック(173km地点)。
ちょうど9時間。グロス平均19.2km/h。当初目標は20km/hだったけど、あの暑さと向かい風の中なのでかなり上出来!
そしてここから東向きに変わるので向かい風区間も終わり。代わりに雨予報なのでレインジャケットをいつでも着られるよう準備する。
一緒に走ってきた2人は「うどん食べに行く」とのことで、再び単独走行に。

173km地点の通過チェック

豊後大野市に向かう途中、強い雨になりレインジャケットを着る。小さなアップダウンを繰り返してゆくが、登りになるとレインジャケットのせいで暑く、さらに汗をかく。
少し補給が足らなかったのか、若干眠くなってくる。
207km地点のPC2ではグロス18.3kmに落ちた。
熊本市内にホテルを取っているのだが、そこまでは何とか18km/hを維持したいところ(切実)

しかし尻が痛くなってきたし、補給が足らなくてフワフワしてきたし・・・という理由を並べて、明日長崎県に渡ったらリタイヤしてそのまま長崎に帰ろうかななどと弱気にもなっていた。

豊後大野市三重町に設定されたPC2。カルピス一気飲み。

豊後大野~熊本(-305km)

竹田の市街地までは少し大きめのアップダウンが続き、脚が削られてゆく。と、ここで3人と合流。うち2人は別府・大分でも一緒だった方だ。
曰く、1時間後くらいにはかなり強い雨が降る予報になっているとのこと。
そうなる前に早々に阿蘇市街地へ抜けるため、協力して進もう!となった。ブルベの大ベテラン2人の男性と、600kmが初めてという女性1人。そしてブルベ2年目にして600km初エントリの私の4人で、阿蘇の外輪山を越えるべく進んでゆく。雨はポツポツ程度で問題ない。

竹田から阿蘇外輪山の峠までは約20km。勾配の緩急を繰り返しながら無理のないペースで登ってゆく。標高は700mを超え、さすがに気温は下がってゆき、22℃になっていた。
平坦と登りを繰り返していたため「どこが峠だ?」と口々に探りながらも、意外と着かない。
ようやく『この先下り坂区間4km』の看板が現れ、頂上を確信。「やったぜ~!」と皆で叫ぶ深夜23時。最高じゃん(笑)

感動も束の間、滝室坂の急勾配をサーっと下り、阿蘇市街地の「おべんとうのヒライ阿蘇坊中店」でしばし休憩(264km)。てか、ヒライって24時間営業の店舗もあるのがびっくりよね(⊙д⊙)
ヒライ店内で日付が変わり、いよいよ熊本市内まで40km。一気に行きたい。

ヒライで食べたオムハヤシが美味かった

4人パックは変わらずに阿蘇を後にしどんどん下る。
追い風なのでやたらスピードが出るが、深夜なので慎重に。
熊本の市街地に入ると信号ストップが多くなるが、それでも深夜2時にはホテルに到着。
1人は同じホテルだったので、翌日も時間を合わせてリスタートする約束を交わした。

スタート予定は5:30。シャワー浴びて洗濯をして、つかの間の休息・・・。

熊本~島鉄フェリー(-407km)

2日目、4:45起床。睡眠時間は1時間20分だけだった。目を瞑ると同時にアラームが鳴った感覚。二度寝したいところだが気持ちを奮い起こす。

昨夜買っておいたサンドウィッチやバナナなどを胃に押し込み、準備して出発。
紹介が遅れたがホテルが一緒だった方はすーさんという、PBP完走者でもある方だ。これは心強い。結局、フィニッシュまでほぼずっと同行することになった。

主催者のSNS投稿では、2日目スタート時点で残っている参加者は50%とのこと。半分の時点ですでに完走率5割って・・・・とんでもないサバイバルな展開だ。こんな中で完走出来たら勇者かな~なんて思ったり。

まず目指すは約100km先の鬼池港だ。フィニッシュを目指すにしてもリタイヤするにしても(まだ弱気な部分はあった)、フェリーで島原半島へ渡らなければどうしようもない。
乗りたいフェリーは11:00発。乗船手続きもあるので15分ほど前には着いておきたい。乗船を逃すと次は45分後だ。

つまり次の100kmは5時間ちょっとしかかけられない。いや、トラブルに備え貯金も欲しい。
ちょっと頑張る必要はあるけれども、決して無理なペースではない!
後半戦、いってみよう!

