17年越しのELLEGARDEN
「ずっとライブは続けるから」と言ったのにその2年後、ELLEGARDENは活動を休止した。
高校2年生の頃、突然この世の中で自分が生きている意味が分からなくなった時期があった。
突然というより、じわじわ感じていたことが爆発した、というのが正解のような気がする。
友達もいたし彼氏もいたし、それなりに充実した毎日を送っていたけれど、とにかく大人が信じられなかった。
私はいつも、静かに彼らを見ていた。
自分達の都合の良いように私たちを動かしたくて指示をしてくる。私のことを分かっている、理解しているつもりで一方的に放たれる言葉。重さも信頼ももたない言葉。
電車から降りて家に帰ろうとしているだけで突然男に手を引っ張られ、どこかに連れていかれそうになる。私の部活の先輩の親は自分達の都合で離婚し、母親は再婚。その相手は家族に暴力を振るい、そしてその子供は学校で同じことを後輩にしていた。
とにかく全てにうんざりしていた。
そして私は突然学校に行けなくなった。心がとても不安定になっていた。人が密集しているところには行けなくなったし、電車も乗れなくなった。
もう同級生と同じ歩幅では歩いていけないと感じたし、生きるのを一旦やめたくなった。
そんな時、ラジオでELLEGARDENの音楽が流れてきた。ジターバグ。
私はこの曲を聴いて、人生を遠回りすることに決めた。
早速、母親にお願いをしてCDを買ってきてもらい、毎日繰り返し聴いて泣いて、生きる力をもらっていた。
細美さんのインタビュー記事もたくさん読んだ。細美さん自身もたくさん悩んで苦しんできて、今こうして歌をうたっていることを知ってさらに好きになった。
ある日、私は感謝の気持ちを伝えたいと思い細美さんへメールを送ることにした。ベッドに入ってから携帯でELLEGARDENのHPを開いた。
「今は病気で人混みへ行くことができないのでライブには行けないけれど、いつかELLEGARDENのライブに行きたいです、絶対に行きます。」といった内容を最後に書いた。
返信なんか期待していなくて、とにかく自分の気持ちを伝えたかっただけだった。
メールを送信してから3日後、細美さんから返信があった。絶対にこの病気が治ったらELLEGARDENのライブに行こうと心に誓った。
ちなみに宮古島で開催されたフェスに出演が決まっていたのを知った時、宮古島を大阪の都島だと勘違いしていた私。母親に「人がいない離れたところから見るから連れて行って」と言ったら「私ちゃん、これ沖縄やで。」と言われて断念したことがある。(笑)
※私は大阪住み
私の病が治って人混みに行けるようになったのは、ELLEGARDENの活動休止が発表された2年後だった。
細美さんは「ずっとライブは続けるから」と言っていた。確かにその時もライブは続けていたけれど、ELLEGARDENとは別のグループで、だった。
細美さんの歌っている姿が見たくてライブに行った。フェスでも観た。
でも私の夢はELLEGARDENのライブに行くことだった。
それから私も歳を重ねて好きな洋服や音楽の趣味も変わった。
ELLEGARDENのライブ行く、という夢をもう忘れてしまいそうだった頃に、活動再開のニュースをネットで見かけた。
私は、ハッキリと自分の夢を思い出した。絶対にライブに行かなきゃ、とそう思いファンクラブにも入会。でも、チケットが当たることは一度もなかった。
フェスじゃなくてワンマンで観たい!と思っていたので、何度も挑戦。でも見事に惨敗。
このままワンマン縛りを続けていると一生観れないのでは?と思いはじめたのはやっと今年(2023年)に入ってから。
そして今回『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY』でELLEGARDENを17年越しに観ることができた。
心が震えて涙が止まらなかった。
17年前。一生続きそうな薄暗いトンネルの中で、私に手を差し伸べてくれたELLEGARDENのライブに来ている、それを観ている。
そして、あの頃と変わらない歌をうたう細美武士がそこにいる。
本当に涙が止まらなかった。
17年経っても変わらないものがそこにあって、それは確かなもの。私が一番聴きたかった、観たかったものだった。
でも、細美さんはあの頃とは少し変わって見える部分もあった。
自分より守りたい何かを見つけ、それをよく知っている顔に見えた。とても幸せそうですごくうれしかった。愛に包まれている細美さんは無敵だ。
17年もの間、細美さんの返信メールを御守りのように保存してきた私。携帯やスマホを変える度に、専用のフォルダを作って保存してきた。
次スマホを変えるときはそのフォルダを作ることはないだろう、と思う。
細美さん、ずーっとライブを続けてくれてありがとう。
歌い続けてくれてありがとう。
そしていつかまたライブで会いましょう:-)
チケットが当たったらね。
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