蝶々夫人
おはようございます。
先日無事に「蝶々夫人」全7公演が終わりました。
今回は7公演全てで海兵を、そして成田/堀内回でヤマドリを踊りました。
ざっくりではありますが、諸々感想を綴っていきたいと思います。
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海兵
蝶々さんのお父さんが自害する衝撃的なプロローグから、打って変わって勇壮で誇り高い敬礼から始まる1幕1場、アメリカのシーン。
このシーンだけは、劇中唯一明るさや希望のみで構成されています(ケイトとピンカートンのお別れシーンはありますが、悲しい別れという感じではないのです)。
初日開幕直前、ディレクターに「最初のシーンは海軍兵士の最終訓練なのだから、ミスの許されないマスゲームでなくてはならない」とご指摘をいただき、そのテンションで全ての公演に臨みました。
そのためフラッグや隊列のシーンは笑顔よりも真面目な士官候補生であることを心がけ、他の水兵たちを律するような振る舞いを。
そしてピンカートンに「今日くらい、いいじゃないか!」と女の子とワイワイする許可をもらってからは、戸惑いながらもだんだんとタガが外れていく様子が見えるようにしました。
総じて、とても楽しかったです。
所謂「陽キャ」を舞台で演じるのはエネルギーを使うのですが、その分爽快感や達成感もあります。
踊る時間がそこまで長くないこともあり、今回はセーブすることなく全公演出し切りました。
力強さ、勇壮さ、愛国心、溌剌……そんな言葉が当てはまる踊りを目指しましたが、いかがだったでしょうか?
今回苦手な技も踊りに入っていて、調子の良し悪しも日々感じながらの公演で苦しい部分もありましたが、それでもやり切れたことに少し安心しています。コンスタントなパフォーマンスをすることの難しさも改めて感じました。
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ヤマドリ
蝶々さんとピンカートンの結婚式にお祝いに訪れ、ピンカートンを待つ蝶々さんの元に今度は求婚者として現れるヤマドリ。
僕にとってはなかなかに難しい役どころでした。
オペラ原作とは違い、蝶々さんの幼馴染というキャラクター設定があり、劇中で書生から軍人への成長をも遂げるということで、短い出演時間の中で表現することがたくさんありました。
基本的なスタンスとしては、純日本人。
所謂バレエダンサーとしての舞台上でのオーソドックスな振る舞いは欧米のそれであるので、そうではなく、どちらかといえば普段の自分に近い佇まいを意識しました。つい、会釈しちゃうような感じですね。笑
握手ひとつとっても、ついつい「バレエダンサーらしく」やろうとしてしまうので、それを我慢して素の自分に近い振る舞いを……という、普段とは真逆のアプローチをするのが新鮮でした。
でも蝶々さんに求婚しに行くときは、奥ゆかしさの中にも秘めた自信がありそうで、でも押していいものかどうかの葛藤があるんじゃないかな、でもやっぱり奥手なのかな、そもそも結婚のお祝いにきたときには蝶々さんのことが好きだったのかな、と役作りに最後まで迷いがありました。
なのでいろいろ考えはしましたが、最終的には本番の空気に身を任せることにしました。
成田さんとは学生の頃からの友人で、実際に幼馴染に近いような関係です。
そんな彼女の舞台上の反応を見て、こちらも素直な反応をしたらそれでいいのかなと。
特に2公演目、土曜マチネの回はすごく自然な感情が出てきたような気がします。
ここも出番は少ないのですが、いかにここで蝶々さんに寄り添い、心を揺さぶれるかが、ピンカートンと再会したときの悲壮感の大きさに繋がってくるはずなので、難しいシーンではありましたが精一杯やりました。
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海兵でもヤマドリでも、今回は特に宮尾さんにたくさんご指導をいただきました。
宮尾さんの退かれるタイミングで僕が入団したので今まであまり接点がなかったのですが、今回技術面でも表現面でも様々なことをご教授いただき、とても勉強になりました。
リハーサル中だけでなく、ご自身の出番があっても袖から見てアドバイスをくださったり、いろいろと気にかけてくださったこともとても嬉しかったです。
そして荒井さん、前田さん、伊坂さん、キャシディさん。
Kバレエをずっと支えてきたレジェンドの方々と同じ舞台に立ち、時にはアドバイスをいただいたり、一緒に演技したり、そんな時間を過ごせたことにとても感謝しています。
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スタッフの方々、シアターオーケストラトーキョーの方々、ザスタさんetc......
たくさんの支えてくださる周りの方々のおかげで今回も素晴らしい公演に参加することができました。
ありがとうございました。
そしてこの作品に出会わせてくださったディレクター、ありがとうございます。
次の本公演は10月の「眠り」。
少し時間は空きますが、またパワーアップして帰って来れたらと思います。
シーズンの振り返りは、またおいおい……。
ではでは。