APP DIVE 〜新規アプリの「しくじり」から学ぶユーザー視点でのプロダクト改善とは〜
CXプラットフォーム「KARTE」を提供している株式会社プレイドさん主催のイベントに参加してきましたので簡単にレポート(というか殴り書き)を。
登壇者
クックパッド株式会社 買物事業部本部長 JapanVP 福﨑 康平さん
株式会社リクルート グループマネジャー 瀬沼 裕樹さん
株式会社トレタ 執行役員 Toreta now事業部担当 名取 一博さん
LT①クックパッドマート
街の販売店や地域の生産者のこだわりの食材を出荷当日に届けるサービス。
ドラッグストアやクリーニング店といった最寄り駅と自宅の間の近所で受け取れる。最低注文金額なし。
しくじりのポイント
①しくじる単位を小さくスピードを早く
初期は買い物代行モデルでトライ。自分達でレンタカーを借りて社員が代行する形でテスト。コストやスケール面の課題が見えてきた。また、社内で試せる環境を作った。社内に冷蔵庫を設置し、社員がクックパッドマートを使って社内で受け取れる仕組みを作った。
②作りたい世界観を基に軌道修正
はじめはユーザーが少ないのでユーザーの意見で方向性を決めるのは無理がある。自分たちの世界観を指針とする。VisionとMissionを言語化し会社にも掲示。
③細かいしくじりと改善で味方をつくる
自分もユーザーになる。細かい改修を続けて社内外に仲間を作ること。
LT②エリクラ(リクルート)
リクルートの社内新規事業コンテスト「Ring」でグランプリ受賞し事業化。スキマ時間に近所で手軽な仕事が探せるサービス。職場までの距離や時間による制限で仕事がない「見なし失業者」が全国に沢山いて、手軽な仕事を任せたい企業とその人を結びつけるサービス。
大切にしていること
ユーザーの声に耳を傾けること
ユーザーの声やデータからアプリのUI改善を積み重ね、体験価値を上げていく。
決めつけないこと
当初の想定と実際の利用のされ方が違うケースが往々にしてある。なるべく決めをつくらず、実際の利用方法を分析しながらサービスを作っていく。
LT③トレタnow
トレタは飲食店の予約管理・顧客管理をできるツール。事業の中で、飲食店としては忙しい時期に電話がくる煩わしさ、ユーザーは電話しても繋がらなかったり急な二次会の際にお店探しに苦労する辛さ、といったペインがあることが分かり作ったのがトレタnowというサービス。最短10分後に入れるお店をオンラインで予約できる、当日予約のサービス。
スムーズすぎるフローによるしくじり
飲食店を検索・予約をするフローを考えた際に、実際予約するタイミングで個人情報を入力させるのはストレスになるのでは?と考え利用登録をあえて手前においた。結果、離脱率が狙い通りとても低く抑えられた。
しかし、サービスのキャンセル率がめっちゃ高くなってしまった。
ただ、行動分析ができる設計にしていたことにより、フローをスムーズにしすぎたせいで簡単に予約が取れすぎていると仮説が立てられた。
ゴールがわかりやすいように予約確認アラートを追加。結果としてキャンセル数激減。
【学び】
フローをスムーズにするのが目的であってはだめ
本来の目的を見失わない
パネルディスカッション
なぜアプリでやろうと思ったか?
(トレタ)元々トレタはアプリであったため。体験のスムーズさ
(クックパッド)サービスの使い勝手を考える際に頻度高く使えるアプリを選択した。夕方の買い物時などにプッシュ通知が打てること。元々はオーダーはスプレッドシートで受けるという形でミニマムでスタートさせた。
(リクルート)リクルートはtoB系が多いためWEBが多い。はじめエリクラもWEBでスタートしたがユーザーよりアプリを求める声が強く開発に。アプリでのCVがシェア高まってきた。アプリはWEBより継続率が高い。
新規事業の攻め方と変化への対応
(クックパッドマート)ubereatsといったサービスをベンチマークにし、当初は一般の人が買い物代行する様なサービスの想定であった。ただ、買い物オーダーの難易度や実際運搬する際の温度管理など一般の人が対応するにはハードルが高かった。そこで街の酒屋さんの様なプレイヤーが担うのが良いと考える様にピボット。
(トレタnow)思っていた以上にユーザーニーズがあった。予想外だったのは「簡単に予約が取れすぎて逆に怖い」とユーザーに思われるケースが多いこと。競合無いといえば語弊があるが、トレタでしか保有していないリアルタイムの正確な店舗の空席情報を基盤に「超直前」という大手プレイヤーと棲み分けた領域で展開していく。
(リクルート)様々な競合はいると認識しているが、深掘ってみると棲み分けられる領域もある。競合サービスを徹底分析し、キャッチアップする戦いを繰り返している。
組織と新規事業に向いている人
(リクルート)圧倒的当事者意識。誰の何を解決したいのか?に思いがある人。
(トレタnow)課題の当事者であること。事業性やロジックも大事だが、「この課題を解決する」というのがある人。
(クックパッドマート)新規事業に向いている向いていない以前に立ち上げ時はスキルが強い人が必要。不安定な中でも確信を持てる人。
新規事業を作る組織文化
(リクルート)「RING」は組織カルチャー醸成と未来の事業育成両方の側面がある。起案数を上げるために「RING」専門のチームがいて迷惑になるくらいメールが送られてきたりイベント(年間300回)が開催されている。
(クックパッドマート)「料理」をテーマに海外展開と新規事業(非公開も含めて10個以上)に全社の半分以外のリソースを割いている。利益ではなくキャッシュフローを最重要に攻めている。
(トレタ)社長が新規事業にコミットしている。社長自身が未来の事業を作るために奔走している。社員が勝手に考えて出してきた事業案に対してケチをつけない。
ユーザーの声をどう取り入れてプロダクトに取り入れてるか?
(クックパッド)仮説をまずきちんと立ててからやるべき。自分たちの軸が無いと一部のユーザーに影響を受けすぎてしまう。
(リクルート)熱狂的なユーザーと一緒にプロダクトをつくっていく心づもりでやっている。社員が熱狂的なユーザーとLINE交換してやりとりしている。
(トレタ)初期仮説の検証と、コミュニケーションの場としてユーザーコミュニティを広げるために活用している。新規にチームにジョインしたメンバーの当事者意識を醸成するためもある。
事業化プロセスについて
(リクルート)市場として100億くらいは無いと事業化にならない。
(トレタnow)まずニーズから考え、後づけで市場規模を分析し本格的に事業化する。
(クックパッドマート)1,000億くらいの市場規模がなければ参入しない。しっかり利益を残せる、子忙しい事業にならないかは考える。労働集約にならない事業モデル。
以上、本当殴り書きで恐縮ですがご覧いただきありがとうございました。