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人生は運が支配する:努力論や自己責任論を批判する

「成功者の言葉を信じて努力を重ねたけれど、なぜか結果がついてこない」
「どれだけ頑張っても報われない自分に、どこかで『自己責任』という言葉が突き刺さる」
こんな経験はないでしょうか?

世の中には、「成功者が語る成功の秘訣」「努力すれば夢は叶う」という言葉が溢れています。しかし、それらの言葉の背後には、語られない「運」という要素が潜んでいることに気づいていますか?

本記事では、「人生は運によって決まる」という仮説を提示し、それを裏付ける論理を解説します。さらに、以下のような世の中に広く浸透している3つの『論理』を取り上げ、その妥当性を検証します。

  • 成功者によるポジショントーク

  • 努力すれば成功する『論』

  • 自己責任『論』

これらの論理は本当に正しいのか? そして、もし正しくないとしたら、私たちはどのように人生を捉えるべきなのか?

この答えを知ることで、成功や失敗を見つめる新しい視点が得られるでしょう。本記事は、あなたがこれまで抱いていた「人生観」を根底から覆すかもしれません。ぜひ、最後までお読みいただき、新たな視野を手に入れてください。

そもそも論理とは何か?

論理とは、考えや議論などを進めていく筋道のことです。

-では筋道とは具体的には何か-

筋道とは、演繹帰納の2つに分けられます。つまり、言いかえると論理とはこの「演繹」と「帰納」を使いこなし、1つの結論を導くことを言います。

-では演繹と帰納とは何か-

演繹(Deduction)

演繹 とは、設定した前提に、もう一つの前提を当てはめ、新しい結論を導き出す説明方法です。この推論方法では、設定した前提が正しければ、結論も必ず正しいという特徴があります。以下が演繹法の基本的な構造です。

  • 大前提:AならばB

  • 小前提:またBならばC

  • 結論:ゆえにAならばC

イメージのしやすい例を使いましょう。

  1. 大前提:「すべての人間は死ぬ」(AならばB)

  2. 小前提:「ソクラテスは人間である」(BならばC)

  3. 結論:「ゆえにソクラテスは死ぬ」(AならばC)

このように、演繹法は結論に対する確実性を保証します。ただし、設定した前提が誤っている場合には、結論も誤りとなるため、前提の妥当性が重要です。

帰納(Induction)

帰納 とは、複数の具体的な事例から共通点を見出し、それを基に一般的な結論を導き出す説明方法です。この方法では、得られる結論は「可能性の高い推測」であり、必ずしも真であるとは限りません。以下の論理構造で説明できます:

  • 事例1:AはBである

  • 事例2:CはBである

  • 共通点:AとCはDという共通点がある

  • 結論:ゆえにDはBである

例をとってみます。

  1. 事例1:「Aは黒い」(AはBである)

  2. 事例2:「Cも黒い」(CはBである)

  3. 共通点:「AとCはカラスである」(AとCはDという共通点がある)

  4. 結論:「ゆえにカラスは黒い」(DはBである)

帰納法の魅力は、未知の領域について新たな仮説を立てる助けになる点です。ただし、新しい観察(たとえば、白いカラスの発見)によって、これまでの結論が覆される可能性があります。

本稿に関しても、演繹法と帰納法を用いて論理の飛躍を徹底して省き、また結論に至る筋道を明確化しています。下図は、本稿の結論導出に至った論理を図解したものです。

*詳細な説明については、有料部分にて行います。

本稿が批判する『論理』

本稿の結論は、以下の3つの『論理』に対し批判的立場をとります。前提知識として、これら3つの論理の概要について以下で解説しておきます。これらの『論理』が妥当性の検証については「最終章」で行います。

成功者によるポジショントーク

成功者によるポジショントークとは、成功した人物が自身の成功要因を語る際に、特定の視点や価値観に基づいて話をすることで、自らのポジション(成功した立場)を正当化する論理です。この論理には以下のような特徴があります

  • 成功の因果関係を簡略化する傾向
    成功者は、自分の成功を説明する際、自身の努力、スキル、判断力など、自己責任的な要素を強調しがちです。一方で、環境的要因や偶然の要素(運)については軽視されることが多いです。

  • 一般化のリスク
    自分自身の経験を基に「私ができたから他の人もできる」という論理に飛躍しがちです。しかし、成功の背景にある個別の要因や条件が異なるため、この一般化には注意が必要です。

  • 発信者の利益の存在
    成功者が特定の商品や方法論(例:ビジネスセミナーや書籍)を売るために、自分のストーリーを活用するケースもあります。この場合、ポジショントークはマーケティング手法として使われます。

努力すれば成功する『論」』

努力すれば成功する『論』は、努力が結果に直結するとする信念や価値観に基づく論理です。この考え方には次のようなポイントがあります

  • 努力と結果の因果関係の強調
    この論では、結果は努力に比例するとされます。「努力さえすれば夢は叶う」「10000時間の法則」のような具体的なフレームが典型例です。

  • 自己啓発や教育分野での広まり
    努力の重要性を強調するメッセージは、個人のやる気を引き出す手段として広く使われています。教育現場でも「努力は裏切らない」というモットーが掲げられることがあります。

  • 限界の見落とし
    努力が報われないケース(環境要因や偶然性)や、個人の能力の違いが考慮されないことが多く、努力が万能であるかのように描かれることがあります。

自己責任『論』

努力すれば成功する『論』は、努力が結果に直結するとする信念や価値観に基づく論理です。この考え方には次のようなポイントがあります

  • 努力と結果の因果関係の強調
    この論では、結果は努力に比例するとされます。「努力さえすれば夢は叶う」「10000時間の法則」のような具体的なフレームが典型例です。

  • 自己啓発や教育分野での広まり
    努力の重要性を強調するメッセージは、個人のやる気を引き出す手段として広く使われています。教育現場でも「努力は裏切らない」というモットーが掲げられることがあります。

  • 限界の見落とし
    努力が報われないケース(環境要因や偶然性)や、個人の能力の違いが考慮されないことが多く、努力が万能であるかのように描かれることがあります。


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