【『ジジイの片づけ』で培う決断力】 「ノートや手帳は、最後まで全部使い切ると自信が湧く」
沢野ひとしさんの『ジジイの片づけ』は、「読んだそばから片づけしたくなる」と好評をいただき、おかげさまで3刷を数えています。
沢野さんの人生の出来事や思い出をテーマに綴られる片づけの話は、私たちの経験を振り返るきっかけとなり、それらが片づけという行為に関連づけられて、ちょっとしたところから片づけてみよう、という気持ちにさせられます。
本書に書かれている、シンプルですぐに始められる片づけ習慣の中から、今回は「ノートや手帳は、最後まで全部使い切ると自信が湧く」(本文p.46)を紹介したいと思います。
■ノートや手帳を全部使い切ることが、片づけとどう関係するのか
ノートや手帳を最後まで使い切らないのは、他にもっと良いものがあった時か、その記述じたいを止めた時のどちらかだろう。そのいずれも、なにか心にひっかかる。
私はうまく事を運べているのだろうか?
そんな小さな暗雲がひとたび心に浮かぶと、なにをするにもその雲がたえずついて回るように感じるものだ。(p.46)
何かを書こう、計画を立てよう、と一念発起して使い始めたノートや手帳の記述が、途中で終わったままになり、何も書いていないページがたくさん残っている状態は、この暗雲のようにどこか後ろめたいものです。
そのノートや手帳を使うと記述に支障をきたす、という場合なら仕方ありませんが、ここで考えたいのは「そのノートや手帳に決定的な落ち度があるわけではなく」「また自分はなおも一念発起した気持ちを抱き続けたいのに」なんとなく途中でやめてしまった……というケースです。
この状況、「片づけを途中でやめては続かないモヤモヤ」に似ていませんか?
思い切って、途中で終わったままのノートや手帳をもう一度開いてみれば、何か発見があるかも知れません。過去の書き込みに今だから思うことを書き足したり、まだ空白のページには新たなことを書いてみたり。日付が古くなって使えない手帳は、案外と電話や買い物のメモに役立ったりもします。そのうちに、使うテンポを見出すことができ、ページを進めていくことでしょう。
同じことが、片づけにも言えます。
とにかく今日は机の右半分だけ片づける、小物を置いたトレーだけを片づける、など小さな目標を定めてそれを最後まで行なうと、その部分だけがピカピカ輝いて見えて、明日はもっとどこかを片づけようと感じるものです。
小さな片づけは、片づけというノートの1ページ。そう思うと、ページを進める楽しさも生まれてきます。
そして、最後まで使い切る/最後まで片づけ通す行ないは、それまでの後ろめたさやモヤモヤを一掃してくれるはずです。
■使い切ると磨かれる「決断力」
こういった「最後まで全部使い切る」といった物が少しずつ増えていくと、これからの仕事に張りも出てくるようで自信が湧いてくる。
自信が湧くと、決断力にも冴えが出てくる。すると、今日はここの片づけをやり抜くんだとか、あの棚の中身をすべて出すぞとか、即行動に移す気力が生まれる。もしかしたら、あの時には捨てられなかったものにきっぱりと別れを告げられるかも知れない。(p.47)
沢野さんが片づけを毎日続けられるポイントは「小さな自信の積み重ね」。
どんなに小さな行ないにも全力で取り組むことで達成感を抱き、その達成感が次の行動を起こす。「ノートや手帳にも気を抜かず、最後まで使い切る」覚悟は、そのひとつの決断です。
私たちの1日の中で、小さな決断を迫られる場面は数多くあります。
今起きるか、まだ寝ているか。
食事をどうするか。
洋服は何を着るか。
荷物は何を持っていくか。
お店で気に入った物を、買うか、買わないか。
揚げ物にソースをかけるか、醤油をかけるか。
もしも「今日の小さな決断」をノートに書き綴っていったなら、それこそすぐにノートを使い切ってしまいそうです。
それらを迅速に、真剣にこなしていくことは、片づけでの「捨てる/捨てない」「いる/すらない」「ここに置く/置かない」といった決断に、大いに役立ってくれることでしょう。
慌ただしい毎日の中で、あれもこれもと目移りしていては決断力も鈍ります。
これぞと決めたらやり抜く習慣をつけることで、頭の中もすっきり整うようです。
その第一歩となる「ノートや手帳は、最後まで全部使い切る」。この自信湧き上がる体感を片づけにも活かし、整う喜びを味わいましょう。
沢野ひとしさん著『ジジイの片づけ』は、明るく元気な日々を過ごす術を教えてくれます。どうぞ御愛読ください!
『ジジイの片づけ』書籍詳細
http://www.shueisha-cr.co.jp/CGI/book/detail.cgi/1752/
ご購入はこちら
https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-420-31089-5
(イラストレーション/沢野ひとし)