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MECEの落とし穴に注意!?MECEを意識し過ぎて資料が伝わりずらくなる理由と対策

はじめに

「MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)」という言葉をビジネスの現場で聞いたことはあるのではないでしょうか。MECEとは、「相互に排他的で、かつ、全体を網羅している」という意味で、ビジネスシーンにおいて、問題や課題を漏れなく、ダブリなく整理するために非常に有効な考え方です。元々はコンサルティングファームのマッキンゼーの社内用語として使われていたそうです。

例えば、新規事業の企画を考える際、MECE思考を用いることで、市場を細分化し、ターゲット顧客を明確化したり、競合分析を漏れなく行ったりすることができます。また、問題解決の際に、原因をMECEに分解することで、本質的な問題点に焦点を当てることができ、より効果的な対策を立てることができるでしょう。

私も何かを考えるときには、これはMECEになっているかな?すべてのパターンを考慮しているかなと考えますし、非常に大事です。ただし、どうもこれを資料にそのまま落とすと、伝わらない、MECE を意識し過ぎている人の資料や説明がどうも頭に入りづらい…というのが今回の記事を書こうと思ったきっかけです。

MECE思考と資料作成の関係性

そもそもMECEとは何でしょうか。メリットとデメリットで考えてみます。(ここも地味にMECEかな?笑)

MECE思考とは何か?そのメリットとデメリット

  • 論理的な思考を促進する:物事を整理し、論理的に考えることを助けます。

  • 漏れやダブリをなくす:全体を網羅的に捉え、抜け漏れを防ぎます。

  • 思考の効率化:複雑な問題を分解し、シンプルに捉えることで、解決策を見つけやすくなります。

  • コミュニケーションの円滑化:論理的な思考に基づいた情報伝達により、誤解や行き違いを防ぎます。

一方で、MECE思考にはデメリットも存在します。

  • 思考の硬直化:MECEにこだわりすぎて、柔軟な発想やアイデアが生まれにくくなる可能性があります。

  • 時間と労力の増加:過度に分解してしまうと、情報整理や資料作成に時間がかかってしまう場合があります。

  • 複雑化による理解阻害:細分化しすぎると、かえって情報が複雑になり、理解しづらくなってしまう可能性があります。

資料作成においては、特にこれらのデメリットに注意する必要があります。MECE思考は強力なツールですが、使い方を間違えると、かえって相手に伝わらない資料となってしまう可能性もあるのです。

資料におけるMECEの過剰化が招く弊害

MECE思考は資料作成において非常に有効なツールですが、過剰に適用してしまうと、様々な弊害が生じてしまいます。ここでは、MECE資料の過剰化がもたらす具体的な問題点を解説していきます。

MECE思考の原則である「全体を網羅する」ことに固執しすぎると、本来必要のない情報まで含めてしまうことがあります。その結果、資料全体が情報過多となり、読者は必要な情報を見つけることができなくなってしまう可能性があります。

例えば、新規事業の市場調査資料を作成する際に、すべての競合企業の情報を網羅的に記載してしまうと、資料が膨大になり、読者は重要な情報を見つけるのに苦労するでしょう。重要なのは、市場全体の動向や主要な競合企業の分析に焦点を当て、必要な情報に絞り込むことです。

情報過多になると、読者は何が重要なのか分からなくなり、集中力が途切れてしまう可能性も高くなります。資料は、読者が理解しやすいように、必要な情報に絞り込み、整理することが重要です。

資料が複雑化し、理解しづらくなる

MECE思考は、複雑な問題を分解し、シンプルに捉えることを目的としています。しかし、過剰に分解しすぎると、資料全体の構造が複雑になり、読者が理解しづらくなってしまいます。

例えば、新規事業の企画書を作成する際に、事業のフェーズを細かく分割し、それぞれのフェーズにおける詳細なタスクまで記載してしまうと、全体像が見えにくくなり、読者は何が重要なのか分からなくなってしまいます。重要なのは、全体像を分かりやすく示し、必要な部分だけを詳細に説明することです。

MECEに固執し、本質を見失うリスク

MECE思考に固執しすぎると、本来の目的を見失ってしまう可能性があります。MECEはあくまで手段であり、目的ではありません。資料作成の目的は、相手に情報を伝えることです。

例えば、プレゼン資料を作成する際に、MECEにこだわりすぎて、スライドのデザインや構成にばかり気を取られてしまい、伝えたいメッセージがぼやけてしまうことがあります。重要なのは、相手に何を伝えたいのかを明確にし、そのメッセージが伝わるように資料を作成することです。

