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『Passport & Garcon』の感想

今日は『Passport & Garcon / Moment Joon』の感想について。歴史的なアルバムだと思います。2020年どころか、2020年"代"を代表する作品になるのでは。既に万能初歩さんやRAqさんが素晴らしい解説を書かれているので、自分は簡単な感想に留めます。それでも、この不定形の衝撃を文章という形に落とし込んで、ありのままの自分の感情から欠落する部分が出ることに対する恐怖を感じてしまうんですが。

先に結論から書きます。音楽で他人の行動を変えることは、あまりに難しいことだと思います。ですが、少なくとも自分は変わりました。選挙で投票する政治家の基準が、明確に変わりました。そして一人が変わったということは、きっと他の誰かにもメッセージが届いているということです。もう、それが全てなんじゃないかな、とか。


曖昧な表現で濁すのも良くないので、少し具体的な内容も書きます。アルバムの構成は、『MODERN TIMES / PUNPEE』を想起するほど素晴らしいです。全体を通した流れが濃密かつ滑らかで、まるで自叙伝の様。1曲の間にブリッジを挟んでトラックを切り替えるのは、語るべき言葉を伝えるためなんだと思います。日本語、韓国語、英語を織り交ぜながら語られるリリックの力強さは、他に並べて語られるべき作品がないほどの境地に達しています。理知的でストイックで、リアル。密度の濃さが、あらゆるアーティストの中でも群を抜いています。

全ての曲を通して聴いて、泣きそうになりました。純粋な切実さと怒りと祈り。生き様を全て晒す自傷行為の様な言葉に、心が共鳴したのだと思います。音楽に限らず、映画やドラマ、本などを含めても、これほどまでに多くの人に広まってほしいと思う作品は過去に無かったかもしれません。この文章を読んだ人は、歌詞を見ながら聴いてください。個々人で考えることは違うかもしれませんが、どこかで通じ合えることがあるはずだ、と信じています。

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