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内定承諾書にサインしたら断れない!?

※当記事は約5分で読めます【約1,900文字】

1. 内定承諾書とは

内定承諾書とは、企業からの内定を承諾し、入社の誓約をする書類となります。

一方、内定通知書は内定の決定を通知するための書類です。

しかし、必ずしもこういった書類をもらうとは限らず、

①    内定通知書も内定承諾書も発行する。
②    内定通知書は発行しても、内定承諾書は発行しない。
③    内定も口頭のみで伝える。

と企業側の対応としては様々存在します。

それは、企業においても内定通知書や内定承諾書は義務ではないからです。

当記事では、この内定承諾書についてサインした際、法的拘束力が生じて辞退できなくなってしまうのかというところに焦点を当てて話をしていきます。

2. 内定承諾書は、労働契約として成立する

まず、内定承諾書にサインした時点で、法的に労働契約が成立します。

つまり、労働者と同じ扱いになるため、下記の民放627条が該当します。

期間の定めのない雇用の解約の申入れについて
現行民法627条

1 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。

3. 承諾後に内定辞退は可能か

特に、内定者に該当してくるのは第1項の

「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」

になってくるため、こちらに注目します。

これは、労働者の退職の自由を保障するための強行規定であると考えられています。

したがって、労働者同様に、内定者にも辞退の自由は認められるということになります。

つまり、上記太字にしている部分を抜き出すと、

・「いつでも解約の申入れをすることができる
・「解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する

入社の2週間前までであればいつでも内定辞退が可能ということになります。

また、上記は企業側の視点に立って考えても、

・憲法第22条:職業選択の自由

・労働基準法第5条:強制労働の禁止

が規定としてあるため、企業側には強制する権利はないということになります。

4. 内定辞退をする際の注意点

以上のように、内定承諾書にサインしていたとしても、辞退は可能だということを伝えてきましたが、実際には損害賠償をちらつかせるような企業もありました。

しかし、労働基準法第16条で賠償予定の禁止が定められていることからも、内定辞退による損害賠償は基本的には認められません。

ただし、内定者の入社後における環境整備のために多額の実費を企業が支払っているなどの事情があり、それを事前に知らされていたとなると、実費分の賠償として請求される可能性はあります。

それでも、ここまでお話ししてきたように、本来は労働者と同じように、内定者も労働契約の解約をする権利を有するため、損害賠償が認められるケースは稀です。

5. 正しい情報をつかむ癖付けを!

内定辞退一つとっても、ネット上であらゆる見解が述べられているため、就活生は混乱するかもしれません。

たとえば、今回の内定辞退についても、「BIZREACH」の記事なんかでも以下のように誤った記述がされていました。

参照元:https://media.bizreach.biz/19172/#co-index-2

「(内定の)意思表示した日から2週間以内であれば解約が可能」

ではなく、正しくは、

「解約(=退職)の申入れから2週間が経過すると雇用契約が終了する」

となります。

私も「BIZREACH」レベルのメディアに書かれていれば、学生の時は無条件に信じてしまっていたかもしれません。
(BIZREACHのサービスは個人的に好きな部類なので、特に吊るし上げようとかという意図は全くございませんので、関係者の方が読まれた場合は気を悪くされないでください。。。)

6. まとめ

以上のように、内定辞退は認められるものの、企業側も内定承諾書を取り付けるということは、「是非、当社に来てほしい」という前向きな気持ちが前提としてあるため、その気持ちを無下に扱うことは、一人の人として倫理観に基づき無いようにしてください。

辞退をするのであれば、ちゃんとした誠意をもって、可能な限り早めの連絡を心掛けるなど、そういった姿勢を大事にすることをお勧めします。

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