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カンマネ1年生の仕事と思考

カンマネ、つまりカントリーマネージャー、さらにつまり、外資の日本法人の(主に)収益に責任を負う役割について色々書いていきます。

僕は今、App Annieという外資企業の日本法人のカンマネというポジションで仕事をしています。名刺の肩書きはカントリーディレクターですが、いわゆるカンマネです。

このカンマネというポジションは、外資系特有のものですが、いったい毎日何してるのか、何が役割なのか、何をすればカンマネになれるのか、キャリアとして今後どこへ向かえるのか、そのあたりがあまり巷でよく語られていないため、興味のある人達に参考になればと思います。

目次
1. カンマネになった経緯
2. どんな役割?
3. 責任範囲は?
4. キャリアパスは?
5. 必要な経験やスキルは?

1. カンマネになった経緯

僕の場合はプロモーションです。今の会社にIC(Individual Contributer)として2014年の夏に入社し、2016年1月からセールスチームのマネージャーをやっていました。

このあたりの細かい経緯は過去ブログをご参照下さい。

App Annieではたらいてる理由|向井俊介@App Annie @Shun_Mukai0718 #note https://note.mu/shun0718/n/naa5fd859e9f2

2018年の1月にアメリカにKick Off Meetingに参加していた時、CEOに「そのうち日本を任せたい」と言われたのですが、いつからか、とか言われませんでした。

が、2018年の秋に、先代がプロダクトチームに異動する事が決まり、「あとは頼んだ」と言われたところからスタートしました。他のカンマネ達に言わせると「プロモーションでカンマネになるのは珍しい」らしいです。

2. どんな役割?

カンマネの役割は、会社によって様々だと思いますが、以下です。
- 文化醸成
- 採用・組織づくり
- 収益ターゲットの達成
- 課題発見と解決
- 隙間仕事の巻き取り

文化醸成は、「外資だけど日本法人ぽさ」を構築する事です。土台となるのはVisionやCore Value等、本社が定めるグローバル共通の方針や思想ですが、英語ということもある上、抽象的な解説しかなかったりします。

それを日本語に意訳して言語化し、定着のために繰り返し発信していく事はとても大切なカンマネの役割だと思います。

採用や組織づくりも大事な仕事ですが、よく耳にする「カルチャーフィット」のためにも、上記の言語化と定着は必要です。それをしないと何となく合う合わないで判断してしまうからです。

採用は本当に大切ですし、とにかく難しいです。良い候補者の早期見極め、質問内容や会話の内容の構成は未熟ですし、募集している時はかなりの意識と時間を採用に費やします。

加えて、弊社は100%中途採用です。キャリアパスの一環で入社してくる人が多い中、組織内における采配もとても難しいです。新規のセールスで採用しても、2年やったらカスタマーサクセスやりたいと思う人も出るでしょうし、そうなったときに全体の組織の形を最適化して意思決定をしないといけません。

あとは言うまでもなく日本法人として課せられた数字のターゲットを達成することです。数字を上げていないと存在感が無くなる危機感を常に持つようにしています。最低限の義務です。

課題発見と解決については、会社の成熟度によると思いますが、まだ5歳の弊社は常に課題がある状態です。顕在化しているものもあれば、次のステージに向かうために障壁となっている潜在的なものまで、大小あれど「常に」課題に囲まれています。

しかも、一人のICとして仕事をしているときに見える課題と、マネジメントレイヤーにいることで見える課題、カンマネになると見える課題というのがあると思いがちですが、実は見える課題というのはポジションで大差ありません。ただ、自分ごとしなくても済ませられるか、自分ごとにしないとまずいと思うかどうかだけです。

隙間仕事の多くはこの課題に関するものです。自分ごとすればするほど、巻き取らざるを得ません。現場で役割とKPIを背負って仕事をしているICメンバー達は、それぞれの仕事をしていますが、カンマネは彼らがやらない、もしくは自分ごと化していないけど日本法人全体のためにはやらなきゃいけないことを巻き取らないといけません。

ちなみに僕がプロモーションしてきた理由の1つは、「常に1つ〜2つ上のポジションの視座をもって課題発見と解決案の提示をしてきた」ことです。

2. 責任範囲は?

