Vol.5 絵本さんぽ「杜のまちや」
はじめに
こんにちは。
淑徳大学 杉原ゼミの町田です!
今回は、「ボローニャ絵本さんぽ2022」に参加されている
「杜のまちや」さんを取材しました。
「杜のまちや」では、
7月30日(土)~8日7日(日)の期間中
「杜の絵本party」展が開催されていました。
今回は、この原画展に参加されている
わたなべさとこさんと渡辺美智雄さんのお2人にお話を伺いました。
イタリア・ボローニャ国際絵本原画展とボローニャ絵本さんぽ2022
についての詳しい情報はこちらの記事をご覧ください。
「杜のまちや」とは
「杜のまちや」は、東武東上線ときわ台駅南口から歩いてすぐのところにある
ときわ台天祖神社が運営しているコミュニティスペースです。
ときわ台天祖神社は、旧上板橋村の産土神として古くからおまつりされている神社です。
一歩入ると、板橋区にいることを忘れてしまうほど、自然豊かで癒される空間となっています。
ときわ台天祖神社の隣にある「杜のまちや」は、
地下1階、地上3階となっています。
1階にはキッチンスペースがあり、2階に多目的スペースがあります。
ワークショップ・展示・講演会として使われるだけでなく、
会議や楽器演奏などの様々なイベントでも利用されています。
また、地域の防犯防災活動の拠点という役目も担っているため、
災害時の帰宅困難者の一時滞在施設として提供されています。
「杜の絵本party」展
「杜の絵本party」展について
「杜の絵本party」展は、
絵本作家の岡田千晶さん、かまたみつよさん、豊福まきこさん、はらだよしこさん、藤本将さん、わたなべさとこさん、渡辺美智雄さん、の7名による原画展です。
この原画展は、板橋区立美術館の松岡館長から岡田千晶さんに声がかかったのがはじまりです。
そこから、岡田さんがみんなに声をかけて集まった7人だそうです。
絵本作家の皆さんは、10年以上の仲なんだとか。
展示室では、7人それぞれの原画や絵本を買うことができ、
ポストカードやマグカップなどのグッズも販売されていました。
わたなべさとこさんの作品とインタビュー
絵本では、「なで なで なーで」や「こーちょこちょ」のイラストを担当されています。
可愛い動物と優しい色合いに癒されるイラストが特徴の作家さんです。
2015年にはボローニャ国際絵本原画展に入選されています。
昨年の「ボローニャ絵本さんぽ2021」では、
本屋イトマイさんにて、わたなべさとこ展「えほんの絵」が開催されていました。
当日、在廊されていたわたなべさとこさんにお話を伺いました。
ー「杜の絵本party」展は、なぜ7人での展示なのでしょうか?
わたなべさん:「仲間たちとは、ボローニャ国際絵本原画展に入選したことで知り合いました。
板橋区立美術館で開催されていた『夏のアトリエ』というワークショップで出会ったのがきっかけです。」
このワークショップでは、外国のイラストレーターさんを講師に招き、絵本制作に関して総合的・専門的な指導がされたそうです。
ーイラストレーターの仕事をしている中で、今でも印象に残っている出来事は何ですか?
わたなべさん:「絵本作家になる前は油絵を描いていたのですが、絵が描けない時期が2年ありました。
その時、ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアが開催されているイタリアに行ったのが、人生のターニングポイントです。
イタリアで、日本と世界の絵本のイメージが全然違うことを知りました。
もっと自由でいいんだと気が付き、
そこから、絵本を描いてみたいと思うようになりました。
例えば、日本の絵本は子ども受けを狙いますが、フランスの絵本は良いものを子どもたちに触れさせることを重視しています。イタリアに行く度、刺激を受けて帰ってきます。」
ー絵本のイラストを描く上で大切にしていることは何ですか?
わたなべさん:「絵本のイラストを描くとき、一つ一つの登場人物に感情移入をするようになりました。動物目線になったり『かわいい』って独り言をいったりしています。
子どもたちはどう感じてくれるのかも考え、目線を意識して描いています」
ーわたなべさんが思う絵本の魅力とは何でしょうか?
