【追記アリ】ウェブサイト「就活SWOT」への問題提起→前向きな回答を頂きました

#就活セクシズム 署名チームでは、就活の服装やマナーを指南するウェブサイトについても積極的に改善を求めてきました。
今回、ウェブサイト「就活SWOT」にTwitter上で改善要望を投稿したところ、回答を頂きました。
この問題はTwitter上で拡散され、改善に向けて動く予定との展望を示して頂きました。
就活生が抑圧や差別を受けることなく職探しに臨む手助けとなるようなウェブサイトへの改善をよろしくお願いいたします。

以下に、経緯と私たちからの説明を記します。

1.サイトで見られた問題表記

・「もしかしたら高校時代はお化粧が校則違反で、大学になっても何となく
ノーメイクが美徳と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、就活をするなら、自分のためにメイクを覚えましょう。」

→この指南は二重規範であり、差別です。

・「ノーメイク派でも「就活メイク」ってすべき?

→(望む望まないにかかわらず)男性という括りで生きる人や、そういった生き方をしている人は、「周囲に、とことんフレッシュで、清潔感溢れる印象を与えるためのメイク」をしなくてもいいのでしょうか。

・「社会人になると分かりますが、就活生の女の子を見ると、とてもフレッシュで微笑ましく思えるものですよ。」

→就活生は「社会人」を微笑ましい気持ちにさせるための存在ではありません。対等な人間です。

・「ノーメイク派でも「就活メイク」ってすべき?
〜普段のメイクと就活メイク、どんな違いに気をつける?〜
結論から書きますが就活に挑む女子学生は、メイクをすべきです。理由は簡単で、「社会人にとってメイクは身だしなみの一部だから」です。きっとサービス業に従事する方は、新人研修で習うはずですよ。そして、社会人にとってメイクが身だしなみである理由は、「周囲に不快感を与えないため」です。決してノーメイクが相手に不快感を与えるというわけではありませんが、ファンデーションをしていないと、蛍光灯の下で顔色が悪く見えてしまうというデメリットがあります。」

→「女性」と括った層のみに、メイクが身だしなみである理由として「周囲に不快感を与えないため」と指南すること、また、ファンデーションをしていないと蛍光灯の下で顔色が悪く見えてしまうからと指南することは、立派な侮辱ですし差別です。

(いずれも「普通の化粧とは違う『就活メイク』の基本。女子就活生が気をつけるべき事は?」より、2021.5.19取得、https://swot.jp/shinsotsu/18407/


2.サイトに対しての改善要望と回答

これらを始めとする指南方法について再検討して頂きたく、Twitterの団体アカウントから以下の改善要望ツイートを投稿いたしました。
https://twitter.com/ShukatsuSexism/status/1393782595696041987?s=20

この改善要望ツイートに対し、「就活SWOT」公式アカウントより回答を頂きました。
https://twitter.com/shukatsu_swot/status/1394866478743126017?s=20


3.チームよりお返事

この件につきまして、私たちの抗議に対し回答を頂き、ありがとうございました。

まず、私たち署名チームのスタンスとして申し上げたいのは、「特定のジェンダーの人々や、ジェンダー表現をする/しない人々を、存在しないかのように扱うこと(典型的な男女のスタイル以外のスタイルを提示しないこと)や、他者が一方的に括ったジェンダーを理由に、合理性のない指南をすること(女性に美しさなどを、男性に強さなどを求めるような服装やマナー)は、差別や抑圧に当たる」と考えていることです。

また、この問題は、就活服装・マナー指南発信者を筆頭として、教育機関や、新卒採用を行っている事業者すべての責任だと考えています。それぞれに責任があるのにも関わらず、指南発信者側は「無難だから」という理由で、教育機関側は「就職率を上げるため」「生徒が就職に困らないように」という理由で、差別や抑圧に溢れた服装・マナー指南を発信し、また、学生を採用する事業者側は、「我々はそのような服装やマナーに従わなくても気にしないのに」と言いつつ、「こういった指南に従わなくても、合否に影響しません」と表明することから逃げ続けていると推測します。
それぞれが、責任を押し付け合い、自ら変わることを拒否している、と私たちは感じます。
そうして、差別や抑圧がずっと変わらないまま温存されています。

そういった状況で割を食うのは、この構造において最も弱い立場に置かれている学生です。
こういった問題により、本来の「就職先を探す」という目的達成に支障をきたしたり、尊厳を奪われたり、アイデンティティを壊されてしまう人々が大勢います。また、こういった問題があるがために、就活自体を断念せざるを得ない状況に追い込まれたり、本来なら選択できたはずの選択肢を奪われることで、その後の人生を左右されてしまうことも多々あります。
これでは、求職のあり方として完全に本末転倒です。

男女を始めとする様々なジェンダーごとに、指南に違いが出ること自体は、おかしなことではないと考えます。この社会には、ジェンダー表現、性表現といったものがあるからです。(もちろん、表現をしない人もいます。)
ただ、その違いに、合理性のない、不当な差別や抑圧が潜んではいないでしょうか。また、自分のアイデンティティとは違ったジェンダーの表現をせざるを得ない状況に追い込まれている人たちはいないでしょうか。

