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データドリブン経営を考える:ヒトがデータを活かし、未来を創る
0.はじめに
私は仕事でデータ活用を推進するという立場にいるので、社内で「データドリブンになっていこう!」とか「データドリブン経営を実現しよう!」とか言ってます。
ただこうした言葉ってよく使われるけど認識というか ”何だ?” がそろっていないことが多いなぁと感じてます。 ちょうど、近いうちに社内でこうした話をする機会があるので、その前に改めて自身の考えの整理を出来ればなと。
皆さんも、仕事のなかで意思決定をすることは多くあると思います。データドリブンとかそうした言葉を聞くこともあるでしょう、ただ疑問というか課題を感じることないでしょうか? 多くの会社で似たような言葉/話が出ていると思うので、そうした方々の少しでも助けになれば嬉しいです。
1.そもそも、データドリブンとは?
データドリブンの言葉の定義
まず、この”データドリブン”という言葉の意味はなんでしょうか?
シンプルにまとめてくれたSearch Labsから引用します。
データドリブン(Data Driven)とは、データに基づいて判断やアクションを行う手法です。ビジネスシーンでよく使われる言葉で、マーケティングや経営活動、Webの解析情報などで収集したデータに基づいて意思決定をすることを指します。
【データドリブンのメリット】
- 客観的な意思決定が可能になる
- 業務効率化がかなう(パフォーマンスの向上)
- リスクの低減
- 経験や勘に根拠を与え再現性が生まれる
- 業務の属人化を防ぐことにつながる
データに基づいて判断(意思決定)やアクションを行う、ということですね。
なぜ、データドリブンが必要なのか。それは人には「認知バイアス」があるからです。認知バイアスというのは既知の知識を重視する・直近の経験を重視するという人間の特性みたいなものです。
特に現代は不確実な状況が強まっている中で、どうしても我々はバイアスがかかった意思決定や行動をしてしまいがちです。そうしたことを避けるためにも、データを活用していくことが重要なのだと思っています。
んで、データドリブンという言葉が広まったかのは、IoTやAIの進化など色々な要因があるとは思いますが、個人的には以下の画像がすごく分かりやすくて好きなので、良く引用させてもらっています。
(かなり古くなりましたけどね)
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会社の資源として「ヒト・モノ・カネ」がありますが、最近はそれに情報、すなわちデータも資源として重要な位置づけになってきていると思います。
そうしたことも意識しながら、データを資産として管理しつつそれを使っての意思決定や行動に繋げていけるようなオペレーションを構築していく、それがデータドリブンに繋がってくると思います。
データドリブンという言葉のあれこれ
データドリブンという言葉は、『すべてをデータに依存する』というデータ中心に捉える考え方だという誤解を招くこともあります。
しかし、実際にはデータはあくまで意思決定をサポートするツールに過ぎません。最終的な判断や行動の決定は、人間の知見や経験、そして直感に基づくものです。データはその補助役として、私たちの認知バイアスを補正し、より客観的な視点を提供してくれますが、決して人間の判断力に取って代わるものではありません。
つまり、データ活用の真の価値は、データと人間の強みを融合させ、双方が相乗効果を生む点にあるのです。事業を進めていくうえで人が中心であることに変わりはないです。そうした中で人がデータを意識してオペレーションや意思決定を行っていくこと、これがデータドリブンという言葉の本質であるというのが私の考えです。
ということでデータドリブンという言葉を見てきましたが、今回の主題であるデータドリブン経営について考えていきましょう。
2.データドリブン経営を行うということ
誰がやるのか?
