何者? 演出家・藤波瞬平
【はじめに…】
先日、演出作品
ユトサトリ。
『〆!』(男子部員ver.)
が閉幕致しました。
どういった経緯で演出することになったかは以下URLをご参照ください。https://twitter.com/yutosatori/status/1555867234618134528?t=10avfThFe5_QGk9CbUcOKw&s=19
劇場入りまで残り僅かの稽古、脚本脱稿後に1回の本読み…という過酷な状況ではありましたが、俳優たちの凄まじい集中力と吸収力のおかげで、ご好評のうちに幕を降ろすことが出来ました。
俳優たち、スタッフの皆様、そしてご来場くださった皆様にこの場をお借りして、今一度深く感謝申し上げます。
バラシの後、某スタッフさんから「藤波さんは劇団に所属されている演出家さんなんですか?」と聞かれ、そういえば私個人の情報は「演出の藤波です」しかお伝えしていなかったことに気付きお話しをさせていただいたのですか、その際、どこかに「私が何者でどういう演出家なのか」を書いておこうと思ったので、この記事を書いてみることにしました。
【私のこと】
まず、私は特定の劇団、団体、事務所等には所属せず、フリーで活動している演出家です。
特定の演出家を有しない団体や、劇団とのコラボ企画、俳優のみの企画などで、
「形だけのお芝居にしたくない」
「俳優が独り善がりな自己表現に走らず、“他者ありき”で愛のあるお芝居をつくりたい」
「人間の関係性の変化をうまく見せるお芝居にしたい」
「俳優が身体的な嘘を吐かなくていいお芝居をつくりたい」
「俳優が最も美しく見えるお芝居にしたい」
といった場合に演出のご依頼をいただくことが殆どです。
【演出スタイル】
演出する際は、どんなジャンルのお芝居であっても、“他者ありき”という演技の原点を徹底的に追求し、すべての予定調和を廃し、その場、その瞬間に俳優たちの間で生まれた嘘の無いリアルな関係性の変化を緻密に紡いでゆくという演出に定評があります。
また、他者ありきのお芝居づくりでは、“他者の情報を捉えるためのリラックスした身体“が必須なので、必要に応じて身体トレーニングを行うこともあります。
【ミザンスについて】
役の目的を果たそうとする俳優たちが稽古で見せてくれた数々の行動を元に稽古の最終段階にミザンスを組むようにしています。裏を返すと、俳優が「演出家先生教えてください」という“受け身の姿勢”で稽古場に来ていると、ただの操り人形になってしまうということです。
「何となく俳優たちの顔が見やすいように」や「絵が固定されることを恐れて俳優を動かす」などという安易なミザンスは組みません。
観客の想像力を掻き立て、どこで誰に視線を集中させるかを考え、関係性の変化を然り気無く見せ、シーン毎にそれぞれの俳優が最も魅力的に見えるように数センチ単位で位置を決め、かつ美しい絵になるように…などに拘ってミザンスを組んでいます。
【俳優へのチェックに関して】
私自身が俳優であり、演技講師でもあるので、多くの演出家が口にしがちな抽象的で分かりにくい言葉は極力廃し、俳優一人一人と共通言語を模索しながら、論理立てて分かりやすくお伝えできるよう心掛けています。
一方的な強制や否定、精神的な追い込みは俳優を萎縮させるだけで、例えそれにより「良い演技(その演出家にとっての)」が出来たとしても、そういうのは大抵まぐれで再現性の低いものだと私は考えていますので、私の場合は、様々な角度から俳優に「問い掛け」や「リクエスト」を出してゆき、俳優自身の“気付き”を促してゆくことを重視しています。
【稽古の特徴】
かなり特徴的なやり方で、
①テーブル稽古
②椅子稽古
③立ち稽古
➃ミザンス
という4つのステップに分けて行っています。
これは、俳優として長く作品づくりを共にしている演劇集団 砂地の演出家・船岩祐太氏の稽古スタイルを参考にしており、”俳優が身体的な嘘をつかず、目の前の他者を実際に動かしてゆくリアリズム演劇”をつくる上で、最も理に叶っていると考え、私も採用しています。船岩氏は、師である演劇企画集団THEガジラの鐘下辰男氏からこの稽古スタイルを学び改良したため、系譜を辿ると私も「鐘下門派」ということになるのでしょうか。同様の稽古スタイルを採用しているのは、私が俳優としてお世話になっている演劇集団Jr.5の小野健太郎氏や、ハツビロコウの松本光生氏などの演出家がいます。つくる作品のテイストはそれぞれ異なりますが、共通して“他者ありき”でお芝居をつくる方々なので、ぜひチェックしてみてください。
4つの稽古ステップに関して、詳細は次回書こうと思います。
では、また…
※演出のオファーは随時受け付けております。まずはお気軽にご相談ください!!
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