高橋書店発行の書籍の一部が改訂されていることが分かりました
高橋書店には、既に要望書を出していました。詳しくはこちら。
そして今回、2022年1月に出版された高橋書店の書籍にて、とてもわずかながら、変化を見つけました。こちらです。
上:「内定者はこう話した!面接・自己PR・志望動機 完全版 '23」(2021)
下:「内定者はこう話した!面接・自己PR・志望動機 完全版 '24」(2022)
両方とも、p.258-259、高橋書店、坂本直文著
オレンジのマーカーの方が2021年発行、緑のマーカーの方が2022年発行の版ですが、以下の点が変更されていました!
①「男性女性という分け方だけでなく、多様な人がいますので、基本は1つではありませんが、一例として参考にして下さい。」との表記が追加
②男性編、女性編ともに、鞄の例示の図が削除
③女性編の「ブラウス」が「シャツ」に変更
①に関しては、各社へ送付している抗議文の中に「こうしなさい、ではなく、これはあくまで一例です、と付加するだけでもずっとよくなるはずです」という旨を記述しているため、取り入れられた方法かと考えます。
②に関しては、鞄までもが「男性用」「女性用」と分けられている理不尽さ、さらに、男性用は機能的な鞄、女性用は美しさを優先するような鞄というのは女性差別的であるという指摘に呼応した対処かと考えられます。
③に関しては、男性が「ワイシャツ」「シャツ」表記であるのに対し、なぜか女性は「ブラウス」という表記であることも、女性を一人前と見なしていないことの表れであるという指摘に呼応した対処と考えられます。
限られた時間の中でのできる限りの改訂という印象を受けましたが、図から分かるように、
・男女二元論の分け方
・なぜか女性のみヒール付きの靴や化粧、ストッキングが前提、かつ指輪禁止の表記
・なぜか男性のみ短髪が好ましいとの表記
など、要望の中で指摘した問題の大半は依然として残っています。
さらに、本書では、
・居酒屋のアルバイトで、客からセクシャルハラスメントを受けたが、客は居酒屋に癒しを求めて来ているので、その場の雰囲気を壊すことはせず、笑顔で切り抜け、上司に対応を任せたことを笑いながら話す就活生の受け答えが、面接再現として掲載されている(「酔っぱらったお客様が立ち上がったときにわざと倒れて抱きつかれた」p.239)
・習い事や課外活動で、体を壊すような無理な練習をさせられたり、パワーハラスメントを受けたこと、また、アルバイトにおいて無理な働かされ方をしたエピソードが自己PRの例として掲載されている(「14時間労働も余裕でできる体力」p.161、「夏は40度を超す猛暑のテニスコートの上で、本番を想定した猛特訓」p.163、「トゥーシューズはいつも血がにじんでいて、痛みに耐えて踊ることで心も体も大変強くなりました」p.177、「業務の終了間際に7000部のチラシを作れと言われた」p.188)
・圧迫面接を肯定するかのような指南がなされている(「NG→シュンとする、ムッとする、黙り込む」p.27、「大変なマイナス評価」p.51)
など、問題が山積みと考えています。
以下は、セクハラに関する内容を批判したツイート。2021年発行版の内容を引用していますが、2022年発行版もページ数、表記は同じです。
このように、問題のある表現の数々を「これはおかしいことではないんだ」「ハラスメントを受けても我慢しないといけないんだ」と受け取ってしまう就活生、ハラスメントを受けても泣き寝入りをしてしまう就活生、働き始めた後も、ハラスメントに耐えなければいけないと思いこまされる就活生が、こうしている間にも出続けるであろうことを想像すると、仮に根本的な修正が間に合わなかったとしても、このような出版物を今年も継続して発行してしまうことには疑問を抱かざるを得ません。
改善点を紹介する記事なのに、依然残る問題点の分量が多くなってしまいました。すみません。でも、改善に向けた一歩が見えたことは希望です。それは嬉しく思っています。本当です。
2023年にも発行があるとすれば、2023年の1月でしょうか。その版では、数々の問題点がより根本的に改善されることを願っています。