実務教育出版発行の書籍の内容が改善されていることが分かりました!
こちらの記事で報告したように、
実務教育出版発行の就活指南書籍について要望を出したところ、大変前向きなお返事を頂きました。指摘した事項について、著作者との打ち合わせの上、入稿のスケジュールとの関係で可能な限り修正を検討しますとのことでした。
そういったやり取りがあった上で、今回、同社発行の書籍「就活のやり方[いつ・何を・どう?]ぜんぶ!」新版において、内容の一部が改善されていることが分かりました。
新しくなった表記はいずれも、地毛の色が黒髪という前提、特定のジェンダーや身体的特徴の学生のみに合理的理由なく何らかのアイテムや外見を課すこと、特定の年齢や身体的特徴を劣ったものと位置づけることになりかねない表現等の指南が改善されたり緩和されたりしているように見受けられました。
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以下に、新旧比較で気づいた点の中で重要なものを記しておきます。
※旧版は2020年5月25日発行のもの、新版は2021年5月25日発行のものです。
●旧版p.120-121「内定するスーツの着こなし方(男子)」と新版p.120-121同項目の比較
旧「短髪、黒髪が好印象のポイント。ひげも剃ろう。」
新「清潔感のある髪型と身だしなみが好印象のポイント。」
旧「『自分らしさ』よりも相手の第一印象を意識しよう。」
新「『自分らしさ』を主張するより、相手の第一印象を意識しよう。」
旧「髪も短めに切り、染めている人は、黒に戻しておく。ひげも剃った方が無難。学生が考える『自分らしさ』は、企業の人事担当者に通じないと覚悟しよう。」
新「髪も短めに切り、染めている人は、地毛の色や暗めの色に戻しておく。『就活生としてふさわしい装い』は自分自身で判断して決めよう。」
旧「髪 黒髪が基本。茶髪や金髪はNG。独創的な髪型で目立つ必要はナシ!耳にかからない程度の短髪で、すっきりとした清潔感をアピールしよう。」
新「髪 地毛の色が基本。ファッション目的で染めた茶髪や金髪はNG。耳にかからない程度の短髪がおすすめだ。」
●旧版p.124-125「内定するスーツの着こなし方(女子)」と新版p.124-125同項目の比較
旧「男子と違い選択肢の多い女子」
新「選択肢の多い女子」
旧(図解の中で)「メイク・髪 清潔感、明るい印象を心掛けよう。髪が長い人は、まとめた方が無難。」
新:変更なし
旧「ストッキング 無地のノーマルカラーを選ぼう。伝線してないかを小まめにチェックし、予備を鞄に入れておこう。」
新「ストッキング 無地のノーマルカラーを気候や体調に合わせて選ぼう。伝線して慌てないよう、予備があると安心。」
旧「靴 黒のシンプルなプレーントゥのパンプスが基本。歩き疲れないように、しっかりとしたヒールの物を選ぼう。」
新「靴 黒のシンプルなプレーントゥのパンプスが基本。ビジネスシーンにふさわしいものなら、パンプス以外でもよい。」
●旧版p.126-127「内定するメイクとヘアスタイル(女子)」と新版p.126-127同項目の比較
旧「メイクの仕方でずいぶんと印象が変わる。あまり興味がないという人もいるだろうが、早めに練習しておくに越したことはない。あくまで基本はナチュラルメイクだ。」という書き出し
新 上記、旧版の書き出しがなくなり、目の下のくまや顔色の悪さについての書き出しから始まる。睡眠不足の印象や疲れた印象を相手に与えてしまうことについて、「もし不安な人は、健康的なメイク方法を身につけておくと安心だ。」との表記
旧「ノーメイクはNGだと思った方がよい。採用担当者が『この人は当社に興味がないのか』と思ってしまう。また、メイクでは睡眠不足や疲れはカバーできない。普段の健康管理があってこそメイクが映えるのだ。」
新 上記、旧版の表記は見当たらない
旧「髪の毛は黒か、せいぜい落ち着いた茶にする。」
新「髪の毛は地毛の色か暗めの色に。」
旧「傷んだ髪は、不潔な印象を持たれてしまう」「手入れの行き届いた健康的な髪を維持するように。」
新 上記、旧版の表記は見当たらない
旧(ファンデーションについて)「付けすぎは老けて見えるので」
新「付けすぎは崩れやすくなるので」
●旧版p.210と新版p.214、コートについての比較
旧 男子は黒か紺、グレーなどのダーク系、女子はダーク系に加えてベージュ系も良いとの指南
新 特にジェンダーの指定なく、黒か紺、グレーなどのダーク系、ベージュ系が良いとの指南
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面接時の座り方や書籍全体にわたる服装・マナー指南の分類については、他者が認識する二元論的なジェンダーや身体的特徴によってではなく、自身のジェンダーアイデンティティや服装に基づいた、より良い指南がなされるよう、引き続き、改善要望を表明いたします。(他社発行の書籍において、男女二元論に基づいた指南が改善されていた例が見つかったところです。)
改善に向けて尽力されている関係者の皆様に敬意を表します。
要望や署名提出に対してこのようにお返事をくださり、改善に向けて動いてくださっている事業者の方々はまだまだ少ないのが現実です。
定型文の応答しかしない、方針を示さない、改善する様子が微塵も見られない、問題があると指摘されたサイトを放置する、逃げ回る、署名受け取りを拒否する等々の対応をしている多くの事業者に対しては、そのような姿勢を含め、より一層強く改善の要望を表明いたします。
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私たちの活動の主旨についてはこちらの署名ページを、
また、署名ページに書ききれなかった詳しい説明についてはこちらの記事を、
参照してください。
さらに、私たちのこのnoteでは、当事者や元当事者の方々などから寄せられた、この問題にまつわる体験談を紹介したり、メディアに取材して頂いた記事を紹介したり、他の事業者へのアプローチの記録を掲載したり、問い合わせフォーム、体験談投稿フォームを用意したりしておりますので、是非、他の記事もご覧になって下さい。
活動の進捗は、署名ページに掲載するとともに、署名をして頂いた方でメール配信を希望する方々に同時に送信されるようになっておりますが、即時的な発信はTwitterで行っております。
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