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本屋に小三治が並んでた。 十代柳家小三治師匠。なんと別冊太陽!
最近は落語をテレビで放映しないので、落語家の顔を見る機会が減った。バラエティー番組も色物は並んでも、なかなか落語家は出てこないね。もちろん、小三治師匠ともなれば、バラエティー番組なんかにはもう出ないだろうが。80年頃にはテレビでよく顔を見かけたものだが。見る機会が減ったお陰で、この表紙写真が随分と老けていてちっと驚いた。まー78歳ならば当然なのだが。への字の口で角刈りで太い眉の小三治が脳裏にあるのでね、なかなか納得が行かなかった。
落語番組はよく観ていた。丁度高校生くらいの頃。三遊亭圓生の大ファンだった。落語界で言えば王道の落語を語る人。それに比べると、話はうまいけど、小三治師匠は小三治と言う人が立ってしまう噺が小僧には気に食わなかった。
ある日、テレビで小三治の独演会を観た。上方の出し物を江戸に直して噺にしていた。人情話し。題名は失念した。その後一回も聞いたことがない。その噺で号泣した。何が小僧に琴線に触れたかの記憶はない。とにかく小三治に泣かされた。うまかったんだな。びっくりした。落語とはこう言うモノなのかと。目から鱗がボロボロ落ちた。のちに文庫本に有ったのを読んだが、全く違う構造の噺になっていた。
忘れられない体験なのだが、演目はどーしても思い出せない。