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「不登校は不幸じゃない」。でも、「学校は必要」?その理由も腑に落ちる、不登校経験談の集合体の1冊。【小幡和輝『学校は行かなくてもいい―親子で読みたい「正しい不登校のやり方」健康ジャーナル社】

この本の書評はどうしても今日書いておきたかった。

もうすぐ夏休みが終わる。実はこの時期に「18歳以下の自殺者数」というものが格段に増える。それは、2学期が始まるにあたって学校に行きたくない、学校が辛くてしんどい子どもたちが、耐えきれずに「死」の道を選んでしまうからだ。

でも、それっておかしくないか。
「学校に行く」以外に、選択肢が許されないのっておかしくないか。
もし「学校に行く」以外の選択肢があれば、彼らを助けられるんじゃないか。

その思いを胸に、今日、2018年8月19日に「#不登校は不幸じゃない」という、全国100箇所同時開催という形で不登校を考えるイベントが開かれた。その発起人こそがこの本の著者の小幡さんである。彼もまた小学校のときから不登校だった。

この本はとってもコンパクトにまとまっている。難しい単語もほとんどなくふりがなもある。そのうえ、小幡さんの不登校経験談に関してはマンガという形で取り上げられている。つまり、いま不登校の子どもたちでもたやすく読めるような配慮がそこかしこに施されている。

小幡さんだけではない。この本は、いわば「不登校経験談の集合体」のようなものだ。公募された不登校経験談から著名人のものまで収録されている。メンバー全員が不登校経験者のバンドもあれば、あの家入一真氏が実は不登校経験者だったなんて、いったいどれぐらいの人が知っているのだろうか。小幡さんを含め、彼らがいかに不登校と向き合い、将来への道を切り開いていったのかがすっと頭に入ってくる。

しかし、それでもなお、小幡さんは結論として「学校は必要だ」と述べている。学校という場所に苦しみ、自ら学校へ行かないという選択をとった小幡さんが、「間違いない」と言い切るほどまでに「学校は必要だ」と断言するのは、いったいなぜなのか。学校は行かなくて「も」いい、というこの本のタイトルがちょっぴりヒントになっているかもしれない。

不登校の子どもはもちろん、不登校の基礎を知りたい大人にとってもこの本はダイレクトにメッセージが伝わってくる。彼らの不登校に対する思いを、ぜひ受け止めてほしい。


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