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「すべてのHSPを救うための文章ではない」ということを、発信する側も受け取る側もわきまえておこう、という話

先日アップしたエントリ

に、僕はこんなことを書きました。

実際HSPの当事者でHSPに関する書籍を上梓したり文章を発信している人って、べつに「すべてのHSPの人」を救うためにやっているわけではないと思うのです。

それで「別に自分に言っているわけではないと考える」ことが大事だよと書いたのですが、これは発信する側・情報を受け取る側両方に必要なスキルなのではないか、と、書いたあとでふと思いました。

ダメ人間だと思ったらHSPでした!』という本があります。著者の染井アキさんは専門家ではなくHSPのいち当事者の方で、この本はHSPの日常をわかりやすく、かつ身近に思わせてくれる一冊です。ちょうど専門家や精神科医が書いたHSPの本を読み漁っていたところにこの本と出会ったので、読了後はなんだかほっとするような感覚を味わいました。

ただこの本、「ダメ人間」というタイトルに引っかかりを覚えた方もいたらしく、後々染井さんのTwitterを見ると「そこまで言わなきゃいけないの?」と思うほどの謝罪文がツイートされていて、僕は非常に心が痛みました。

もちろんこの本、HSPの人がダメ人間と言っているわけではありません。むしろHSPの人の繊細な部分をうまく描いている本です。実際、件のツイートには「この本で救われました」「共感しました」みたいな感想ツイートも多くて、その優しさに涙が出るような思いもします。

これは僕の主観でしかないのですが、この「ダメ人間」というタイトルで「この人何を言ってるの?」と引っかかった人は、正直その時点でこの本が想定している読者ではない、のかもしれません。

『#不登校は不幸じゃない』というイベントをここ数年全国規模で開催している小幡和輝さんという人がいます。彼自身も不登校経験者です。そんな小幡さんがこのイベントを毎年開催するにあたって、「僕はすべての人を救えないので」と断言しています(こちらの記事を参照)。

これもまた「不幸」と言う2文字が入っていることで「不幸と決めつけるな」などと批判が来たようなのですが、小幡さんはそういう人を「ではあなたが救ってください」という文言ではっきりとターゲットから外しています。かなりきつい表現ではありますが、こうして不登校の中でも「対象を絞る」という戦略に出た結果、かなりイベントは盛り上がっていました(僕も参加しました)。

そもそも、これだけ多様化が叫ばれている時代に、文章にしろ食べ物にしろ芸能人にしろ「すべての人々が納得できるもの」なんてものはまずありません。多様化が叫ばれてない時代でも同様です。いま売れているものもバズっている文章も、はっきりとターゲットを意識して発信されているものばかりです。HSPに限らず何かしらの文章などへの批判を見ていると、「あなた読んでないでしょ?」というものや、「この人ターゲットの外から文句言ってるな」という内容の文脈ばかりで疲れてくることもしばしばです。

先日も書きましたが、こうして文章を発信しているとたまに批判を頂戴することもあります。たしかにそれは自分の文章が稚拙で、読み手に文脈を誤った文章を届けているということもあるかもしれません。でも、書き手にも読み手にも「すべての人々が納得できるもの」はない、と言う前提で読めば、少しは世界が平和になると思います。

とくにHSPの人は書き手も読み手も繊細です。読み手が文脈を読み誤ってトンチンカンな感想を残して、書き手を大いに傷つけてしまうということはほんっっっっっとうによくある話です。それで書き手が情報発信を辞めてしまうという瞬間も僕は何度も見てきました。これ、誰も何も得をしてませんよね。せっかくいいこと発信していたのに、誰かの一言で「もう書くの辞めます」なんてことになるのはものすごくもったいない。

だからこそ、とくに読み手側には「あ、これ自分に向けて書かれてるんじゃないな」と読み流すスキルは身につけてほしいです。

もちろん、この僕の文章も「すべてのHSPを救うための文章ではない」ので、どうか悪しからず。

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