雑なうろ覚えによる個人的な考察メモ◆BL漫画に繋がる系譜
雑なうろ覚えによる個人的な考察メモ
日本のBL漫画に繋がる系譜 Ver.1
夙谷稀
◆大手メディア内のゲイ的存在◆
【江戸川乱歩作品】
明智小五郎と小林少年
小説初版1940〜1960年代頃か?
1960年代少年探偵団シリーズ映画化
1970年代少年探偵団シリーズTVドラマ化(BD7)
1970〜1980年代江戸川乱歩短編TVドラマ化(美女シリーズ)
江戸川乱歩が明智小五郎に小林少年を伴わせたのは、稲垣足穂「少年愛の美学」による影響。
【バットマン】
バットマンとロビン
1930年代コミック初版
1950年代映画化
1960年代TVドラマ化
1990年代〜現在 映画化継続
【グリーン・ホーネット】
ホーネットとKATO
1960年代TVドラマ放映
ブルース・リーが演じたKATOは「ピンクパンサー」シリーズにパロディギャグキャラクター・ケイトーとして採り入れられ、更に日本ではドリフターズすわしんじの一発ギャグへと発展、のちに江頭2:50の基本スタイルとして定着。
パロディが脱線を重ねる内に、エガちゃんというゲイ要素のある人物へと至るのも、また面白い。
【ファントマ電光石火】
1971年頃、ジャンマレー主演映画「ファントマ」シリーズ三部作、日本でもテレビ放映。
ジャンマレーは詩人ジャン・コクトー公認の愛人として有名。
【空飛ぶモンティ・パイソン】
1970年代(?)BBC放送による不謹慎ギャグのコント番組モンティ・パイソンが日本でもテレビ放映される。
ブラックでベタなオカマコントが当然含まれていた。
【薔薇族】
1971年日本初のゲイ雑誌「薔薇族」創刊
【伝説のオカマ東郷健】
ようつべに政見放送が転がっているため、それらについては説明を省く。
ゲイ雑誌創刊ブームの最中、ゲイ雑誌「ザ・ゲイ」を創刊。
同時に二丁目でゲイバーを経営。
執筆出版演劇などの表現活動とゲイバー経営の両輪形式は、後続の主立ったゲイリブ運動家にも受け継がれて行く。
【水戸黄門】
東野英治郎主演の水戸黄門TVシリーズでは、ファーストシーズンの初回、助さん格さん間にホモ的な心の交流がある事が、セリフで示唆されている。
女中「格之進さまが婚約なされたから、助三郎さまヤキモチ妬いてるだ!」
助三郎 「(ハッとして頬を赤らめる) ばっ、バカな事を!」
(このセリフはうろ覚えですゴメンなさい)
【スネークマンショー】
ラジオ番組「スネークマンショー」に於いて、初期ゲイリブ運動家の代表格・大塚タック氏がMCをつとめるゲイ啓蒙コーナー開始。
アメリカを理想の手本として、同性愛表現の選択肢を減らす方向が勝手に定まってしまう。
21世紀日本国内のLGBT界隈がギスギスしている状態は、ここが起点になったと言っても過言ではない。
タック氏当人により、当該番組は全回数分ようつべにアップロードされている。
◆山上たつひこ漫画のスタイル◆
1972年社会派からギャグ漫画に転向した「喜劇新思想体系」より、主人公(逆向春助)にホモっぽい相手役キャラクター(近松亀丸)が配役され、それが山上たつひこ漫画のスタイルとして定着する。
折しも前年1971年に薔薇族が創刊され、日本初のゲイブームに乗った形となる(…かな?)。
このスタイル、「中春こまわり君」以降は鳴りを潜めてしまった模様。
◆日本のメディアはオカマに寛容◆
芸能界に新たな美少年や美しいオカマが参入すると、日本の大手メディアは毎度大歓迎している。
山上たつひこ漫画と同時代であれば、シスターボーイと呼ばれたピーター(池畑慎之介)やシャンソン歌手美輪明宏などが代表格で、性転換手術を受けたカルーセル麻紀も同一視されていた感があった。
また、原田芳雄の初主演TVドラマ「五番目の刑事」には、情報屋の和服女装オカマが時折登場しており、同番組には「黒蜥蜴」よろしく、美輪明宏が女盗賊としてゲスト出演した回も存在する。
ピーター主演ATG映画「薔薇の葬列」や美輪明宏主演「黒蜥蜴」などのホモ映画もあったが、それらは女装と男色が混在しており、ここは山上たつひこ漫画に於けるホモキャラや美少年キャラとは路線が大きく異なる。
山上たつひこ漫画に於けるホモキャラや美少年キャラは、恐らく舞台回しのピエロ役、またはどつき漫才の相方役と解釈出来よう。
生活圏内に普通に暮らす同胞的な有り様であり、彼らの恋愛模様を強迫的にクローズアップして描く必然性は無かった。
◆BL勃興の兆し◆
日本の漫画作品の中で女装やホモが恋愛対象として強迫的に求められる存在になるのは、恐らく1980年代「風と木の詩」「ストップ!ひばりくん」「ラシャーヌ!」「パタリロ!」以降であろう。
特に「風と木の詩」に関しては、何人たりともこれを笑ってはならないという同調圧力がとても強かった。
美少女コミックブームとほぼ同時期に、女の人向けの男子同性愛雑誌「JUNE」「アラン」が創刊された。
1980年代初頭は、漫画という分野で、読者の好みに応じた細分化が開始したターニングポイントと見てもいいのではなかろうか。
◆やおいブーム◆
1980年代後半、アニメパロディのやおい漫画を描く女の人が増え、後のBL商業誌に繋がる拡がりとなる。
やおいという呼び名の自虐感や、やおい漫画作品と実際のゲイの有り様との乖離などが原因と思われるが、やおい作家に対するミソジニー的な憎悪も同時に増加する。
