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IELTSとは違う?イギリスで必要なAcademic English(Writing) - 大学院コース開始直前。

皆さん、こんにちは。本稿では、大学院に入る直前のことから始めたく思います。「入る直前」とは言っても渡英前ではありません。渡英した後です。

私は本コースをスタートする前にPre-sessional courseというコースをダラム大学で受講しました。これは海外から来た学生が、本コースをスタートする前の初夏を使い、英語能力を向上させるコースです。主にIELTSの点数が足りていない学生が受講します。合格点を出せば晴れて本コースに進むことが許可されます。つまり、Pre-sessional courseは正確にはまだ大学院に入る前の段階というわけです。

私は無条件合格をもらったのでPre-sessional courseは必須ではありませんでしたが、Academic Englishの能力を上げるために、受講を決めました(5週間、10週間、15週間の期間ごとにコースが分かれており、IELTSスコアによって受けなければならないコースが決められました。私は5週間コースでした)。ちなみに、ここでいうAcademic Englishは主にWritingのこととして書きます。IELTSにもWritingはありますが、IELTSで高得点をとれることが、Academic writingの能力があるという証明にならないと考えます。IELTSで自分がどんな文章を書いていたか忘れてしまいましたが、Pre-sessional courseでは、IELTSでは勉強できない大学で必要な技術としてAcademic writingについて教わりました。それはなんなのか。Academic writingにあってIELTSにないポイントをいくつか以下の通り挙げてみました。

・剽窃(Plagiarism):IELTSのWritingは自分の考えをいかにわかりやすく美しく書けるかが重要と思います。本人がどういう経験をしてどう考えたかを書くことも多いでしょう。しかし、Academic Englishでは、あなたの1経験は役に立ちません。偉い先生方が言っていることを証拠(Evidence)として書き、議論を組み立て、結論を科学的に証明する必要があります(これは主に社会科学の学生の場合です)。Academic writingでは、「自分の考え」は結論だけで、「自分の考え」ではない部分は、それを明示しなければなりません。その時に、ルールに従い引用し、参考文献を記載しなければ、盗用になり、最悪の場合は大学から退学をくらいます。

・言い換え(Paraphrasing):上の剽窃と関連したことですが、Academic writingでは文章をそっくりそのまま引用すればいい訳ではありません。正確にはいいのですが、直接引用はそれなりの適切な使い方があると教わります。1文字1句変えない方が良い時などがそうです。それ以外はほとんどの時に自分の言葉に言い換えて使います。参考文献としてルールに従って明記する必要がある上に基本的に言い換えることが求められます。

・エッセイの構成:IELTSのWritingはせいぜい150文字や250文字だったと思います。しかし、イギリス大学院では3,000文字くらいはあります(論文となれば10,000文字は確実に超えます)。IELTSの文字数はエッセイの冒頭第一パラグラフの量に過ぎません。Academic writingを学ぶということは、1文の書き方、1文1文が繋がったパラグラフの書き方、パラグラフが複数繋がった1つのエッセイ(または論文)の書き方を学ぶことだと思います。細かい部品が繋ぎ合わさり1つの作品ができるようなイメージです。エッセイや論文は、それぞれの構成文、文章、パラグラフ、章、結論がつながり、論理的一貫性を持たせることが重要になります。

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・使用「禁止」単語:Academic writingで使わない方がいい単語を教えてくれます。日本語でエッセイを書くときも同じかもしれませんが、難しい言葉はカッコよくて専門的な感じがするので使いたくなってしまいますよね。しかし、それは逆効果です。エッセイで高スコアを狙うのであれば、いかに読み手にわかりやすいかが重要で、無理に学術書や論文などで知った難しい単語を使うとエッセイ全体がぼやけて、議論が弱くなります。当たり前ですが、難しい単語を無理やり使い議論がぼやけてしまうと、上の「エッセイの構成」で書いた、論理的一貫性も弱くなります。何が言いたいのか分からなくなってしまいます。

以上のように、Academic writingは、ただ思いつくままに英文を書いているわけではなく、大学というある意味特殊な環境のルールで、決められた文字数でいかに読み手にわかりやすく書けるかが問われます。Pre-sessional courseではそれがなんぞかというのを学ぶことができます。イギリスで学士号を取った人はもう知っていることかもしれないので、必要ないかもしれませんが、別の国で学士を取った人にとっては、得られるものはとても多いはずです。

Pre-sessional courseを終えた私は、前回書いたように無事、本コースをスタートしました。Pre-sessional courseで学んだことはとても役に立ちました。また、本コースが始まってからも、学期中に開講されるAcademic writingの講座を受け続けていました。これは、Pre-sessional courseとは全く別物で、主には海外からきた留学生のために開かれる補完的なクラスで、無料で受けることができました。

Pre-sessionalやAcademic writing講座を通して、文章を書くことへの私の興味がとても深まったように思います。文章を書くのは得意ではありませんが、少しでも上達したのを実感するのはとても楽しかったです。文字で表現することが楽しくなりました。大学院での学びもより深いものになりました。以上端的にではありますが、これから大学院に進学する方の参考に少しでもなれば嬉しく思います。

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