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#213 車両(佐々木蓮/4年)


日頃より筑波大学蹴球部を応援していただきありがとうございます。。
筑波大学蹴球部の佐々木蓮と申します。
偉大な先輩方や同期のブログから感じることのできるような強い思いと同等なものを自分が持ち合わせているか分かりませんが、自分が感じたことを綴らせていただきます。長い文章ではありますが、お読みしていただけると幸いです。



「サッカーがしたい」という理由で入部した筑波大学蹴球部

フレッシュマン期間中に、多くの人が述べていた「蹴球部に入部した理由」と比較すると、とても稚拙な理由であった


1年目
5軍に配属されたことに対する悔しい気持ちを糧に、可能な限りの努力をした結果、試合に少しずつ出場することができた
しかし、年末に怪我をしてしまった


2年目
怪我をしている状態であったが一つカテゴリーが上がった
どうせすぐサッカーができると思っていた

しかし、こんなに苦しいシーズンになると思っていなかった

グロインペインが治ったら捻挫、捻挫が治ったらグロインペインというサイクルを繰り返し、ほとんどサッカーをすることができず、万全な状態でサッカーをすることができたのは12月のみ

「サッカーをする理由」を見失いつつあった


3年目
12月のプレーが評価され、また一つカテゴリーをあげることができた
決して、怪我をしなかったわけではないが、それでもコンスタントに試合に出場することができ、おそらく最もうまくいったシーズンであったと思う


4年目
また一つカテゴリーをあげることができた
しかし、2年目とは異なる意味で苦しいシーズンだった

「周りのレベルが高すぎる」

真っ先にその考えが頭を巡った

「周りのレベルに追い付こう」

弱気になっている自分を悟られないようにした

数カ月たったころには、少し慣れた
慣れたと思った矢先、怪我などの理由で再度、数カ月離脱してしまった。


本当に苦しかったのはここからだった


復帰後、途中出場した試合の終盤、自分のところを起点に失点
勝ち点3を掴み切ることができなかった
優勝を目指している自分たちには勝ち切らなくてはいけない試合だった
間違いなく言えることは、自分が出場していなかったら、ありえなかった失点だった


「サッカーをする理由」を見失った


そこからは、全てのプレーに自信がなくなった


それでも、同期と一緒にするサッカーが楽しかった

そうした日々を過ごしているうちに迎えた引退試合
多くの人々が見に来ていただいた試合で勝利することができたことは純粋にうれしかった



入部当初には想像もできなかったような蹴球部生活
そんな蹴球部の生活を何か一言で表すことができないかと思っていた
その時、高校時代に同部屋の友達から借りたとあるサッカー漫画の言葉を思い出し、それが蹴球部の生活を表すのにふさわしいと思った



「車両」



「サッカーがしたい」という稚拙な理由で蹴球部に入部した自分
「プロになりたい」という理由で蹴球部に入部した人
異なる背景で入部を決意した人が偶然「筑波大学蹴球部」というひとつの車両に乗車した


そして、「大学サッカーを牽引する/牽引し続ける」という目的地を目指すとともに、それぞれが入部前とは異なる何者かになった


しかし、4年間を終えると
プロサッカー選手や一般企業、学生などと
それぞれが新たな目的・目標のために、「筑波大学蹴球部」という車両を降り、また異なる車両にのる


今までも、これからもこのように偶然出会った人と同じ車両にのり、目的・目標を達成するために頑張るのだろう



しかし、たった4年間かもしれない「筑波大学蹴球部」という車両はあまりにも充実していた

怪我をして十分にサッカーができなかったり、サッカーができたとしても試合に出場できなかったりと苦しいことが多かった

それでも、サッカーをすること以外に多くのことにも挑戦することができる環境があり、選手という幅を超えて成長できた

頼りになる先輩・後輩
あるべき方向に導いてくれるコーチ陣
そして、4年間をともに過ごした同期。
多くの人に恵まれた

「苦しい」期間であっても、グランドに足を運びたい、一緒に頑張りたいと思うことができた

なにより、その人たちにおかげで「サッカーをする理由」を見失っていた自分は


「サッカーをすること、同期と一緒にサッカーをすることが楽しい」


というサッカーを始めた理由・一番大切なことに改めて気づくことができた


自分には多すぎるほどのものを与えてもらった
そして、ここで得たものはこれから先、自分の力となってくれると思う



仮に、サッカーをしている少年がこの文章を読んでいるのであれば、筑波大学蹴球部という車両にのってほしい


本気でサッカーをしたいと思うほど障壁となるであろう入部制限
しかし、「来るものを拒まず」のこの組織には入部制限という入場料が存在しない

それにもかかわらず

仲間と本気でサッカーができる

他の組織と異なり、サッカーをするだけでなく、アナリストやホームゲームの企画・運営など多くのことに挑戦することができる

そして、多くの仲間・人々と作り上げた空間で喜びをともに味わうことができる


多くの人にとって、この車両に乗車することは、最高の選択肢といえるはずだ




最後にはなりますが、十数年間のサッカー生活でお世話になった方々に感謝を申し上げます。
ありがとうございました。

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