サカナクションのオンラインライブ
SAKANAQUARIUM 光
今は8/21でライブから早くも1週間が経とうとしているので、サカナクションというバンドのオンラインライブがあり、赤字どころかすっごい収益になったらしい、とか音が良かったらしい、とか小耳に挟んだりした方も多いでしょう。ん、、そうでもないのかな。
ライブは8/15と16の2日間でしたが、1日目はファンクラブ向け。前売り価格は同じですが、ファンクラブ向けのチケットの方が特典が多くこの機会に思わず入会を考えた人も多い気がします。
私のようなカジュアルなファンは一般配信で日曜日
ちなみに、両方参加する超コアで正しいファンにはご褒美(特典)もたっぷり用意されておりました。そんなアップセル、クロスセルの仕掛けを用意したチケットを買った人の総数がすごい。
総視聴者数(有料チケット購入者数)60,000人
サカナクション /無観客オンラインライブ「SAKANAQUARIUM 光」より
60,000人ですよ。仮に全員が4000円(/人)をお支払いだとしても2日間で2.4億円のオンラインライブ収益となります。しかもこの金額に利益の源泉と言われる物販は含んでませんからね。
その物販にはしゃれおつなマスクケースやウロコが象られた醤油皿や、受注生産のライブBlu-rayセット(3.3万円也)あたりもライブに感動して勢いでお買い上げになられた方も多いと思いますので、きり良く0.6億円くらい上乗せされていてもおかしくないかもしれません。いやはや。
何はともあれ久しぶりのサカナクションのライブ
事前の情報からも、いろいろ考えていた事が伺えるインタビュー記事がありました。
毎度のライブで新しいチャレンジをしてきたグループだけに、コロナ禍でツアーを中断し、オンラインで開催する判断に至るまでに、品質面でも相当のハードルを設けていたのだと想像します。
そんなライブの1視聴者である私自身は、オンラインのライブ配信に参加するのは初めてではなくて、向井山朋子さんのライブ配信でも映像と音の素晴らしさを十分体感しましたし、アーカイブでも楽しむという部分も含め今後の拡大する余地がある点にとても期待している1人ではあります。
オンラインでアーカイブ配信あり
個人的にはテレビで見ていたのでライブBlu-rayを再生しているかのようなスムーズな展開に、若干のスタジオライブ感を感じてしまったのですが、それでも
お客さん役の一人にキャスティングされていたのは古舘佑太郎で、「古舘、踊れるか!?」と誘う。
などというレビューを読んで、「おお、そうだったそうだった」とアーカイブ配信期間中に見直して、結局最後までまた楽しんでしまう、というするめいか状態のオンラインライブです。
これってすごい体験だな、と思ったのです。
まあ生のライブ参加した翌日にロッキングオンのレビューが出る事もあまりないだろうけど、仮にすぐ読めたとしても、その生ライブはもう再演してくれないので、結局ライブBlu-rayが発売されるまで確認できるのはお預けなのですが、ライブがアーカイブ配信されていると何度でもするめいかなのです(略しすぎた)。その手の細かい確認でいうと、ボーカルの山口さんが見るからに汗をかき始めたのは“陽炎”からなので、もう一度ご覧になる方がいらっしゃいましたらご確認ください。
当然映像は凝ってる
TEAMサカナクションの十八番。ここ最近のMVを一緒に作っている田中裕介さんが演出という事ももちろんかもしれませんし、メンバーのお衣装が白というのもあるのか、全体的に白っぽいライティングなのですが、白、青、紫、赤、ピンク、オレンジ、黄色、緑にレーザーもバンバン飛び交うサカナクションらしい演出と、その演出を収めるカメラワークも無観客のスタジオライブだから客席に配慮する必要もないので、映してほしい映像をしっかり良い角度で見せてくれます。なので、姐さんのベースを奏でる指の動きや、ザキオカさんの手弾きがどのパートなのか?とか、ドラムのエジーさんが気持ちよさそうにシンバル叩く瞬間の顔とか、モッチさん&一郎さんが仲良く乳繰り合う(いや、違う)様子も確認できます。でもまぁ「それって普通のライブBlu-rayですよねー」という方もいるとは思うのですが、そこに加えて、Rhizomatiksの演出などが、画面全体に入ってくるので、同じタイムラインでオンラインライブの時間を過ごしているはずなのに、MVの映像世界とライブっぽい世界を行ったり来たりできる不思議な映像空間に仕上がっていたと思います。リハーサル大変だったろうなと想像してますが、それよりも何よりも、この点はアーカイブ配信では味わえないライブ当日の感覚だったと思います。
3Dサウンドの臨場感がほんと楽しい
事前に説明されていたし、これまでもバイノーラル録音とかにチャンレンジしてきたグループなので、オンラインライブを決行するにあたり、良いソリューションが見つかったという事だろうとは思っていましたが、本当に良い音だと思いました。ただし、一般的な感覚だと低音がしっかり出る環境で聴いていたらですが。
サカナクション・山口一郎が語る オンラインライブのメリット、デメリット より。
イヤホンないしヘッドホンで聴いていただけるのが、一番いいのかなと思っています。しかも、ヘッドホンはできるだけ低音の出力があるもの……シャカシャカするものではなくて、低い音を出力するヘッドホンやイヤホンで聴いていただくと迫力が出るかなと思っています。
私の場合の楽しみ方は以下になります。
ライブ当日は5.1chでサブウーファーがある環境で普通に楽しみましたが、そのあとにゼンハイザーHD25-1、ソニーCD900ST、AirPods Proで聞き比べてみました。HD25-1はベースラインのブリブリ感が半端なくて、鳥肌が立つ感じです。このヘッドフォンならではの期待通り音で3Dサウンドが楽しめると思います。
一般的には面白くない音になると思いますが、マニアックで面白いのはCD900STの方です。もともとフラットでモニタリングに使う人が多いくらいの良いヘッドフォンとして有名ですが、それだけに音源1つずつを分解する性能も高いので、このKLANG(クラング):technologiesのイマーシブなシステムを通すとフラットになるので低音側が特に音痩せしたように感じてしまいました。要するに低音の鳴りが抑えられているからなのですが、それだけに、どの音を360度の空間の中でどう配置しているのか?を映像と合わせて確認できるという、ちょっとマニアックな楽しみ方もアーカイブ配信で可能です。YouTubeの”8Dサラウンド”とか妙にビュンビュン音を飛ばしすぎる音源に飽きているイマーシブサウンドマニアな方にもかなりおすすめな聞き方だとは思います。
まとめ
今回ご紹介したサカナクションのオンラインライブ配信のアーカイブ配信も8/23までと残り時間も少なくなってきましたが、他にも都内ではBluenoteなどでのオンライン配信が始まり、「新しい生活様式」における音楽との触れ合いの手段としても確立されていく分野だと思います。
人によっては音楽性の違いはあるとは思いつつ、エンタメ業界がどのようにテクノロジーを取り込んで使いこなしていけるか、その一端を感じられた点で、個人的にはノーミーツの公演とあわせて今のところ2020年の記憶に残る出来事だと思いました。とはいえまだ8月。これからも新しい出来事がいろいろと起きそうな2020年になりそう。
追記ですが、レジェンドはまだ続いているようです。
あとは、しらっとこちらのリンクも置いておきます。Macな方はよろしければどうぞ。
Tokyo WFH Radioという新しく生まれた可処分時間を使って何かに取り組むプロジェクトもやっておりますので、ご興味お持ち頂けたら是非!