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もっと詳しい署名文

突然ですが、お手元のパソコンやスマートフォンなどで「就活 服装」と検索してみてください。
どの検索結果を開いてみても、まったく同じような「女性編」「男性編」と書かれた指南やイラストばかりだと思いませんか?
よくよく見てみると、これらの男女別指南が髪型やスーツの着こなしだけに留まらず、鞄や靴(ヒール付きパンプスの着用など)にまで及んでいることに驚かれる方も多いと思います。
人を、女性・男性という2種類の生き物に分けて、みんな同じ髪型、服装、鞄、靴で、おじぎのやり方まで決められる。
この状況は一体なんなのでしょうか?このスタイル以外はダメということでしょうか?

「#就活セクシズム」の「セクシズム」とは、例えば「女らしく」「男らしく」「○○らしく」等と性別に基づいて固定観念を押し付けたり、性別に基づいて差別をしたりする態度のこと。

私たちは、この男女別指南の画一化・二元化が、

1.抑圧的なジェンダー規範の強化と再生産、多様性の否定に繋がっていること、
2.その中には多くの差別的な表現が含まれていること

を問題視しており、就活関連企業や教育機関に、この前時代的な指南を改めて頂きたいと考えています。


私たちの要求

1.極端に二元化した男女別スタイルやマナーの押し付けをやめて、多様性のあるスタイルを提案してください

昨今、ジェンダー・アイデンティティの概念が日本でも浸透しつつあります。また、人間のジェンダー(社会的な性)は、男女の2種類には収まらないことも段々と知られるようになってきているかと思います。
しかし現状では、就活サイトや就活指南本、スーツ販売店や教育機関が生徒向けに発行するチラシなど、ほぼすべての媒体において、まるで、この世には2種類のジェンダーしか存在してはいけないかのような論調で、服装や振る舞いに関する指南がなされています。

現行の表記方法がなぜ問題か。
それは、もともと存在していた多様性を無視し、学生を2種類のジェンダーの枠に押し込めることで、就職活動において一定数の学生は、自身の力が発揮できないどころか、自分のアイデンティティ(自分が何者であるか)を根本から破壊されてしまうことになるからです。そうなれば当然、職探しどころではなくなってしまう学生が生み出される、本来社会で活躍できるはずの才能が潰される、雇用者と被雇用者のマッチング、その後のキャリア選択が上手くいかなくなるといった状況に。実際に私たちの活動メンバーには、これが苦痛で就職活動自体を諦めた者がいます。これでは、学生にとっても、採用側にとっても良いことは一つもありません。これは、就活関連企業や教育機関にとっても喜ばしいことではないでしょう。

現行の表記方法が提示する規範によって苦しんでいる人の層の存在を、その規範がもたらす弊害を、知って下さい。

具体的には、

●現行の、女性1例、男性1例といった服装・髪型の例示をやめてください。なぜ、判で押したような例ばかりなのでしょうか。それぞれについて別の服装・髪型の例を追加したり、男女の二元論的な枠にとらわれない服装・髪型の例を追加したりするなどして、指南に幅を持たせてください。
●可能な限り、「女性」「男性」という二元的な表記方法自体をやめてください。そのような表示で人間を二種類に分類することの是非を、今一度考え直してください。多様性の尊重にもっと重点を置いてください。
●人間を二種類に分け、「男性らしい」「女性らしい」「男性らしく」「女性らしく」といった売り文句や立ち居振る舞いの指南を一律に適用するのをやめてください。他人に対し、一方的に「男性らしさ」「女性らしさ」を規定し、強要する権利は誰にもありません。
●スーツについて、男性は直線的、女性は曲線的で体のラインを強調するものしか売られていない現状があり、他に選択肢がない状況がありますが、それ以外のニーズにも目を向けてください。
●鞄や靴について、男女の括りを理由に、二元化・画一化されている現状があります。男性は手持ちまたは肩掛けの鞄に紐付き革靴、女性は肩掛けのスリムな鞄にヒール付きパンプスといった具合です。これにはなんの合理的根拠もなく、鞄や靴は個人がそれぞれのニーズに合わせて選ぶものです。指南や販売場において、選択の幅を持たせてください。
●立ち居振る舞いについて、一律に男女に分け二元化したマナーを押し付けるのではなく、指南に幅を持たせてください。例えば座り方について、男性は足を開いて座り、女性は足を閉じて座りなさいという指示は「女性・男性らしさの押し付け」にあたります。男女二元論によってではなく、着用している衣服(ズボンまたはスカート、またその形状)によって座り方のマナーを分けるのが合理的ではないでしょうか。
●現行の服装のスタイルや立ち居振る舞いの方法が自分に合っている人もいます。それらは選択肢の一つとして残してください。