求職者や労働者が、差別や抑圧のないビジネスファッションをしたら、自分のジェンダー・アイデンティティに合ったビジネスファッションをしたら、何か仕事に支障をきたすのでしょうか。その人の能力が落ちるのでしょうか。
差別や抑圧のないビジネスファッション、その人のジェンダー・アイデンティティに合ったビジネスファッションをすることができる環境において、初めて、人は本来の自分の能力を発揮できるのではないでしょうか。

そのような観点から考えると、現状の指南の仕方は、果たして本当に「平等」でしょうか。「就活生のためになっている」でしょうか。
私たちはそうは思いません。

もちろん、現状として、社会全体に差別が蔓延っていて、差別主義的な事業者が多く存在します。
だからといって、その差別的構造に学生が一律に合わせるべき、そうしなければ損をする可能性がある、といったような指南は、差別への加担、差別の温存であり、差別の拡散です。
また、そのように損をする可能性のある状況で問題視すべきは差別が蔓延る社会や差別をする側であり、学生に我慢を強いるのではなく、そのような差別は根絶しなければならないと訴えていくべきです。

私たちは、就活指南発信者に「アドバイスを控えろ」と要求しているのではありませんし、今の指南のあり方は「アドバイス」の域を優に超えていると感じます。
残念ながら差別主義的な事業者が多く存在するという現状を踏まえつつ、現況を紹介しつつも、最終的な判断については学生一人一人を尊重し、「こうしなさい」ではなく「こういった選択肢があります」「こういったやり方がありますが使うかどうかはあなたに決める権利があります」「あなたが一番能力を発揮できるスタイルで」という指南の仕方ではダメなのでしょうか。

この問題の改善例としましては、例えば、

・就活服装・マナー指南サイトの、「女性用」と銘打った服装指南において、「ヒール付きパンプスは一例であり、合わない人は別のビジネス用シューズでも良い」という注意書きが追加されたり
(2019年からスタートした、職場で女性のみにヒールつきパンプスを義務付けることに反対する #KuToo 運動の影響である可能性が指摘されています)

・就活ナビサイト「キャリタス就活」にて、従来の指南とは対照的に、性別二元論によらない、また、抑圧や差別の極力少ない服装指南が新しく公開されたり
https://job.career-tasu.jp/contents/manner/manner/02.html
(この署名活動を始めた2020年11月29日の時点では従来通りの指南でしたが、2021年5月11日の時点では、新しい服装指南に変わっていました)

といったことがあります。

また、改善の提案としては、

・「こうしなさい」「こうしないと落ちる」ではなく、「迷ったらこれ」「これがスタンダードですが、こういった選択肢もあります」「最終的にはあなたのアイデンティティに合わせてください」といった表記の仕方をする。欄外に注としてそういった一言を付け加える
・男女二元論の書き方をやめ、「化粧をする人は」「ヒールを履く人は」といったように、あらゆる人を包摂できる提示の仕方をする
・髪を染めない方が良いという指南をする場合、「黒髪」と断定する書き方を避ける
・「女性」と括られる人々のみに、「フレッシュさ」「美しさ」「上品さ」を求めるような不均衡な表記を避け、その基準に合わない者を貶めるような表記を避ける。また、女性同士は対立するものという偏見に基づいた表記を避ける
・就職活動を恋愛や結婚に例えず、仕事は仕事として表記する

といったものがあります。いきなりすべてを大規模に変更するのではなく、たったほんの少しずつの注意書きや変更で、問題は大幅に改善することが多いです。


私たちの署名ページ(http://chng.it/bj2RhM7849)に寄せられたコメントや、このnoteの他の記事にて紹介している当事者・元当事者の体験談、#就活セクシズム のハッシュタグに寄せられている声や、先日の記者会見で紹介した当事者の声(https://note.com/shukatsusexism/n/nbfb2efdac020)なども、参考にしていただけると幸いです。

他にも、何かご提供できる情報がありましたら、ご協力いたします。(ご連絡は、こちらよりお願いいたします。)

貴ウェブサイトが、学生が抑圧や差別を受けることなく、アイデンティティを偽ることなく、本来の能力をもって就職活動に臨む手助けとなるよう、お祈りいたします。

4.本記事を受けての就活SWOTからの回答(2021.5.20 19:37追記)

前向きなお返事を頂きました。

「noteの記事、及び現時点で #就活セクシズム に投稿いただいていたご意見を一通り確認させていただきましたので取り急ぎ報告させていただきます。

まず、ご指摘いただいた問題表記と捉えられる部分については社内で精査させていただき、改訂させていただく予定です。

また本記事以外で、パンプスに関する記事についても何名かの方よりご指摘をいただいており、そちらも記事改訂を検討しております。
本日提起して即日できるというものではございませんが、来週平日のうちにそのための工数を確保したいと思っております。

また現状存在する社会をそのまま肯定するのではなく、新規記事にて企業や就活産業への語りかけも行っていきたいと考えております。

まずは既存記事の見直しを第一優先とさせていただき、それが完了してからの動きと考えておりますが、何かご意見がございましたらお申し付け下さい。

今後は、今まで以上に1人1人の学生に寄り添った情報発信をしていきたいと考えております。

沢山のご意見をいただきましたが、弊社のメディア運営に対する価値観をアップデートする上での良いキッカケをいただいたと捉えております。
建設的な提案をいただきました事、まずは御礼申し上げます。」

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