MECE思考は、情報を整理し、論理的に伝えるためのツールに過ぎません。本来の目的を見失わず、適切な情報設計を行うことが重要です。

聴衆の集中力が途切れてしまう

MECE資料が過剰になると、情報量が多すぎて、聴衆の集中力が途切れてしまう可能性があります。聴衆は、限られた時間の中で、多くの情報にさらされることになります。そのため、重要な情報を効果的に伝えなければ、聴衆は飽きてしまい、メッセージが伝わらない可能性があります。

例えば、プレゼン資料に多くの情報を詰め込みすぎると、聴衆は情報を処理しきれなくなり、集中力が途切れてしまいます。重要なのは、聴衆の集中力を維持し、最後までメッセージを伝えきることです。そのためには、情報を整理し、簡潔に伝えることが重要です。

資料におけるMECEの活用法

では、MECE思考のメリットを最大限に活かしつつ、資料過多による弊害を避けるためには、どのように資料を作成すれば良いのでしょうか?ここでは、幾つか例に挙げてみます。

聴き手は誰か考える

資料を作成する前に、まず、資料の目的と対象者を明確にする必要があります。目的や対象者を意識することで、必要な情報と不要な情報を峻別し、情報過多にならないようにすることができます。

例えば、新規事業の提案資料を作成する場合、経営層へのプレゼン資料と、営業チーム向けの資料では、必要な情報が異なります。経営層は、事業の全体像や収益性、リスクなどを把握したいと考えている一方、営業チームは、顧客ターゲットや販売戦略、競合状況などの情報に関心を持つでしょう。

このように、資料の目的と対象者を意識することで、MECE思考を用いて情報を整理し、より効果的に情報を伝えることができます。

情報の重要度に傾斜を付ける

MECE思考は、全体を網羅的に捉え、漏れやダブリを防ぐための考え方ですが、すべての情報を網羅する必要はありません。重要なのは、目的を達成するために必要な情報だけを厳選することです。あえて削る勇気も必要です。

例えば、新規事業の市場調査資料を作成する際に、すべての競合企業の情報を網羅的に記載してしまうと、資料が膨大になり、読者は重要な情報を見つけるのに苦労するでしょう。重要なのは、市場全体の動向や主要な競合企業の分析に焦点を当て、必要な情報に絞り込むことです。

シンプルな文書構造にする

MECE思考を用いて情報を整理する際、過度に複雑な構造にしてしまうと、読者が理解しづらくなってしまいます。シンプルな構造で情報を整理することで、読者は情報をスムーズに理解することができます。

例えば、プレゼン資料を作成する際に、多くの情報を詰め込みすぎると、聴衆は情報を処理しきれなくなり、集中力が途切れてしまいます。重要なのは、聴衆の集中力を維持し、最後までメッセージを伝えきることです。そのためには、情報を整理し、簡潔に伝えることが重要です。

これは私の感覚もありますが、逆説をさらに逆説するような表現や構成があると途端に冗長になり、聴いている人がついてこられなくなるので

図表を活用する

テキストだけで情報を伝えると、読者は理解しづらくなってしまう可能性があります。図表を活用することで、視覚的に情報を伝えることができ、読者は情報をより理解しやすくなります。テキストでざっと書いてみて、これを絵で説明する方法は無いかは私も常に考えております。

例えば、市場規模の推移や売上予測などをグラフで表示することで、読者は情報をより直感的に理解することができます。また、複雑なプロセスをフローチャートで示したり、関係性を図解で示したりすることで、読者は情報をより理解しやすくなります。

要約を徹底し、簡潔に伝える

MECE思考を用いて情報を整理したとしても、多くの情報を詰め込みすぎると、読者は理解しづらくなってしまいます。要約を徹底し、簡潔に伝えることで、読者は情報をスムーズに理解することができます。

例えば、プレゼン資料を作成する際に、各スライドの冒頭に、そのスライドで伝えたいメッセージを簡潔にまとめた「ポイント」を記載すると、聴衆はスライドの内容を理解しやすくなります。また、資料全体をまとめた「結論」を記載することで、読者は資料全体の内容を理解しやすくなります。

まとめ

冒頭にも書きましたが、MECE思考は、非常に大事です。資料作成において非常に有効な考え方であることは間違いないことは念押しします。

資料作りやその先の説明は、ナラティブ(物語性)にするということが大事なのかと思います。ものごとの順序と傾斜を付けて説明するということですね。MECE資料が「辞書型資料」だとしたら、こちらは説明することを目的にした「教科書型資料」ともいえるかもですね。かく言う私もまだまだなので精進します。


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