2.性別のみを理由として偏った表現を記載することや、規範を「一律」に押し付けることは、差別や抑圧にあたるため、やめてください

就活関連企業や教育機関が提示する指南や宣伝文句の中には、性差別的・性別を根拠とした抑圧的なものがいまだに多く残されています。即刻改善を求めます。
合理的根拠がないのにも関わらず、性別を理由として、片方の性のみに、以下のような指南を「一律に」押し付けることは問題であり、差別にあたるものも多数あります。これらの装いを取り入れるかどうかはすべて個人の判断で決めることです。

具体的には、

<女性のみに>
ノーメイクはマナー違反であるといったような記載や化粧を前提とするような記載。なぜ女性のみ素顔が失礼なのでしょうか。これは大変な侮辱であるということを認識してください。健康的に見せるためという理由も散見されますが、女性のみに求める根拠がありません。
肌の色に合わせたストッキング以外はマナー違反であるとの記載や、ストッキング着用が前提であるかのような記載。足を綺麗に見せよという規範を女性のみに課すことは差別です。靴下やタイツ、肌の色以外の色の選択肢もあって良いはずです。黒色は喪服を想起させるという理由も散見されますが、問題なのは、喪服を想起させる黒一色のスーツを、あたかも唯一の選択肢であるかのように売り出している産業の構造なのではないでしょうか。
「女性らしさ」や「女性らしいライン」を一律に売り文句にすることや、一律に美しさ・清楚さを求めるような指南。他人に対するそのような要求はセクシュアル・ハラスメントにあたる可能性があります。女性らしさや女性らしいライン、美しさ・清楚さをアピールすることは、それが業務の一環となっている職業を除き、ビジネスの場には関係ありませんし、そのような観点をビジネスの場に持ち込むべきではありません。
ズボンよりもスカートを履くべきであるという指南。女性らしさと関連させ、面接ではスカートを履くべきであるとの指南も見られますが、「見られる性」である女性像を強化するような指南は控えてください。ズボンとスカート、どちらを身に付けるかは、どのような場合でも個人の選択であるべきです。
ヒール付きパンプスのみがマナーかつ前提であるかのような指南や、ヒール付きパンプスが唯一の選択肢であるかのような販売方法。普段からヒールを履きなれていない人は慣れろとの指南や、足元・足さばきを美しく見せるためという理由に基づく指南も見られます。なぜ足を痛めて仕事を探さなければならないのでしょうか。なぜ、美しさのための履物が女性のみに求められるのでしょうか。
左手の薬指に指輪を一律につけないように指示する表記方法。女性の結婚・出産を想起させるとの理由も見られますが、問題なのはそのようなライフイベントがリスクと捉えられかねない社会の方であり、指輪をつけることではありません。指輪を外す選択肢はあくまで個人の選択であるべきです。社会問題の温存に加担をしないでください

<男性のみに>
髪色や鞄の色、靴の色は黒とする指南。男性のみにこの指南が適用されるケースが見られますが、なぜ男性のみ、色の選択肢が制限されなければいけないのか、合理的根拠に乏しいのではないでしょうか。
短髪や髭剃りを一律に求めるような指南。これらは個人のアイデンティティの問題であり、抱えている健康上の理由も人それぞれです。
「出世」を意識したスタイルを一律に提案すること。幹部候補生として見てもらえるような雰囲気の髪型・服装・雰囲気を目指すようにとの指南も見られます。このような指南は性別を理由とした抑圧であり、どのようなキャリアプラン・ライフプランを設計するかは個人の選択であるべきです。
●総合して、「男性は強くあるべき」「出世を意識するべき」という精神に基づいた指南が節々に見られます。そのような抑圧的な指南は時代遅れであり、誰も幸せになりません。

女らしさや男らしさの押し付けを「マナー」と呼び、合理的根拠がないのにも関わらず、性役割を押し付けるのはやめてください。

提出先の方々・この署名を見てくださっている方々へのメッセージ

同じ思いを持っているすべての方々へ。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。この署名文は、先に挙げた2つの問題点に焦点を当てていますが、それだけでは説明しきれないポイントも多々あるかと思います。どうかお気軽にコメント欄で考えを共有してください。また、インターネット上や実生活での周りの方々に、1人でも2人でも良いので、この署名のことをご紹介頂き、味方を増やせたらと思います。また、以下のリンクでは、非日本語話者の方々のために英語版のページも用意しています。