さて、仮眠明けで脚の調子はどうなるものなのかと思っていたけれど、思っていたほど重い感じはしない。尻もそこまで痛くない。
胃の調子も悪くない。
ただ、10kmほど進むと徐々に力が入らなくなってきて、すーさんに先頭を代わってもらう。申し訳ない・・・。

互いに先頭交代しながら天草を目指す。右側に見える山は、対岸の雲仙岳だ。

50kmほど走行したところで水が切れたので『おべんとうのヒライ大矢野店』で水と補給食を調達。すーさん曰く「ここまでは過去のブルベできたことがある」とのこと。ここから先は未知の世界らしい。初めての道を走るのは楽しいよね。

天草の玄関口、天門橋のビュースポットで小休止

天草に入ると少しアップダウンが連続する区間に入るが、落ち着いてこなしてゆく。
下島に渡って本渡市街地のコンビニで補給しようとした矢先、すーさんの前輪がパンク。コンビニの駐車場で修理作業を行う。
少しのタイムロスがあったので、修理完了後は少しペースを上げる。

下島へは国道のループ橋ではなく昇開橋を渡る。
ループ橋の登り坂回避の情けか。
(本渡瀬戸歩道橋)


鬼池港まで2km強というところまで進んだところで、なんと今度は私の前輪がパンク。ぱっと見は原因はわからない。原因がわからないままチューブを入れて再発、という事態は過去何度かあったのでどうしても避けたい。必死でタイヤを手で探るけれど・・・・本当にわからない。
このまま自分のせいでフェリーに乗り遅れてはいけないと思ったので、すーさんに「先に行かれてください!もしダメだったらDNFするんで」と促した。
図らずも一瞬、DNFする言い訳ができて少しほっとした。

ただ、パンク自体は修理できないとフェリー乗り場にすらいけないので、引き続きタイヤを調べる。けれどやっぱりわからない。
と、先日にサイクリング中に起こったパンクで、チューブにパッチを当てたままだったことを思い出した。もしかしたら原因はそれなのではなかろうか?
そう思った瞬間「もしかしたらフェリー間に合うかも?」と思い急いでチューブ交換。5分ほどで済ませ、鬼池港まで急ぐ。
すると乗船10分前に到着。すーさんもそこに居て一緒のフェリーに乗ることができた。さらに3人の参加者もいた。

乗船手続きを済ませ乗り場へ向かう

乗船して一息ついていると乗船スタッフの方がやってきて「自転車で来られている方で、落としものしてませんか?」と尋ねられた。
もしやと思い自分のバックポケットを探ると・・・財布が無い。落とし物の色や形状など確認すると、明らかに自分の財布だった。しまった、やらかした。
財布の所在を訪ねると、まだ鬼池港にあるとのこと。しかも大変ありがたいことに、次の便で届けてくれると!これは本当に感謝しかない。島鉄フェリーさん、ありがとうございます。


口之津くちのつ港フェリーターミナルでの待ち時間では飲み物を買ったり軽食を補給した。(財布は無いが小銭入れは別で管理していたのが救いだった)そして定刻に次のフェリーが来て、乗組員から無事に財布を受け取り、感謝を告げる。
フェリー待ちの間45分ロスが発生することになり、この時点でリードタイムも無くなり借金生活に突入だ。とはいえ遅れは30分くらいなので、すぐに取り戻せるはず。
それに、ここからは勝手知ったる長崎だ。道も休憩場所もすべて把握している。ホームアドバンテージは大きい。諫早でDNFにしろ、完走するにせよ、島原半島からは脱出しなければならない。先に進むのみ。

口之津港フェリーターミナル

島鉄フェリー~ハウステンボス(-502km)

口之津港を出発してしばらくは追い風で順調に進んだが、加津佐かづさを過ぎたあたりから若干向かい風になった。そしてこの日は9月中旬にしては異例の猛暑日。35℃の中で向かい風に抗っていると、たちまち体がオーバーヒートしてしまう。口之津からわずか20kmだが、ちょっとしんどくなってきたので小浜温泉のコンビニでストップ。
すると、長崎在住のフランス人ランドヌール、ディミトリさん(以下、ディミさん)がロードに乗って現れた。びっくりした。
ディミさんは今回エントリーはしていないが、私が600kmにチャレンジするという投稿を見て、応援しに来てくれたとのことだ。

コンビの中にはすーさんもいて、クールダウンを兼ねて3人で少し談笑する。「フェリーに乗る前に2人ともパンクして大変だったよ~」とか、これまでの道中を報告。またディミさんは昨年のPBP完走者なので、すーさんとも話が合ったようで何より。
ディミさんに別れを告げ、すーさんと一緒にリスタート。富津の廃線跡の道を経由して、愛野展望所への坂を登る。この坂、道が狭くて交通量が多すぎるので、普段は崖下の廃線跡を通るのだけれど、今回はブルベなので致し方ない。汗まみれになりながらなんとか乗り切る。

長崎県道201号北野千々石線の"緑のトンネル"

そこから愛野の中心部へと下った道端でディミさんが再登場。歩道から私たちの様子を撮影してくれた。

451km、諫早市内小野町のファミマで休憩。ディミさんとはここでお別れ。元気出た。おかげで私の選択はDNFではなく完走に固まった。

ディミさん、ありがとう!