山岸凉子「日出処の天子」が人気を博すが、実は主人公厩戸皇子の持つミソジニー感覚が裏テーマである様に読み取れる(山岸凉子先生恐るべし!)。
◆おこげブーム◆
現実に暮らすゲイを追い回す女の人たちによるおこげブームが、民間人のゲイからまでミソジニー的憎悪を増加させてしまう。
ゲイの世界では元々男尊女卑の価値観が根強い。
それは性的なプレイ内容に関係が深く、ゲイというものが性の有り様であるため、避けて通る事は出来ないし、変えようもないのだ。
こういった経過を辿り、ネットが普及するやいなや、2ちゃんの同性愛板は女という種全体に対する悪罵の書き込みで埋め尽くされる事態となる。
◆BLとLGBTとネット◆
2000年代初頭、ゲイパレード開始。
但し、ゲイリブ運動家同士の諍いが当初からあらわになっており、アピール活動としては最初から失速している。
2000年代中盤、LGBTという理念が輸入され、性的マイノリティ当事者間とその周辺が横の繋がりを持つ様になり、雪解けムードを迎える。
ニコニコ動画で「ガチムチパンツプロレスリング」が、2ちゃんで「ウホッいい男!」が大流行し、ゲイコンテンツを積極的に楽しむ人口が増加、ゲイ当事者に対する世間の寛容度が上がる。
BL商業誌も普及し、ゲイ雑誌の内容にもBL的な絵柄の漫画が増え、文化的には混じり合う形となる。
結果、BLを好んで読む腐男子が多く現れる。
淫夢厨人口の多さを鑑みるに、ホモコンテンツは娯楽として定着したと見受けられる。
◆青少年保護育成条例◆
少子化対策を怠ったため、国が何をどうしたいのか不明な迷走を続ける様になり、SNSの普及がその迷走に拍車をかけ、言葉での殴り合いばかりが増加して世の中はギスギスして行き、不健全図書指定を受ける出版物のほとんどがBLという現状に至る。
しかもその上、パヨク活動家たちと合流したLGBT運動家たちが言葉狩りなどを開始、昨今は出版メディアによるBL特集記事の煽り文句「禁断の」に対してケチをつけた。
彼らの主張する「ゲイ当事者に対する配慮が足りない」という理由も言い掛かりでしかなく、支離滅裂を極めている。
【根底に流れる文化的な素地】
◆日本の女の人たちがオカマを好む理由◆
歌舞伎役者(主に美しいおやま)をアイドルとして愛でる習慣が根強く長かった事も遠因となっておろう。
◆稚児文学 男色文学◆
江戸時代に多く出版されており、生活の中に普通に存在する娯楽であったと考えられる。
「東海道中膝栗毛」も、弥次郎兵衛が陰間(喜多八)に入れ上げ過ぎて、借金取りから逃れる言い訳として伊勢参りに出発している。
◆戦地に於ける究極の一択◆
戦国武将がお小姓を戦地に伴っていた件については、推測の域を出ないが、それでも簡単に説明はつく。
戦地とは死地でもある。
決死の覚悟で戦いに臨む場合、精神的な負担を和らげるためにも、人肌が欲しくなるのは有りうる事態だ。
さらに言えば、性交の最中は全くの無防備状態であり、その弱点丸出し状態を敵に狙われたら、戦う前に死んでしまう可能性もある。
油断した姿を見せてもいい相手とは安心出来る相手であり、同時に最も信頼を置く者であろう。
ウッカリ油断して共に串刺しとなって息絶えるならば、一緒に死んでも悔いが残らない相手である事も視野に入れて置こう。
死と隣り合わせの時に選ぶ相手は、共に死ぬ覚悟がある者同士なのだ。
その心の繋がりは強固極まりない事と推測される。
つまり「ベルサイユのばら」のオスカルがアンドレに対して「せめて一夜あなたの妻に!」と口説くのは、革命軍の歩兵として死ぬ覚悟を決めているという証左であり、国や文化や性別は違えど、ごく当然の流れなのである。
戦地に於ける性交も、こういった場合は単なる性欲処理とは言い難いであろう。
何だかんだ言って、今は自由と平和が担保された日常で良かったと思う、ホントにつくづくそう思う。
言葉での殴り合いに興じていられる内は、まだまだ平穏なんだわなあ〜。 (*´∀`)-3
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後から大幅に修正を加える場合、Ver.2とタイトルを改める予定です。
我がことながら要確認事項が多く、何が言いたいのか判らないほどの書きかけ感が酷いので。先に謝ります。
申し訳ありません。 <(_ _)>
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【予告】
この続編をB面として別に投稿する予定です。
書き漏らし感が多くてモヤモヤするもので。
【参考資料】
山上たつひこ「光る風」「喜劇新思想体系」「がきデカ」「半田溶助女狩り」「のざらし」「お天気くん」「金瓶梅」「JUDOしてっ!」「中春こまわり君」
江口寿史「すすめ!!パイレーツ」「ストップ!ひばりくん」「寿五郎ショウ」
魔夜峰央「パタリロ!」「ラシャーヌ!」
山岸凉子「日出処の天子」
TVドラマ「五番目の刑事」DVD BOX
【奥付】
雑なうろ覚えによる個人的な考察メモ
日本のBL漫画に繋がる系譜
2019年5月31日 初版 Ver.1 発行
筆記・描画 夙谷稀
権利者 夙谷稀
引用の要件を満たす場合に於いて、権利者の許諾は不要とする。
但し、盗用及び剽窃行為に対しては法的措置を採らせて貰う旨、ご承知置かれよ。
©️夙谷稀
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