JAZZな話 1986真冬のニューヨークにて(Part2)
THE BRECKER BROTHERS/LIVE AND UNRELEASED (DELTA MUSIC 2020)
1986NYの話しの続きである。夜中にマンハッタンになんとかたどり着いた僕は、west4.st駅から、徒歩で知人のアパートまで、全く知らない土地をとにかくJFK空港で手にした紙のMAPだけを頼りに行くことになった。降りしきる雪が僕の身体を心底凍らせた。
なんとか辿りつくともう午前2時を回っていた。知人ととにかく暖をとりに行こうと「キエフ」という近くのウクライナ料理屋(なんとも今の世情から考えると感慨深いものがあるが)に行った。胡椒が効いたトマト味の野菜スープが空腹だった僕にとっては、とてもご馳走に感じた。そして知人宅に戻ると、僕は死んだように眠りについた。
僕のNY旅行の目的は、とにかくジャンルにこだわらず沢山の旬なNYの音楽を聴くことであった。次の朝、目が覚めると昼過ぎであり、知人はとっくに仕事に出ていて、ぼーっとTVをつけるとSOUL TRAINがやっていた。おっ!RAY,GOODMAN&BROWNが出てるじゃないか!やっぱすげーな。
あてもなく街をぶらぶらしながら、昨夜買ったVOICEを目を通すと、BRECKER BROTHERSがSEVENTH Ave SOUTHEという所で演奏しているらしい。BRECKER BROTHERSと言えば、RANDY&MICHAEL兄弟のイカしたファンキーなJAZZを演奏しているバンドだ。(当時、日本ではフュージョンバンドとして一括りにされていたのが、僕は面白くなかった。)これは聴き逃す手はない。夜まで待ち遠しいかった。
僕が居候していたアパートからライブハウスまで距離はあったが、タクシー代がもったいないので、歩いて行った。ライブハウスの名前の通り、7th Ave.を南下していけば着くはずで、道はわかりやすかった。
店の前には若干の列を作っていたが、直ぐに中に入れた。
すげぇーこれがNYのライブハウスか。来ている人種も様々。でっかい刺青男もワサワサ居た。
演奏が始まった。とってもファンキー過ぎるほどファンキーなサウンド。ユニゾンなんか寸分の狂いもなくバッチシ決まっている。初めてのNYで聴く音楽。凄いぞ凄いぞ。隣のブロンドの長髪のお姉さんとか髪を振り乱して、一心不乱に踊りまくっている。僕も興奮しまくって意識が飛びそうだった。
さて、2020年、場所はNYではないが、このバンドの2枚組ライブ盤が発売された。CDターンテーブルに落とすと、そうそうこのサウンド!僕がNYであの時聴いたサウンドである。SAXの弟のMICHAELはもうこの世にいないが、彼の激しいトーンは僕を今でも当時にタイムスリップさせるようなソロを聴かせてくれる。
今日はビールの気分だ。
最後までお読みいただきありがとうございました。僕のnote記事はすべて無料です。フォローも嬉しいですが、「スキ」ボタンが励みになります。よろしかったまた覗いてみてくださいね。