SIX powered by Plug and Play Japan OCTOBER Edition: Startup Introduction
こんにちは、shumpsです。
弊社のマンスリーピッチイベント「SIX」のAPRIL Editionが10月30日に開催されました(イベントレポートはこちら)。今回のテーマは「Last Mile」。モビリティ/スマートシティ・チームの自分にとっても物凄く興味のある分野です。アマゾンやアリババを含む巨大Eコマース企業の急激な成長を背景に、物流業界は効率化やコスト削減を余儀なくされています。また、物流業界における人材不足も指摘されています。新型コロナウイルス感染症による昨今の巣ごもり生活により、Eコマース企業は追い風を受けており、物流業界における課題は更に深刻化するでしょう。
(Google Finance)
コストプレッシャーを受ける業界は構造的に利益率が落ちるので、新しい技術に対する投資が難しくなります。従って、物流業界は大企業側からのイノベーションが起きづらく、課題解決には外部企業との連携(例:投資家から膨大な資金を集め、イノベーションを目指すスタートアップ)が必要不可欠となっています。この分野に投資家が注目している証拠として、2014年を起点として、サプライチェーン&ロジスティクス関連のスタートアップに対するベンチャー投資は、2019年時点で17倍となっています。
Plug and Playもサプライチェーン&ロジスティクスのアクセラレーター・プログラムをグローバルで展開しており、米国アーカンソー州では世界最大のスーパーマーケットチェーンのウォルマートに対してイノベーション・サポートを提供しています。また、ラストマイル関連のスタートアップに対する積極的な投資も行っており、ソフトバンクやセコイヤキャピタルも投資をしている宅配アプリのRappi、日本のMobility Batch 5採択企業のDucktrain等への投資実績があります。
それでは、SIX OCTOBER Editionにご参加頂いたスタートアップの紹介に入らせて頂きます。
1. Yper株式会社
「使った人が「最高!」と思うような価値を世の中に生み出すこと、そしてより多くの人にその価値に触れ、使って頂くこと」をビジョンに、置き配バッグとスマートフォンアプリを使った物流システム(OPKIPPA)を提供しています。直近ではレオパレス21の管理する賃貸物件約57万室の推奨宅配ボックスとして採用されており、レオパレス21はOKIPPAの置き配バッグを販売価格の5%引きで購入出来る専用クーポンを発行しています。また、Yper株式会社は置き配バッグの製造に再生ポリエステル素材を活用する予定であり、サーキュラー・エコノミーを意識したサービスの構築も目指しています。
国内における再配達問題は社会問題となっており、新型コロナウイルス感染症による巣ごもり生活により、問題は更に深刻化しています。Yper株式会社が提供するサービスを通して再配達率を削減する事で、環境負荷低減効果や配送員の現場における負荷軽減が期待されています。こうした活動を通して、Yper株式会社はロジスティクス業界におけるサステナビリティへの取り組みに一石を投じてくれるのではないでしょうか。
2. 株式会社トドケール
「モノの受け渡しの見える化・効率化」を目指し、オフィス内の郵便物の受け渡しを効率化するアプリ「オフィスでトドケール」、そして個人間でのモノの受け渡しを効率化するアプリ「じぶんでトドケール」を開発しています。郵便物流システムの導入により、物流業界で課題となっているラストマイルをあえて「届けない」事を目指しています。今年7月にはニッセイ・キャピタルの運営するアクセラレーション・プログラム「50M」に採択されており、9月には正式版アプリをリリースしています。
メール管理室には実は様々な非効率が存在します。STAY HOMEが推奨される中、郵便物の確認のためだけに従業員がオフィスに出向く事も少なくないのではないでしょうか。株式会社トドケールのサービスを活用すると、荷物のデータが全てクラウド上で管理され、物理的にオフィスにいない場合でも、荷物の量やステータスを簡単に確認する事が出来るようになります。この様なサービスは、郵便物受け渡しのの非効率を低減するだけでなく、多様な働き方を支えてくれるようになるでしょう。
3. 株式会社LOZI
見える化と自動化で次世代のサプライチェーンマネジメントの実現を目指しており、サプライチェーンを分断することなくモノの動きを可視化する「SmartBarcode」、ブロックチェーンベースの食品トレーサビリティシステム「OrganicSmart」を提供しています。直近では、三菱倉庫とのニューヨーク向け航空貨物輸送におけるリアルタイム・トレーサビリティの実証実験の実施を発表しています。
株式会社LOZIはPlug and Play Japanのモビリティ・プログラムの採択企業でもあり、10月に実施されたEXPO(Demo Day)ではJapan Session Awardを受賞されています。当社のサービスはラストマイルに限らず、サプライチェーンにおけるモノの動きは包括的に可視化するものとなります。SmartBarcodeの活用を通して、製造業、小売業、物流を含む様々な業界におけるプロダクトスチュワードシップの推進が期待されます。
4. 株式会社LOMA
「好きな場所で借りて好きな場所で返す」を目標としたカーシェアのUBER版「LOMACAR」を提供する福岡県のスタートアップとなります。当社のサービスは、車載型電動キックボードを活用する事で、配車・回収スタッフがレンタカーを顧客の指定する場所にて配車、又は回収する事を可能にします。今年3月に設立されたばかりですが、福岡市を中心に実証実験を進めています。
LOMACARは人の移動のラストワンマイルに取り組むサービスとなりますが、株式会社LOMAは将来的にはAIを活用し、注文需要の予測や走行ルートの効率化に取り組み、モノのラストワンマイルを支援する事も構想しています。
5. 株式会社207
「いつでもどこでもモノがトドク、世界的な物流ネットワークを創る」をミッションとし、荷物の受取人向けの配達通知アプリ「TODOCU」、宅配業務の効率化を可能にする配達員向けのアプリ「TODOCUサポーター」、そしてギグエコノミーを活用した配送サービス「スキマ便」を提供しています。スキマ便に関しては、新型コロナウイルス感染症により急増した飲食店のデリバリーの需要に合わせて、今年5月に開始しています。株式会社207もPlug and Play Japanのモビリティ・プログラムの採択企業であり、EXPOでも最も注目された企業のうちの一社となります。
冒頭でお話しした通り、物流業界はコストプレッシャーや人材不足により、業務効率化が求められています。株式会社207が提供するサービスは、物流業界におけるデジタルトランスフォメーションを実現します。当社のTODOCUサポーターは累計約2,000人の個人配達員に利用されており、大手配達業者への導入も視野に入れています。今年8月には総額8,000万円の資金調達も発表しており、事業のさらなる加速が想定されます。
6. 株式会社PacPort
「物流ラウトマイルへのイノベーション」をミッションに自動受取型IoT宅配ボックスを提供しています。当社はPlug and Play JapanのIoTプログラムの採択企業となります。直近では、株式会社エリア・パーキング、株式会社大川とタッグを組み、IoT宅配ボックスのサブスクリプションサービスを今年10月から横浜市都筑区にて展開しています。
Yper株式会社や株式会社207と同じく、株式会社PacPortに関しても再配達問題の解決に取り組んでいます。IoT宅配ボックスは追跡番号で荷物を識別するため誤配送を防止でき、QRコードを活用する事で荷受人なりすましを防止します。また、ボックス内のカメラで写真を撮影し、受取記録を残します。専用のアプリでは、複数通販サイトの注文情報を一括管理出来るため、非常に使い勝手の良い設計となっています。
以上、SIX OCTOBER Editionにご参加頂いたスタートアップの皆様の紹介となります。
次回のSIXのテーマはRoboticsです(お申し込みはこちら)。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。