就活生の皆様へ。
自分を殺して苦しみながらも社会の「規範」に合わせざるをえない方は多いと思います。アイデンティティを見失ってしまったり、出口が見えない思いをしている方も多いと思います。「おかしい」と思う気持ちを持っている方々がいたら、同じ思いを持っている者同士で連帯しませんか。#就活セクシズム のハッシュタグで投稿をしてみてください。しかし、もし、本来であれば、仕事先から選ばれるだけではなく、自分たちも就職先を選びに行くという側面もあるはずです。もちろん既存のスタイルも含めて、一人一人が、一番自分らしく、能力を発揮できるスタイルで将来を考える権利があります。

学生の採用を考えている事業者の皆様へ。
選考にやってくる候補者に対し、「リクルートスーツでなくても良い」「ヒール付きパンプスでなくても良い」といったアナウンスをしている事業者も見られますが、残念ながら、そういった事業者まだまだ少数です。また、既にアナウンスをしている事業者の皆様、そのアナウンスは本当に充分機能し、学生に届いているでしょうか。この構造において一番弱い立場に置かれている学生は、よほどの保証がない限り、簡単にはリスクを取ることはできません。今回、問題として提示した「男女二元論」「差別的・抑圧的な規範」を取っ払うだけでも、解放され、本来の能力を発揮できる学生は多いはずです。現状の抑圧的な服装・髪型に囚われない採用活動を、一大プロジェクトとして大々的に学生に発信している事業者が少しずつ出てきていますが、それらに後れを取っても良いのでしょうか。事業内容・方針にマッチした学生との出会いや、候補者の能力を最大限に引き出すためにも、是非、今まで以上に積極的なアナウンスをお願いいたします。

教育機関(付属する生協を含む)の皆様へ。
教育機関は本来、学生の多様性を尊重し、彼らを支援しなければいけないはずの場所です。人権に関しても、先端を走っていなければいけないはずの場所です。それにもかかわらず、学内売店や就職相談室、キャリアセンターなどに置かれている就活指南本やチラシ、学内セミナーなどを通して、教育機関が率先して型で抜かれたような画一的なスタイルを学生に提示している状況となっていることに危機感を覚えます。教育機関は、画一的な学生の量産工場ではないはずです。就職率・内定率を気にかけたり、学生にとって減点されないための「無難な」指南をしている機関も多いかと思われます。もちろん、そのような視点からのアドバイスは戦略の一つとしてあっても良いかと思いますが、本当の意味で学生のためを思うということはどういうことなのか、今一度考えてください。

そして最後に、就活関連企業の皆様へ。
「こうでなくてはいけない」ではなく、「あなたが一番活動しやすいようにこんなスタイルがあります」という選択肢の提案の仕方をしてください。スーツ販売店は、多くの学生を囲い込んでいるという認識がおありならば、学生が自分らしく働くための第一歩となるよう、多様なスタイルの提案を積極的に行ってください。
これまでのジェンダー規範は、「学生のためを思って」「就職活動において学生にリスクを取らせないため」に生み出されたものであることは重々承知しています。
しかし、その指南を提示する際に、「女・男」に二元化した規範のみを提示し続けることは、その規範を強化・温存・再生産することに加担し、その規範にはまれない層の学生を踏み続けていることに他なりませんし、性別を理由として、「強くあれ」「美しくあれ」などといった差別的なメッセージを発信し続けている場合が多くあることを自覚してください。誰も幸せにならないこのような構造をいつまで続けるのでしょうか。

あなたたちが本当に目指したいのは、学生とのwin-winの関係でしょうか?それとも守りたいのは、自分たちのビジネスや、教育機関別の就職率なのでしょうか?その姿勢が、問われていると思います。


この署名で提示した1、2の問題を解決することで、誰もがアイデンティティを破壊されず、不要・不当な差別や抑圧を受けずに、自分にあった働き方を見つける第一歩になると考えています。YES多様性、NO性差別。皆で連帯し、そんな社会を是非、一緒に目指しましょう。

#就活セクシズム
#ShukatsuSexism
#就活

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英語版はこちら。

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