先ほど話した”データドリブン”な取り組みを経営レベルで実践していこうというのが「データドリブン経営」だと思います。
経営、という言葉を使うと「役員(経営層)がやることでしょ」というイメージを持つ方もいると思いますが、僕はそうではなく
全員の意思決定の積み重ねや集約が経営だという定義と考えており、トップダウンとボトムアップの両面が必要です。
そうした意味では「データドリブン経営」は全員に関わる内容です。
大事な要点3つ
データドリブン経営を行う、ということの定義は以下の3つに集約されると思います。
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成功させるために、やるべきこと
私自身、たくさんの企業の取り組みを調べたりお話させていただくこともありますが、そうした経験からデータ活用を全社的に推進しており成功しているなという企業の共通項が2つあると感じています。
1つ目:全社で共通したデータ基盤を構築し、使える環境を創り上げている
2つ目:全社で経営から現場まで全員が共通して見れるダッシュボードの構築や、現場で使いやすいアプリを開発・展開している
つまりはデータを使いやすくするための基盤(土台)づくりと、活用するためのインターフェースを様々な観点で作っていくことが重要なのです。
例えば、NTTドコモさんはアプリ開発を進めてデータ活用を促進しています。これすごく良い事例だなぁと思ってます。
また、NECさんはCXOがオーナーとなり経営ダッシュボードを整備されており、まさにデータドリブン経営に必要なデータ整備を進められてます。これもトップ主導で進めていく好事例ですね。
NECでは各領域のCxOがデータオーナとなって、社内のデータの標準化を主導し、受注や売上・利益などの財務情報から、人事、社内IT、サイバーセキュリティを含む非財務情報まで多種多様な経営データを整備。経営ダッシュボードでの可視化により意思決定を行い、アクションにつなげている。
この2つの軸で活動していくことが、データドリブン経営を行ううえで大切だなというのは、自身で進めていく中でもすごく感じているところです。
価値とリスクを考える
データドリブン経営を実現していくことで得られる価値は何でしょうか?
また、当然ですが進めていくうえでのリスク(課題)もあると思います。
どのような価値やリスクがあるかを整理してみました。
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当たり前ですが何をやっていくにもリスクや課題があります。大事なのはリスクを理解したうえでそれ以上の効果(リターン)が得られるかだと思います。何も環境無い状態でデータドリブンには出来ないですし、理解して活用してもらうためには人材育成やデータ整備のような地道な活動もとても重要です。
3.データドリブン経営を実践するために
これまでデータドリブン経営を見てきましたが、具体的にどうやって企業の中で進めていけば良いのでしょうか。
実践されている状態というのは以下の点がクリアされていることかなと。
実践されている状態とは
1.経営陣や管理職がデータの重要性を理解している
トップがデータ活用を推奨し、全社的にデータ活用する文化が根付いている。
2.KPI(重要指標)を明確に設定し、定量的にモニタリングしている
企業が重視する成果指標(売上利益、ROIC、OEEなど)を追いかけ、分析結果を見ながら施策を改善できる仕組みがある。
3.データの信頼性と品質が担保されている
同じ指標であっても、集計方法や定義が部門ごとに異なると混乱を招きやすい。データガバナンスやメタデータ管理が行われ、誰でも同じ定義・精度のデータにアクセスできる状態がつくられている。
4.分析結果を施策に反映し、効果検証を行う風土がある
分析が目的化せず、意思決定や事業運営に生かされ、その後の効果検証や改善アクションがスピーディーに実行される。
5.分析・施策に関するOODAサイクルが確立している
データ分析 → 戦略立案 → 実行 → 評価 → 改善 というプロセスを短いスパンで回せる組織は、データドリブンな文化が定着しているといえる。
また、これを進めていくためのステップとして何をしていくべきか。
推進する側としてはここが最重要ですが、難しいですよね。
進めていくためのステップ
経営ダッシュボードを構築していく
データの読み解く力(リテラシー)を持ってもらう
経営層へのアピールをしていく
等々あると思いますが、プロダクト/サービス開発と同じように考えていくのが大事なのではと考えています(ここについてはまた書きたいなと思ってます)
そうした意味でも、AIDMAフレークワークに沿って以下のように進めていくのが良策なのではと。書いている施策はほんの一例ですけどね。
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こうしたフレームワークに沿った形で推進施策を考えて、実行していくことが大切です。やっぱり大事なのはヒトなんですよね。
なので当社でもDX人材育成を進めていき、その中でもデータリテラシーをはじめ様々な施策を進めて皆がデータを使っていくマインドを持ってもらえるようにしていこうと考えています。
4.最後に
今回、社内で進めようとしているデータドリブン経営を見てきました。
色々書きましたが我々もまだまだというのは重々承知しています。
こうやってアウトプットすることで今後に繋げたいなというのと、皆さんとも一緒に考えて進めていきたいなと思っていますので、ご意見/アドバイスをぜひいただければ嬉しいです。
(ちょっと主語大きくなりますが)データを上手く使っていくこと/データで繋がっていくことが日本を良くしていくためにも大事なのではと考えています。タイトルに書いた「未来を創る」の1歩として、データを活用した様々な取り組みを今後もやっていきたいと思っています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。日頃、データ活用やら色々なことを、Xでつぶやいてますので良ければ繋がってください!
DX(データ)人材育成についての課題感を整理しているけど、主なことは大体ここにまとまってるなと思った。https://t.co/IBGVY7aHtF
— まーぼーどーふ (@haroido) February 13, 2025