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Photo by
anaiakino
『サヨナラまでの30分』(映画めぐり⑩)
設定だけ聞いたら、決して自分からは行かなかったであろう作品。真剣佑と北村匠海が主演で、青春バンドもので、カセットテープを再生すると30分だけ人格が入れ替わるという、そこだけ並べるとかなり「ありがち」に聞こえる作品。
ただ、Twitterでの評判がすこぶる良く、「この人の推しは間違いない」と心に決めている人も絶賛だったので、見に行った。
結果、めちゃくちゃいい映画だった。
ありがちな設定や展開な部分もありつつ、脚本を演出が絶妙で、わざとらしさやしつこさが全くない。むしろ、テンポのいい展開と歯切れのいいセリフが心地よく、なんの違和感もなく作品世界に入り込んでいける。
そして何より素晴らしかったのが映像と音楽。夏の空や長野の青々とした緑、廃れてしまった商業プールなど、映える被写体がこれでもかという美しさで描きだされ続ける。配置・構図・色遣い・ライティングのどれをとっても絶妙で、美男美女×美しい風景というたまらない絵がずっと続く。
音楽も非常にこだわっていて、若手の伸び盛りバンドが楽曲をプロデュースしており、ストーリーと映像とベストマッチの爽やかな楽曲が、たまらないタイミングで流れる。主演二人の歌唱力も抜群で、本当にいちいちかっこいい。
ストーリー展開も文句なしの傑作で、あっという間の2時間だった。
これは、文句なしにオススメできる一作です。劇場でぜひ。