変わることを恐れない
今までの僕は気が付かない振りをしていた。
それでも上手く回っていたからだ。
みんなもそうだ。
だれもが心の奥底ではそうじゃないって思っていても、
口に出してしまうと、
それは対処しなければならない問題となってしまうから、
蓋をして気が付かない振りをする。
そして、何もなかったように変わらない毎日を望む。
そう、この研修を受けるまでは。
3か月前のある日
僕はいつものように社内メールを確認していると
全社員宛に送られた1件のメールが目に入った。
普段なら流し読みしてスルーするような内容だったのに
今回は何故か惹きつけられた。
「プロトタイピングスクール受講者募集」
正直言って何をするスクールなのかよく分からなかった。
でも、メールに貼られた力強く走り出そうとする後ろ姿の画像は、
なんとなく僕を変えてくれるんじゃないかと予感させた。
不思議となんのためらいもなくこの研修に申し込んだ。
上司も快く許可してくれた。
今の職場環境がたまたまよかったのもある。
昔のように毎日ハードな仕事をしていたならスルーしていただろう。
あと、なんの変哲もない毎日に少し悶々としていたのかもしれない。
さあ、研修が始まる
この研修は、デジタルツールを活用し
課題やテーマを
自分で見つけ
自分で仮説を立て
自分で解決のための試作をし
周りを巻き込みながら検証をしていく
という人材を育成するのが目的だ。
デジタルの知識はもちろんあったほうがいいが
それよりも、課題を見つけ、企画と開発、発信をしていく力が問われる。
LINEBot
最初の講義では
「LINEBot」なるものを作って課題の解決を考えた。
ほとんどの方が利用しているスマホのコミュニケーションツールのLINE。
ただ友達どおしやグループでやりとりするだけじゃなく、
LINEをより活用すると、
自動で様々な情報の提供や目的に沿った回答をしてくれるツールになるのだ。
どう使うのか、
僕はこんなものを作ってみた。
だが、まったくもってヒドイ出来だった。
もっと可能性はいくらでもあるのに、
こんな狭い世界しか見えていないことに情けない思いが込み上げる。
いつからこんなに視野が狭くなってしまったんだろう。
もっと昔は自由に考えて可能性を追いかけていたはずなのに。
社会の常識に長く囚われて、いつのまにか身動きがとれなくなっていたのだろうか・・・
ChatGPT
次の講義ではChatGPTの活用を学んだ。
最先端のAIチャットツールだ。
これはすごかった。
まさに魔法のようなツールで、なんでも解決してくれそうだった。
僕も長年の夢だった勤務シフトの自動作成をChatGPTに試してみた。
ただ、ChatGPTは万能ではないことを知った。
あと、使う側のスキルも高くないと使いこなせないことも。
世界は今やAIの時代。
使う側の、使い方次第で、十にも百にも、千にも万にもなるのだ。
画像認識
次の講義では「画像認識」ツールの活用を考えた。
この頃になってくると、
自分にも変化を自覚できるようになっていた。
今までの講義では、恐る恐るデジタルツールに触っていたのだが、
自分から分からないことは調べて突き進むようになっていた。
おそらく、ChatGPTの影響だろう。
自分で調べれば答えが見つかるからだ。
また、すぐに答えが見つからなくても、
どうやったら答えに近づけるかもChatGPTは教えてくれる。
備品の貸出管理簿
次の講義で僕はこれを作った
ChatGPTを味方につけた僕は、
今までのような苦労をすることなくすぐに作ることができた。
そしてこのプロトタイプを、この研修における僕の最終成果として残すことに決めた。
1つには、このツールを作った時に今までにない満足感を得られたからだ。
今までずっとデジタルの世界に苦戦をしていて、後手に感じていたが、
今回やっと体制を整えることができたように思えた。
これなら自信を持って前に進める。
そう感じられた。
最終発表
そしてこれが僕の最終発表
今までの僕は目の前に解決すべき課題があっても
それを口にしてしまうと、だれかがやらなければいけなくなると思って、そして言った自分が矢面に立つことになるだろうと思って、あえて何も言わないでいた。
管理簿のデジタル化もそうだ。
解決したほうがいいと分かっていてもずっと手を付けなかった。
そのスキルがなかったのももちろんある。
でも、今は違う。
僕なら変えられる。
この研修が僕を変えてくれたからだ。