橋の上からも撮っててくれてた


また、このコンビニで後続の2名(KTH_0207Aさん、鶴岡さん)とも一緒になり、ここからフィニッシュまでの間4人で進むことになった。
この先4人で先頭交代しながら協力して進むことができたのが本当に大きかった。
一人だったら脚を止めてたところだが、複数人だと意地でもついていくのだ。

大村市竹松でのコンビニ休憩を挟んで、東彼杵ひがしそのぎ川棚かわたなと進む。川棚を過ぎるとアップダウンがあるがペースを守ってクリア。
そして502km地点、ハウステンボスでフォトチェック。口之津港から95km、5時間ちょっと。あれだけ暑い中頑張った。貯金も30分になった。それでも終盤の福岡市街地はかなりの信号峠なので油断ならないという。引き続き貯金を増やすことが必要とのことなので、最後の100km、油断せずに行きたい。

2箇所目のフォトチェックはハウステンボス。
ちなみに、中央の大きな左右対称の建物はホテルオークラであり、ハウステンボス園外に立地している

ハウステンボス~フィニッシュ(-604km)

ハウステンボス通過時点で時刻は18時。ここからは夜間走行だ。残り100kmでフィニッシュ期限の午前1時までは7時間あるが、1時間ほどのマージンは残したい。
まず目指すは50km先の佐賀県唐津市。残り50kmを切るといよいよクライマックスというところなので、まずはそこまで2時間半くらいで行けるとかなり良い。
ハウステンボスのある佐世保を後にし、国道35号・202号で伊万里へ。気温が幾分下がってきて走りやすくなる。
すーさんおすすめの「ドライブイン鳥」でワンチャン夕食が取れれば、というところだったが、ものすごい混雑っぷりで泣く泣くスルー。直後のセブンイレブンでいったん休憩(532km)。
ここまで疲労してくると、温かい汁物が飲みたくなる。他のみんなも同じだったのか、カップみそ汁やカップ麺などを購入していた。

唐津市内には21時頃に到着。真っ暗で何も見えない虹の松原をKTH_0207Aさんの鬼引きで爆走。35km/hは出ていた。その鬼引きが30km以上続き、ヘロヘロになったが、残り40kmを切って1時間近い貯金ができた。
さらに20km進むも1時間の貯金変わらず。もうとにかく尻が痛いが気合で耐える。

残り20kmを切って勝利を確信したところで、
ノンアルビールでフライング(笑)
しかしこのあと、福岡市内の信号峠に苦しめられる。

残り10kmを切って福岡の中心市街地に入った途端、信号ストップがとにかく多く、残り距離が減らない。あまりにも時間がかかるので補給が切れてきた。ちょっと、しんどい・・・・となったその時、ようやくフィニッシュ。ファミマでレシートをもらい、4人で喜びを分かち合った。未知の世界だった600kmを本当に完走してしまったのだ。しばし余韻に浸った後、ゴール受付へ。

受付会場(ぶるべ不動産)にはAJ福岡スタッフの皆さんや参加者の方が総勢10名以上いた。「いやーしんどかった~」と互いに労いながら、にぎやかにゴール受付。もちろんメダルも購入した。
主催者の情報だと、最終的に完走者12名、完走率は36%というから、そもそも過酷だったようだ。序盤の暑さと向かい風にやられた参加者が多かったのだろう。
獲得標高が少なく優しく見えるルートでも、気象条件次第では難易度が別物になるものだと、改めて思い知らされた。

こうして初めての600kmへのチャレンジは見事完走という形で終えることができた。
同時に初めてのSR達成。初めてづくしでうれしい限り。

メダルと記念撮影!

エピローグ

600km走ってみて、それはもう大変しんどかったんだけど、すでに1000kmに手が届きそうだと感じている自分がいた。
1000kmかぁ・・・・いつになるかはわからないけど、いつかきっと挑戦してみたいな。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(おわり)




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