『あのこは貴族』(山内マリコ/著)をオススメ!
宣伝担当・アラーキーオススメの本
『あのこは貴族』山内マリコ/著
作品制作・写真/金沢和寛
居酒屋トークでよくある、「来世、生まれ変わるとしたら男と女、どっちがいい?」という話題。みなさんはどちらがいいですか?
東京の高級住宅地生まれのお嬢様・華子と、地方生まれで金銭的に苦労してきた上京組・美紀。二人のアラサー女性が本作の主人公。境遇がまったく異なる彼女たちが、ある一人の見た目も出自も完璧な男性を中心に巡り合う。とはいえ奪い合いの喧嘩をするわけではなく、何度か会って会話をしているうちに、自分自身のことを見つめなおすきっかけになっていく。
「幸せ」とは何か、「普通」とは何か。そんなものは人それぞれ。でも頭では分かっているけれど、目に見えるものではないし、何だか得体のしれないもの。日々生きていれば、どんな人でも葛藤や迷いを抱えながら暮らしているはず。性別や出自、容姿や仕事、様々なカテゴリーで他人を区別することもあれば、自分が区別されることもある。けれどそんな狭い世界だけで生きていると、自分にとっての「当たり前」のことしか見えなくなって、それ以外を排除してしまいがちですよね。
本書の登場人物たちもまさにそう。でも華子も美紀も、全然違う世界で生きてきたお互いが出会ったからこそ自分を客観視することができ、心理的に解放されていく。辛いことがあると、自分が置かれている環境のせいにしてしまうこともあったけれど、徐々に成長しながら一生懸命に生きる二人。そんな姿を読み進めていくと、すごく爽やかな、伸びやかな気持ちになれるんです。
冒頭の居酒屋トーク。本書を読むまでは異性に生まれ変わって全然違う人生を体験してみたいと思っていましたが、どちらになろうと、どこで生まれようと、そんなことは関係なく、なるべく広い世界に自分から積極的に触れていきたいと思いました。
本の詳しい内容はこちら→「あのこは貴族」
映画化決定!
2021年2月26日公開 映画「あのこは貴族」公式サイト