普通の評価でよければ、日本法人の数字を継続的に達成していればOKで、その為に最善の事だけやってればよいです。

App Annieという会社は、自分に課せられた役割を越える事を期待します。つまり僕で言えば、APACのビジネスや組織、文化醸成に対して自分の経験や意見、チームのアサイン等で貢献していくことで、社内での存在感が増していきます。

なので、責任範囲は当人の意識次第で幾らでも広げられるし、狭められますかが、自ら狭める人には会社は期待をしなくなります。

4. キャリアパスは?

例えば、LinkedIn等で、僕に転職エージェントから頻繁に頂くのはカンマネポジジョンか、APACのセールスディレクター、日本のセールスディレクターポジションです。

転職をするとしたら、こういうポジションが実際に候補になるイメージです。

転職をせずに社内でのキャリア構築をするとしたら、カンマネの次にあるのは例えばAPAC全体の責任者か、APAC全体のセールスディレクター等でしょうか。

5. 必要な経験やスキルは?

僕自身、まだ1年目なので偉そうな事は言えませんが、カンマネならではというか、特に意識して高めておかないといけないな、と思えるのは「本質を見る力」と「言語化力」と「コミュニケーション力」です。

変化が激しい業界、会社の場合はなおさらですが、多くの変化やそれに伴う本社の意思決定は、本質的に捉えると多くの場合ちゃんと納得できます。本質的、というのは例えば、商いの原理原則である「我々の給料は誰から貰ってるのか」という視点です。

言語化力は、本質を理解し、それをメンバーに伝えて納得してもらうときにも重要です。納得しないと人は動きませんし、パフォーマンスは落ちます。自分が言語化できないというのは、理解できていないことと同義です。

コミュニケーション力は、本社サイドとのコミュニケーションと、現場とのコミュニケーションの両面があります。本社とのコミュニケーションにおいては、本社に日本の特異性や文化等を理解してもらわないといけませんし、本社の言うことを現場に落とし込み、時にはプッシュバックしたり、という事をやります。

現場とのコミュニケーションは、モチベーションポイントやマインドセット、現場で起きている問題把握や各人のスキルアップ、キャリアパスの話、マネジメント層へのフィードバックなど、様々なアジェンダがあります。

この他、会社の顔として積極的にメディアに露出してPR活動をしたり、イベントやセミナーにたくさん登壇してリード獲得に勤しんだり、素人だけどマーケティングマネージャーの役割も巻き取らなきゃいけなくなったり、記事を寄稿するために締め切りに追われたり、外部の人達と積極的に交流したり、Twitter等を活用して少しでも認知や興味をもってもらったり、自社イベントの企画運営の責任を負ったり、Halloweenやクリスマスの飾り付けの相談を受けたり、経費の承認をしたり、各セールスに連れられて商談に同席したり、時には謝罪しにいったり。

一言でいうと、カンマネって孤独です笑

カンマネで集まると、大小あれど悩みは同じです。こういった悩みはなかなか全て社内のメンバーに共有できず、弱音を吐くこともできなかったりするので、社外のカンマネ同士の交流はとても貴重だったりします。

何してるか分かりにくいと言われることもありますが、「何でも屋」なので、その瞬間だけ切り取られると仕事に一貫制が無いようにみえるかもしれません。ただ、カンマネ当人は、全ての仕事に一貫制と目的をもってやっているのです。

カンマネの下で仕事をしている人たちにはカンマネを少しでも知ってほしいですし、カンマネになりたい人には泥臭い側面の仕事のほうが多いことを知ってもらえたら参考になるでしょうし、カンマネの人には「ほんとそれな!」って共感してもらえたら嬉しいです。

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