わたなべさん:「絵本は直接届けられるのが魅力だと思います。気に入った絵本は取っておくことができたり、小さいころに読んでいた絵本を大人になってから読み返すことができたりするのが良いと思っています。
子どものときに読んだ感想と大人になって読んだときの感想が違ってくることがあります。絵本自体は変わらないので、自分が変わっているということを感じられるのが絵本の良さだと思います。
絵本は、老人施設でも読まれます。意外とみんな喜んでくれます。赤ちゃん絵本というくくりにしないで、小学生や大人もみんなで楽しめるのが面白いと思っています。」
わたなべさとこさんがイラストを担当している「にっこり に~」は、
8月4日に発売されます。
なんと、原画展では一足先に先行販売されていました。
100人の保育士さんが推薦するほど人気があり
子どもだけでなく、大人も「笑顔になる絵本」です!
渡辺美智雄さんの作品とインタビュー
1989年から雑誌や広告のフリーランスイラストレーターとして活躍されています。
2009年・2011年・2014年にボローニャ国際絵本原画展に入選され、
2013年には、「二ひきのかえる」が新美南吉絵本大賞展で大賞を受賞されています。
シンプルな色合いのイラストが特徴な作家さんです。
フランスやイタリアなど海外で絵本の出版もされています。
渡辺美智雄さんは、昨年の「ボローニャ絵本さんぽ2021」で
cafe aricaさんにて、渡辺美智雄展「ボローニャに会いに」が開催されていました。
当日、在廊されていた渡辺美智雄さんにもお話を伺うことができました。
ー渡辺さんが思う絵本の魅力は何でしょうか?
渡辺さん:「絵本という意識はしていなかったです。
気がついたら本棚が絵本でいっぱいになっていて、
教科書みたいな感じで、行き詰まったときに絵本からヒントをもらっていました。作家さんのフィルターを通して資料として見ていました。」
ー日本の絵本と世界の絵本の違いはどんなところですか?
渡辺さん:「イタリアに行って驚いたことは、日本よりももっと自由だったことです。世界中の絵本が並んでいて何時間でもいられるので、
目がカメラになるくらい夢中になっていました。
ボローニャではイタリアやイギリスなど、それぞれブースに分かれているのですが、国によってカラーが違うのが面白いと思いました。
日本の絵本とは全く違うので刺激を受けて帰ってきました。
世界の絵本では、やりたいことを全部やっているんです。
日本では、『もっとこうした方がいいんじゃない』という編集者の意見に負けてしまうことが多いですが、フランスでは作家のやりたいことをリスペクトしてくれます。
日本と世界とでは、絵の扱い方が違うんです。
海外のエージェントを通じて、自分の作品の海外出版が実現できて嬉しかったです。
また、海外でも出したいと思っています。
もちろん日本でも出したいです。笑」
渡辺さんは、色数をあまり使わずに絵を描くことを大切にしているそうです。絵は自分の好きなように描いていることを教えてくれました。
おわりに
今回は、「杜の絵本party」展に参加されている絵本作家の
わたなべさとこさんと渡辺美智雄さんを取材しました。
そして、お2人と一緒に写真を撮っていただきました!
撮影の時だけマスクを外しています。
お2人ともイタリアに行き、世界の絵本に触れたことで「もっと自由でいい」「世界の絵本から刺激を受けた」とおっしゃていました。
もっと作家の「個性」が活かせる作品を作る環境が大事だと学びました。
なお、今回お話を伺った
わたなべさとこさん、渡辺美智雄さんご夫婦は、
2015年に板橋区立美術館の講演会でお話しをされています。
これからももっと絵本の魅力を伝えていこうと思います。
わたなべさとこさん、渡辺美智雄さん貴重なお話をありがとうございました!
以上
淑徳大学 杉原ゼミの町田が担当しました!