2019年8月の記事一覧
非行少年に反省を促しても「それ以前の問題」である。【宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』】
教育畑でいま大きく話題となっているこの一冊。それは、帯に描かれている「非行少年が“三等分”したケーキの図」の衝撃によるものなのかもしれない。しかしこれは、この本を読んでいけば「そりゃそうなるわな」と思わず納得してしまう図でもある。
そもそも、非行少年は「反省すら難しい」のだ。
こう書けば語弊があるのかもしれないが、医療少年院などでの勤務経験がある著者が接してきた非行少年の中には、漢字や計算、か
「ベストはさておき、とりあえず!」―繊細で気がつきすぎるすべての人に届けたい「ラクに生きる方法」【武田友紀『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』飛鳥新社】
この本は、「繊細でストレスを感じやすい人が、繊細な感性を大切にしたまま、ラクに生きる方法」を書いた本です。
この書き出しが、この本のすべてを物語っている。
おそらく、「気が利く人」や「気がつきやすい人」というのは良い人であるという認識を持つ人は多いと思う。たとえば冷房がよく効いている状況下で「寒くないですか?大丈夫?」と聞かれたり、そっとブランケットを持ってきてくれるという行動に対して「不愉快
あまりに敏感すぎるとどうなるのか?非HSPの人にこそ読んでほしい「敏感すぎる日常」【高橋敦『敏感にもほどがある』きこ書房】
世の中の5人に1人はいると言われているHSP(Highly Sensitive Person:過度に敏感な特性を持つ人)。これが多いのか少ないのかというのはさておき、そのへんの職場や学校には必ず1人はいる計算にはなる。「うちにはいないけどなぁ・・・」と心当たりがなくても、それはおそらく敏感であることを悟られないようにただただひた隠しにしているだけかもしれない。
課長に怒られている同僚を見て、自分
「この本を開いたとき、偶数ページのある・ほう」が表す言葉って?想像以上にたいへんな、国語辞典を作る裏側を知れる一冊。【飯間浩明『辞書を編む』光文社新書】
「南を向いた時、西にあたる方」(『広辞苑』第6版)
「北を向いたとき、東にあたるほう」(『チャレンジ小学国語辞典』第3版)
「アナログ時計の文字盤に向かった時、一時から五時までの表示のある側。〔「明」という漢字の「月」が書かれている側と一致〕」(『新明解国語辞典』第7版)
「この本を開いたとき、偶数ページのある・ほう」(『三省堂国語辞典』第4版)
異なる国語辞典から引用したこの意味を表す言葉はな
科学的側面から考える人間の過敏さとは?そして精神科医から見た「HSP」とは?自分の敏感さを違った視点で見たい人向けの一冊。【岡田尊司『過敏で傷つきやすい人たち』幻冬舎新書】
「HSP」(Highly Sensitive Person:過度に敏感な特性を持つ人)にまつわる本は、HSP研究の第一人者であるエレイン・N・アーロン博士の『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』を筆頭として、5人に1人該当する性格の一部である、生まれ持った特性である、という視点で書かれているものが多い。
この本はその「HSP」を、科学的(ここかなり重要)に考察・研究してまとめられ